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眠れない夜には



色々の締め切りで、時々徹夜をする。

特に展示の搬入の前は、徹夜をしなかったことがほとんどないくらい。


特に今年の絵本展と2人展では、準備が終わらず直前は数回徹夜してしまった。

……寝てないアピールか!

いや、計画性の無さアピールでしかない。


締め切りに追われているわけでなくとも、深夜に日記やら物語やら、書き物に熱中して気がついたら窓の外が薄明るくなっている、ということがたまにある。

電気を消したら、窓がぼんやりと青い。
もう太陽は向こう側での旅を終えたのか。

そんな瞬間も好きだ。


身体には良くないだろうけど、徹夜って嫌いじゃない。




人間は、「一日」という概念をもって生活している。

意識のなくなる「眠り」を挟むことで、「今日」が「昨日」になり、「明日」は「今日」になる。
割と明確な区切りがある。

でも「時間」というのは宇宙が誕生したときから絶えず流れているもので、そこに境目はない。

地球では太陽のいる時間を昼、太陽のいない時間を夜と呼ぶ。

それがひとめぐりして、1日。

それが日付であり、昨日、今日、明日という区切りの概念になる。

けれども空はただ、明るいと暗い、昼と夜との美しいグラデーションを、延々と繰り返しているだけなのだ。


そのことにふと気付かせてくれるのが
「徹夜」だ。


日付なんて区切りはなくて、空の色は絶え間なく移り変わる。

夜と朝の境目に、昼と夜の境目に、幻想的な赤い空を挟みながら、時は滔々と流れている。


中学一年生のとき、初めて徹夜をした。
徹夜というか、眠れなくて朝になった。

その時初めて、「時」は一続きなんだと知った。


時間の流れについての感覚。人それぞれ、全く違った感覚があるのだろう。



何の小説だったか……。


「時計を見ると23時〇〇分。
明日はまだ、手付かずのまま残されている」

という一文があって、なんて詩的で且つ実感のある言葉だろうと思った。

「0:00」を境に、はっきりと時間は区切られている。そういう感覚の方が強い、人間の世界。


独り言を喋る。

その独り言のなかでは、「寝る」ことを、
「明日に行く」と言ったりする。


自分は寝つきが良すぎる。

「眠れない夜に」といったような世界観で作品をつくっているにもかかわらず、当の本人は、めちゃくちゃ寝つきが良い。


布団に入れば、すぐに明日。

もはや、布団は明日への入り口!


眠れない夜があれば、物語のひとときへ、いつでもいらしてください。

ではまた。


「昨日の夢の続きを」

P1号 麻紙・岩絵具


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