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不妊治療@バルセロナ 中断、そして緊急帰国


年始から仕事で新しいプロジェクトがスタートし、イミフな専門用語と久々のビジネス英語に悪戦苦闘している間に、こんなに時間経ってしまった。。。 前回はバルセロナで猛威を振るったコロナにより、予定よりだいぶ早く帰国することになってしまったくだりでした。これが昨年2020年の3月頃のお話。 

その時点で妻は数週間にわたり排卵誘発剤を毎日お腹に注射する日々を続けており、使用済みの注射針を入れる箱は満杯。すっかりバルセロナの地で顕微受精を進める覚悟でしたが、非常事態宣言が発令されるバルセロナに留まってコロナ感染→満足する医療が受けられず重症化、という事態になったら元も子もないので、採卵はやむなくキャンセルです。

 妻と共に家から徒歩5分のクリニックへ向かい、担当の先生へその旨を伝える。確かこの時は通訳を使わなかったかな。その先生は英語もできるので。とても優しくて、説明もちゃんとしてくれた先生だったので名残惜しい気持ちはあるものの、やむなく別れを告げる。「うわーこの日本人もったいな・・・コロナなんてただの風邪なのに怖がって帰っちゃうんだ」とか思われていたんだろうか。

 診察室を出て受付にて、「あれ、そういえばこれまでの金ってどーなんだ?」という素朴な疑問に気づく。そう、このクリニックでは、これまでの診察代は毎回支払うのではなく、不妊治療のプロセスが終わった段階で支払うことになってたのでした。 しれっと逃げてしまうこともできるものの、さすがに日本人の品格を著しく損壊するのもまずかろう。 受付で聞くと、「あとでメアド宛に請求書送るから振り込みお願いします」とのこと。これから日本に脱出するって言ってるのにええんかいな。これぞスペインというかラテン系の楽天的なノリ、と言ってしまって良いのか、ザルなところと言うべきか。1年半住んでバルセロナラブになってしまった私としてはもうこれ以上言うまい・・・。 後日届いた請求書からすると、診察代や私の採精・分析費用などで約30万円くらいでした。妻の採卵に向けた排卵誘発剤などは別で、これはどのくらいかかったのかな。

 とにかく、そんなこんなで30万円以上の費用をかけ、バルセロナでの不妊治療はまさかの「中断」という結末を迎えた。損得素直に考えれば単純な無駄金だが、バルセロナに残ってコロナ感染のリスクを抱え、外国人として満足な治療が受けられず重症化などしたら元も子もないので、やむなしという結論に基づく行動だった。 現に留学先のビジネススクールでは、コロナを恐れずホームパーリーに勤しむ猛者たち&そのルームメイトを中心に、加速度的に感染が広がっていた。既に発生した支出を取り返そうとリターンを追求しすぎてかえって身を滅ぼすのは、ギャンブルやビジネスでの失敗の典型例で、絶対に避けねばならん。

 そんなわけで、不妊治療の中止をクリニックに申し入れた妻&私は翌日早朝のフライトを予約。どうやら翌日に非常事態宣言が出そう、タクシーも動かなくなるとのマンション管理人のおじさん発言を真に受け、最低限の荷物だけスーツケースに詰め込み、夜中にバルセロナ空港近くのホテルに移動したのでした(結局非常事態宣言が出てもタクシーは動いてたらしい)。 翌日、非常事態宣言の内容が不明瞭だったこともあり、「飛行機飛ばなくなったら終わりだよな」と話す我々の心配をよそに、問題なく飛行機は飛び、さしたる実感もないまま、我々は桜咲き花粉漂い春ときめく日本へ帰国したのでした。 

帰りの飛行機の中では色んな思いが胸に去来。「これでスペイン生活も最後なのだろうか」「あ、そういや授業まだ残ってるけど(残りオンライン授業で)卒業できるんだっけ」「あ、冷蔵庫に卵置きっぱなしにした。ヒヨコになって孵ったらどうしよう。荷物取りに帰った時家が養鶏場になってしまうんじゃないか」etc...今考えれば、ミッションインポッシブルさながらの脱国劇に軽くハイになってたかも。

そして、不妊治療については「さて今後どうしようか」。でもこの時点で、ほぼ妻と私の気持ちは固まっていました。次回からは、不妊治療後半戦@日本をお送りします。

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