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『家事は大変って気づきましたか?』を読んで、あふれてきた思い

作家・生活史研究家の阿古 真理(あこ まり)さん。


先日、友人の三木 智有さんがYoutube対談していて知った方。


この『家事は大変って気づきましたか?』という本は、友人でリセッターリストⓇ代表・考案者の山本 香織さんも読んでいて、とても良いとの評価。

ただ「ぎっしり詰まった内容でなかなか読み終わらない」とも聞いていて、長さを覚悟していた。

でも読み始めたら内容がスッと入ってきて一晩で読んでしまった

色々と感じるところがあったので、思ったことをまとめておく。

すんなり読めたワケは?

今まで興味を持って読んできた本が取り上げられていて
「あ、これ知ってる!」
と思えたことが1つの原因かもしれない。

  • 『人生がときめく片づけの魔法 改訂版』近藤麻理恵さん

  • 『新装・増補版「捨てる!」技術』辰巳渚さん

  • 『老後のお金』林總さん

  • 『人新世の「資本論」』斎藤幸平さん

……など。

家事関連の本で流行りやすいのはエッセイ的な文章だ。

でもこの本はそれらとは一線を画した内容で、事実や分析が多い。専門書的で論文に近いから、論理を重視する人にも読みやすいと思う。

社会学的な話も満載で、大学時代から社会学が好きな自分には身近だったおかげもある。


また、内容がとてもタイムリー。コロナ禍も含めたここ10年20年のことが、細部まで詳しく描かれている。

リアル社会で毎日家事育児に奮闘する整理収納アドバイザー・主婦の私には、親和性があったと言えるだろう。

印象に残った3つの文章

ここでは本の中で心に残った文を3つ挙げる。

「お母さんの愛情は偉大だ」と言われるのに、お母さん業をまっとうした人が社会的に弱者になりがちなのは、なぜだろうか?

阿古真理『家事は大変って気づきましたか?』

「日本のお母さんは大変すぎる」
と、最近になってようやく気づかれるようになってきた。

お弁当1つ取ってみても、かなりの時間と手間をかけて作られている。

どうやら、海外ではそんな風習はないようだ。(すべての国の事情は知らないが)

こんな記事もよく見かける。


昔ある本で読んだが、ドイツではコールドミールというものがあるらしい。

日本の家庭でコールドミールを出したら相当なブーイングだろう。子どもがいる家庭ならネグレクト扱いされるかもしれない。

それほど、日本における「我が家のごはん」は特別なのだと思う。

日本のお母さんはとっても大変。毎日偉業を成し遂げていると言えるくらい。

それなのに社会での扱いはひどいし、社会的地位は低いままだ。

女性たちは「崇高な」ケアを引き受けキャリアを断念してきたのに、男性たちは、家事や子育てを「手伝う」ぐらいで実績を積み、財産を築けたのはどうしてなのだろう。

同上

結局、日本で社会に名を残している人のほとんどは男性たち。

大企業の社長はおしなべて男性だし、政界も日本は男性に偏りすぎているというのはよく聞く話。

大昔はまるっきり考え方や価値観が違い、多くの地域で女性に選挙権などの権利もなかった。その部分はある程度仕方ないのかもしれないが……

形式上は平等となった現代日本でも男性優位のままなのは、なぜだろう?

金銭を重視する資本主義社会において、家事育児という金銭の対価にならない業務を担う人々の価値は、上がらない。

女性たちが、結婚相手に安定収入を求めがちなのは、育児期間に自分が自由でなくなることを予想しているからだ。

同上

これはとても根深い問題だと感じた。

婚活で揶揄されがちな「女性は高年収の男性が好き」という現象。

その根本原因は、個人の好みではなく社会構造にあるのだ。将来不安から「少しでも収入がある人と結婚したい」と思ってしまう仕組み。

このように、日本社会のあるゆる部分に性別役割分業の呪いが根付いていると気づいた。

私が料理を嫌いな理由

実は、家事の大部分が好きではない。

整理収納アドバイザーという"家事を仕事にしている"部分があるせいか時々驚かれるが、物を減らしてきたのも
「掃除が面倒で少しでも手間を省きたいから」

という理由に他ならない。

特に料理が嫌だ。

料理好きで片づけ嫌いの人に言わせれば
「片づけはマイナスをゼロにする後ろ向きな行為だけど、料理はゼロからイチにする前向きな創造だからいい」
らしいが、私は
「確かに創造の1つかもしれないけれど、創造は別の分野でやったらいい。食で表現する必要がどこにある?
と考える。

なぜこんなに嫌なのか、ちょっと掘り下げてみた。

そもそも「食」にさほど興味がない

衣食住で興味のある割合は「住」に80%ほど。「食」と「衣」は、10%ずつくらいしか関心がない。

さすがに食べたい物・好きな食べ物は人並みにあるけれど、
「今日の昼は何にする?」「ランチどこに行きたい?」
という質問に対しては
「うーん、別に何でもいい……」
となりがちだ。

実は、食への関心の薄さは昔から

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