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マクロな視点で友人と語り合いたい。『21 Lessons』を読んで

『サピエンス全史』で有名なユヴァル・ノア・ハラリさんの『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』を読みました。

『サピエンス全史』は2019年3月に読んで感銘を受けましたが、今回の本も同様に「素晴らしく示唆に富んだ内容だ」と感じました。


取り上げたい箇所はいくつもあるけれど、特に印象的だった部分は以下の5つ。


バイオテクノロジーが進歩すれば、経済的な不公平が生物学的な不平等に反映されることになるかもしれない。~(中略)~人類は生物学的なカーストに分かれかねない。


気候変動を避けるためには政府や企業や個人ができることはたくさんある。だが効果を上げるためには、グローバルなレベルでそれらを行なわなければならない。気候に関しては、国家には断じて主権はない。


世俗主義の科学には、大半の伝統的宗教よりもずっと有利な点が少なくとも一つある。すなわち、自分の陰の面に恐れをなしておらず、進んで自分の誤りや盲点を認める建前になっていることだ。~(中略)~私たちがこれから生命の歴史の中で最も重要な決定を下すにあたって、私としては、無謬性を主張する人よりも無知を認める人を信頼したい



でっち上げの話を一〇〇〇人が一か月信じたら、それはフェイクニュースだ。だが、その話を十億人が一〇〇〇年信じたら、それは宗教で、信者の感情を害さない(あるいは、怒りを買わない)ために、それを「フェイクニュース」と呼ばないように諭される。~(中略)真実が君臨し、神話が無視される社会をあなたが夢見ているのなら、ホモ・サピエンスにはまったく期待が持てない。


人生は果てしない叙事詩的物語であるという考え方は、きわめて魅力的で一般的だが、大きな問題を二つ抱えている。第一に、自分の個人的な物語を引き延ばしたところで、それは本当にもっと意味深いものにはならない。たんに長くなるだけだ。~(中略)~第二の問題は、裏付けとなる証拠の乏しさだ。

②の気候変動については、私も10歳頃からずっと考えてきました。きっかけは『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』ではありましたが、真剣に考え続けているつもりです。

結局は人類の短期的メリットと長期的メリットを秤にかける話で「現代を優先するか未来を優先するか?」の問題なのかと。

詳しくはこちらのnoteにも書きました。


③の世俗主義については大きな驚きでした。

「世俗」という言葉に悪いイメージしかなかったのですが、彼の定義で捉えるなら「私も世俗主義者なのかな」と感じます。

現実に起きている事実を注意深く見つめ、悪い部分に目を瞑らず、それでいて理想も捨てることなく、真摯に生きたい。

残念ながら私はどんな神も宗教も信じることはできませんが、そうありたいと思っています。


⑤は、いつも自分が考えている生と死の話に近いです。
「人生は物語」「1人の生は短いが、全て繋いでいける」という考え方はとても魅力的で多くの人が無意識に持っているようですが、私にはそれさえもまやかしに思えます。

ビッグバンなど宇宙の歴史の中では、人類の繁栄もほんの一瞬で、後には何も残らないのではないかと感じるからです。

かと言って自暴自棄に陥る必要もないし、物語がなくても現実社会は目の前にあるので特に何かをする必要もないのですが。

甘美な物語に酔うことは簡単だし、その方が生きやすいのは事実です。だから他人の物語を否定するつもりもないし、口出ししないように気を付けないといけないでしょう。

それでも、私はこの作者と同様に今後も考え続けていくと思います。多分、自分が死ぬまでずっと。



なかなかこんなマクロ視点で語り合える機会はありませんが、やはり私は時々友人や周囲の人とこういう話題で話ができたらなぁ…と思うのです。

素晴らしい本なので、気になる方は是非。


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