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街の雰囲気は「区」ではなく「鉄道路線」で決まる。

タイトルのままの持論である。

23区の中で巷のイメージがなんとなく固まっている区を例にあげると

世田谷区→金持ち多そう。

渋谷区→若者が遊ぶ場所。

新宿区→都会っぽい。住むところなさそう。

中野区、杉並区→若者が住んでいそう。

おそらく近からず遠からずといったところだろう。以上の区を通る沿線の駅を簡単に紹介し、その路線のイメージをなんとなく語っていく。

①西武新宿線

高田馬場(新宿区)→下落合(新宿区)→中井(新宿区)→新井薬師前(中野区)→沼袋(中野区)→野方(中野区)→都立家政(中野区)→鷺ノ宮(中野区)→下井草(杉並区)→井荻(杉並区)→上井草(杉並区)→・・・・

ぱっと羅列してみた。上京したての若者や埼玉、神奈川あたりに住んでいる人からしたら「杉並区」「中野区」「新宿区」は知っていても、これらの駅名は「知らん」と一蹴されそうだ。中井駅、下落合駅は新宿区であり、都庁をイメージしているとびっくりするくらいの住宅地である。基本的にこの沿線の中野区、杉並区は遊びに行くようなところではなく、住宅地としての性格が強い。下井草あたりの平日昼間は高齢者がわんさかしている。高円寺、中野あたりに溢れかえっているような古着屋、カフェ、居酒屋なんかは少ない。「地味な住宅街路線」といった感じである。

②JR中央線

大久保(新宿区)→東中野(中野区)→中野(中野区)→高円寺(杉並区)→阿佐ヶ谷(杉並区)→荻窪(杉並区)→西荻窪(杉並区)→・・・・

ひとつひとつの駅をみても粒ぞろいで名のしれた駅ばかりである。それぞれの駅前は活気に溢れ、似たりよったりの寄せ集めでもなく、それぞれ個性のある街である。中野、高円寺、阿佐ヶ谷あたりはファッション、音楽、酒、といったコンテンツのにおいがぷんぷんするのである。荻窪、西荻窪あたりとなると、閑静な住宅街をそなえつつ、駅前には活気があり、攻守のバランスが良い駅である。「若く、活気があり、人も多い路線」といったところだ。

③京王線

初台(渋谷区)→幡ヶ谷(渋谷区)→笹塚(渋谷区)→代田橋(杉並区)→明大前(世田谷区)→下高井戸(世田谷区)→桜上水(世田谷区)→上北沢(世田谷区)→八幡山(世田谷区)→芦花公園(世田谷区)→千歳烏山(世田谷区)→・・・・

渋谷区、世田谷区、杉並区で占められており、西武新宿線同様、渋谷、世田谷、杉並はという区名は知っていても、これらの駅を知らんという人は多いかと思う。明大前から八幡山まで、世田谷区に属するが、ほぼ杉並区との境にあたる範囲に路線が通っている。世田谷区、杉並区の住所がほしい若者が住み始めるのに手頃なのか、電車内もそこそこ若者が多いのである。特に初台、幡ヶ谷、笹塚は渋谷区だが、他の渋谷区のエリアと比べ地価が安いので、「俺渋谷に住んでいるぜ」と周りの人達に言うにはお手頃なのである。全体的に住心地はそこそこ良い上に、駅前もそれなりに活気がある。さらに小田急線、井の頭線、東横線、田園都市線に見受けられる、意識高い系、プロ市民感は薄いイメージである。「若干地味だが攻守バランス良し路線」といったところだ。

④小田急線

南新宿(渋谷区)→参宮橋(渋谷区)→代々木八幡(渋谷区)→代々木上原(渋谷区)→東北沢(世田谷区)→下北沢(世田谷区)→世田谷代田(世田谷区)→梅ヶ丘(世田谷区)→豪徳寺(世田谷区)→経堂(世田谷区)→千歳船橋(世田谷区)→祖師ヶ谷大蔵(世田谷区)→成城学園前(世田谷区)

小田急線となると駅名を見ても、かなり渋谷区感、世田谷区感が漂ってくる。渋谷区、世田谷区といったラインナップで見ても京王線と共通するところはあるが、駅のポテンシャルは小田急線の方が全体的に高い。特に、いわゆる奥渋である代々木八幡、高級住宅地「大山町」有する代々木上原、ファッション、音楽、演劇の町下北沢、東京屈指の高級住宅街「成城」有する成城学園前。これらのインパクトが強く、また、その他の駅についても平均点以上はとっているかと思われる。簡単に総括すると「やや派手めだが、落ち着きはある路線」といったところだろう。

⑤東急田園都市線

池尻大橋(世田谷区)→三軒茶屋(世田谷区)→駒沢大学(世田谷区)→桜新町(世田谷区)→用賀(世田谷区)→二子玉川(世田谷区)→・・・

こちらはすべて世田谷区に属し、性格で言えば小田急線とすこし似ているかもしれない。三茶やニコタマのような遊び場もあれば、用賀、瀬田、深沢等、品位のある住宅街もある。京王、小田急よりはエリアのポテンシャルは上と思っていそうであり、また実際のところ、そうだと思う。

こんな感じで同じ世田谷区でも京王線、小田急線、田園都市線で比較するとそれぞれ性格が違うということがわかりやすいだろう。特に京王線の世田谷勢はだいぶ地味に見える。また、路線イメージもそうだが、駅から離れた地区の戦闘力はさらにガタ落ちする傾向がある。喜多見、宇奈根、鎌田、北烏山、上祖師谷、給田等このあたりが該当する。しかし、深沢、瀬田あたりも駅から遠いが、もはや電車を必要としない車移動をメインとする富裕層が住むエリアなのだろう。

渋谷区内を見ても、みな性格が異なりなかなか面白い。

広尾、松濤→セレブの住むところ。

神宮前、恵比寿、代官山→単価高めのショッピングエリア。

富ヶ谷、神山町→奥渋谷。お洒落スポット。

渋谷→新宿、池袋と比較される大繁華街。

代々木神園町→代々木公園。明治神宮。カラスは多いが都心とは思えない緑の豊かさ。夏はひぐらしも聞こえる。

代々木→ほぼ新宿。

本町(ほんまち)、幡ヶ谷、笹塚→下町感。ごちゃごちゃ感。

なかでも本町、幡ヶ谷、笹塚はどことなく異質な感じはするだろう。渋谷より新宿のほうがアクセスがよく、距離で見ても近いので、渋谷区ではなく新宿区だと勘違いする人もたまにいる。また甲州街道より北か南かで雰囲気も多少変わる。北側はどことなく杉並、中野感が漂っている。実際、杉並区方南、中野区南台に住む人の一部は笹塚、幡ヶ谷の駅を利用している。渋谷区の南側である神宮前、広尾あたりなんかは港区感がなんとなく、ある。実際、青山、麻布あたりの区境であるからだろう。

また冒頭で申し上げた

世田谷区→金持ち多そう。

渋谷区→若者が遊ぶ場所。

新宿区→都庁。都会っぽい。住むところなさそう。

中野区、杉並区→若者が住んでいそう。

という巷のイメージは、実際のところ以下のような現実もあることを知っておくべきだろう。

世田谷区→金持ち多そう。→一部の陸の孤島には金持ちはいない。 

渋谷区→若者が遊ぶ場所。→幡ヶ谷、笹塚あたりは都営住宅が林立しており、じじいとばばあで溢れている。

新宿区→都庁。都会っぽい。住むところなさそう。→落合、中井あたりはがっつり住宅街。

中野区、杉並区→若者が住んでいそう。→西武新宿線あたりはじじいとばばあばっか。

以上のことから、「区」だけでその地区のイメージを判断すると、痛い目を見ることになるだろう。路線、駅からの距離、隣接する区、様々な要因からその地区の性格はなりたっており、それをきちんと俯瞰して把握し、理解しておくことで、周りの知り合いと話す際に、勘違いの言動、振る舞いをさけることができると考えられる。


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