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やりがいを少しでも生み出したい

2週間ほど前には初夏の気配を感じていたのに梅雨寒の1日でした。欧州系コンサルティング会社の広報担当として、対談の場で出会った、想い(=熱量)に溢れるヒトを私目線ででつづる、第15回目はアスタミューゼの創業者である永井社長です。
ちょうど3年前、日経ビズゲート対談の初めての対談をお願いしたのが永井社長でした。取材の同席をしながら、どんなお話が飛び出すのかドキドキしたものです。

世界中の情報を集める理由とは

アスタミューゼさんは、世界中の技術や特許、投資情報などを集め、その分析結果をもとに企業のイノベーション創出を支援しています。事業戦略に役立つ情報を徹底的に集められ提供されています。さらに凄いのは、まだ世界で誰もデータベース化しておらず、公開すらされていない情報までも取得する。そのために、世界で各分野の専門家達数百人以上と契約し、日々情報を収集してもらっているといいます。世界が複雑化する中で、「ありもの」と「まだないけどニーズや実現意思があるもの」を比較して把握することで、まだ技術や知恵がなくて実現されていないことを把握することができる。企業にとって、世界にあるホワイトスペースを知ることができるというわけですね。

人と人をつなぐ事業の心がけ

同社は、人と人をつなぐ人材事業も手掛けています。その取り組みについて、永井さんはこのようにおっしゃっていました。 「知の交流を促す事業に12年以上取り組んできましたが、やればやるほど思うのは、すべての知を生み出しているのは人であるということです。ニーズや機会が多様化、細分化している現代では、個々の人の意思の力、想像力はイノベーションに必須だと考えています。究極的には人さえいれば、事業や技術は後回しでもいいとさえ言えます。その人の、より本質な意思に近いところの情報を集められるよう心がけています。履歴書や年齢といった本質から遠い情報で転職などが決まるのは本当にもったいないですから」

異床同夢を実現する

永井さんは多様性のある組織について、「異床同夢」という言葉を使われるのですが、この言葉に込める意味合いについて、以下のように語られています。
「私は知の交流やオープンイノベーションに携わってきて、多様性=ダイバーシティーは必須の要素だと思っているんですが、現実的には精神的なストレスがかかるコンセプトじゃないですか。ある側面だけみると、多様性のある組織では、あうんの呼吸で通じなかったり、コミュニケーションがしにくかったりすると少しずつ辛い部分が出てきて、何のための多様性なのかという話になりがちだと思っています。 そうではなくて、多様性のある組織の実現には、ビジョンや夢が一緒であることが大前提なわけです。そこのところをもう少し具体的に言い表した言葉がないかなあと考えてきて、思い付いたのが「異床同夢」。専門や経験は違っても最終的に持つ夢は同じであると。夢が一致すれば、最初はかみ合わなくても、だんだん目指すものが見えてくると思います。」

ものづくりへの回帰が意味すること

最後に、ものづくりについて。今もってますます大事になってきていると個人的には思います。「いま世界的にものづくりへの回帰が始まっていると感じています。ことづくりをするためにはハードも必要で、ソフトだけではできない要素に再び光が当たり始めているとも言えるかもしれません。これからはロボットやAIがどんどん進化して、人がやりがいを感じるところ以外の仕事は代替されていく。(だからこそ)誰かの役に立ち、さらにやりがいのある産業を少しでも多く生み出したいですね。」

人と人のつながり、多様性を実現する組織、そして、特に(日本の)ものづくり。 3年前に伺ったお話ですが、変わらない、むしろいまのわたしたちにとってより大事になってきていることだと思って、noteに残しました。



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