見出し画像

日本の政治と金(第6回)

まとめとして(未来に向けて)


日本は失われた30年によって活力を失い、世界での地位が大きく沈んでしました。それでも自民党が政権に居続けているのはおかしな話ですね。プロ野球の監督なら即交代です。
当の自民党が、精一杯やってきたのだと言ったところで、政治には結果責任が求められるものです。
しかも景気対策と称して巨額の予算を浪費し続けてきたのですから、なおさら責任は重いでしょう。
そして今回の裏金問題です。少し前には統一教会の問題もありました。
この連載の最後にあたり、今こそ日本の政治が変わらなければならないことを、改めて訴えたいと思います。
 

自民党と癒着した企業と団体

 日本の国力がこれほどまで落ちたにもかかわらず、自民党が与党であり続けてきたのは、選挙での金と組織票があったということが浮き彫りになりました。
 金と票を提供してきたのは、企業や業界団体です。そして豊富な金で選挙に勝ち、政権与党を維持してきた自民党は、見返りとして彼らの要求する政策を引き受けてきたわけです。
 自民党が関係性を築いてきたのは企業や業界団体だけではありません。彼らは「統一教会」といった反社会的・反日的な組織とさえもずぶずぶの関係になっており、選挙での組織票と引き換えに教会の存続を許してきました。あろうことか盛山文科大臣などは選挙応援をもらうにあたり、政策協定まで結んでいたのです。文部科学省は宗教法人を所轄する省庁なのですから、よくもまあ文科大臣を引き受けたものです。(自民党は統一教会問題についても説明責任を果たしていないですね)。
 
 こうした癒着の結果として、企業や団体の求めに応じて彼らの利益を優先した政策がとられ、生活者・労働者には犠牲が強いられてきたのです。
 そして企業活動の自由で健全な競争が阻害され、世界経済がダイナミックにシフトチェンジしていった時期に、日本経済は変われずに遅滞したまま30年が過ぎてしまいました。世界のトップにいた日本は、気が付けば世界から大きく取り残されていたのです。 もはやこの国の政治が機能不全に陥っているとさえ言えます。

有権者が見てきた「幻想」

 有権者の側にも「政治の安定」と「経済の発展」のためには、自民党に政権を任せなければならないといった意識がありました。しかしそれは、バブル崩壊前まで経済成長していた時代の、成功体験にとらわれた「幻想」にすぎなかったのです。
 
 自民党という組織はすでに耐用年数を過ぎているのです。いまだに老人が支配し、昭和の古い体質を持ち続け、市民や企業のコンプライアンスとはおよそかけ離れた感覚しか持ち合わせていないのですから。
 宮藤官九郎脚本のドラマ「不適切にもほどがある!」は、令和から見ればありえない昭和のコンプライアンスをベースにしたコメディですが、自民党の体質は今も昭和のままの「不適切にもほどがある」状態なわけですから、笑うに笑えません。
 
 今の自民党が、天下国家を考えているとはとても思えません。いったいいつからこんな小粒な人間だけになってしまったのでしょう。
 ともかく自民党がそこから脱皮できない限り、退場してもらうしかないのです。世界では劇的なパラダイムシフトが起こっているのですから、日本の政治も新しく建て替えしなければならないのです。

 その反面、野党に不安を持つ声もよく分かります。しかし自民党ではもはや未来が見えないのですから、私たちは自民党に代わる勢力を粘り強く育てなければならないのです。当然時間はかかるでしょう。不幸なことですが、元をただせば国民が選挙によって選択してきた結果な訳ですから、じっと我慢するしかないでしょう。 

今こそ改革のための法改正を

 これから先、政治と金の問題を繰り返さないためにも、法改正を徹底して行わなければなりません。本来的には当事者ではなく、外部の有識者による改正議論が必要です。
 しかし与党自民党が主導権を握っている限り、これまで同様、見せかけだけの改正や、抜け穴だらけの改正になってしまうと思います。
 
 仮に法改正が正しい姿で行われれば、自民党は大きく議席を減らすし、下野することにもなるでしょう。彼らはそれを恐れているのです。

 繰り返しますが、政治資金には徹底的な透明化を図り、企業・団体献金とその温床となっている政治資金パーティーを禁止し、派閥を解消させる。そうすることで初めて与党と野党が互角に戦える状態になるのだと思います。 

政治家は国民に奉仕する立場

 私たちはこの国の運営を託すために、選挙によって国会議員を選び、私たちの税金で彼らの給料や活動費を支払っています。
 本来政治家は国民に奉仕する立場であり、主権者である国民の利益のために尽くさなければならないのです。
 国会議員は特権階級だと勘違いし、法さえも守らない人間は、即刻退場してもらわなければ困るのです。
 
 私は日本人のほとんどは信頼に足る良き善人だと思っています。しかしどのような社会であっても、不正をしてでも人の上に這い上がってゆこうとする人間が一定数いるのです。そうやってのし上がっているのが、悪徳な政治家やブラック企業の経営者といえます。
 そのような人間が行う不正を抑制し、国民生活の公正と秩序を保つために法律があるのですが、残念ながらこと政治の世界では法律が不備だらけなのです。 

「美しい日本」を未来に伝えるために

 日本人は他国と比べても平均して優秀な能力を持ち合わせ、規律を守り、勤勉であるという特質を持っています。
 ですから、自民党に変わる政権が国のかじ取りをしっかりし、企業や行政が古い体質から脱却できるのであれば、日本はかつてのような輝きを取り戻せると私は信じています。
 
 近年は多くの外国人が日本を訪れています。そして独自に発達したユニークで洗練した文化、安全で秩序正しい社会、他者との協調に配慮する国民性に驚き、称賛して帰って行きます。
 
 私はこの国が好きだからこそ、その美しい特質を失くさずに、今の子供たちの世代、そして次の世代へと伝え続けてほしい。そう強く願うのです。
(全6回)

(#019 2024.05)


 
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?