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「あなた」が共犯者にされてしまう作品【ネタバレ注意】

作品特性や記事の性質上、ネタバレというか大きなトリックが察せられてしまう可能性があります。予めご了承下さい。

さてはて、「あなた」が共犯者にされてしまう作品とタイトルに書きましたが、これはどういう意味でしょうか。これはそのままの意味で、ふだん「読者/視聴者」である「あなた」は、物語とは隔離された現実という場所でぬくぬくとフィクションを享受しているでしょう。しかしそれが歪み、あなたが物語に影響を及ぼしているとしたらーー?
と言っても、体験型コンテンツだったりイマーシブ、双方向な物語体験を描く特殊なコンテンツではなく、それを従来の小説や映画、舞台という枠組みの中で行うーー
そんな作品がいくつか思いついたので、まとめておきます。

タイトルを見るだけでもネタバレになる気がしますので、閲覧注意です。誰も、読むな!(じゃあなぜ書いた?)


作品紹介までちょっとクッション


最後のトリック

こちらは、そのものズバリ「読者が犯人」というトリックの作品です。読者が犯人である、というネタについては作品紹介でも堂々と記されていますので、もう自信満々に読んで下さい。
作者の深水黎一郎さんは、他にも尖ったミステリー作品を出版されていて、私が大好きな多重解モノの名作「ミステリーアリーナ」や、犯人を投票で決める「犯人投票」なんかも面白いです。

個人的に「最後のトリック」自体は、1ネタで走りきった感があってやや物足りなくはあるのですが、誰もが一度は思いつきそしてぶん投げる「読者が犯人」というネタをきっちりやりきったのは、すごいと思います。

犯人はあなたですからね、はい。


※犯人は「あなた」と言われ、「こちら側」を指差されるときに私の脳内にはいつも綾辻行人「どんどん橋、落ちた」の「意外な犯人」が浮かびます。今回の記事とは異なりますが、メタフィクションの名作として、こちらもどうぞ。最近はTwitterがぷいぷい(モルカー)と愛猫アカウントと化している綾辻先生。


呪詛

2022年、とにかく話題をかっさらいまくったNetflixの台湾ホラー映画。
何年か前にとある宗教施設を訪れた若きYoutuber(?)の男女3人。そこでヤバい呪いを受けてしまう。主人公の女性はなんとか生き残り、当時身ごもっていた子供を出産するが、その子供もおかしな行動を繰り返し……?

こちらの作品も「何も言わずに見てくれ」系ではあるのですが、その理由こそが表題の部分。

映画の冒頭から、ずっと繰り返される
火佛修一心薩嘸哞(ホーホーシッセイシンセーウーマ)
というこの呪文。この呪文が……。

さあ、みんなも唱えよう!
火佛修一心薩嘸哞(ホーホーシッセイシンセーウーマ)
火佛修一心薩嘸哞(ホーホーシッセイシンセーウーマ)
火佛修一心薩嘸哞(ホーホーシッセイシンセーウーマ)


滑稽

Aマッソの「滑稽」。いやこの話がしたくてこの記事を書いたんです。
東京公演は終わってしまいましたが、大阪公演が残っていて、配信チケットもまだ買えて見れます。今のところ、配信チケットは3/31の19時まで買えるそうです。私は昨日の夜勢いでチケットを買って見ました。

チケットや配信チケットはこちらから。
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2240101

2023年の年明け早々、話題をかっさらいまくった「テレビ放送開始69年 このテープもってないですか?」というテレビ番組。我が家にTVがないんですが、Tverで見れたのでチェックできたんですけども、これがまぁ、すんごい怖い。「このテープもってないですか?」については、みなさん調べていただきたいんですが、テレビという枠組みを使って背筋をゾゾゾさせるのが、おじょうず!こわい、なんだったんだ。
と、いう番組を作った大森時生さんという方が演出に入ったお笑いライブです。これがまあ、まあ~~~~~~~~!!!まあ。

ネットで「滑稽 Aマッソ」と検索すると「怖い」がサジェストされます。お笑いライブだぞ?

大森さんは、「Aマッソのがんばれ奥様ッソ!」という番組も手掛けていて、こちらはまだTverで見れるのかな?

なにもネタバレをしないで書いていますが、この記事のタイトルがネタバレです。配信を見終わったときに「うっわ、やられた」と思いました。やや嫌な気分。ぐげぇ。


まとめ

メタフィクションが愛されるにつれ、「読者/視聴者」である「あなた」は安全地帯からただ物語を享受するだけではいられなくなります。ときにあなたのその無邪気なフィクションへの姿勢が利用され、物語へ良くも悪くも強い影響を与えるでしょう。
良い影響であれば、ヒーローショーでヒーローの名前を叫びヒーローに力が湧き上がるでしょう。悪い影響であれば……?

こんな作品がどんどん増えていて、私は楽しいです!


面白い本の購入費用になります。