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気功的、ペットボトルのフタの開け方。

手に力が無くてペットボトルのキャップを開けられない、というのは高齢者になってみないとわからない事のひとつだ。我々は言われないと気が付かないし、言われたとて『そのくらい、頑張ればできるだろう』と思っている。それで高齢者の目の前にドンとペットボトルを置き「ご自由にどうぞ」などと言っている。100均には便利グッズも売っているらしいが、外出先では困ってしまうだろう。

ペットボトル難民

買ってもどうせ開けられないからと、飲物を買う事を諦めてしまう人もいるそうだ。まさかそんな理由で飲物を我慢する人がいるなんて。どんな田舎の田んぼ道にも自販機があっていつでも冷たい飲物が手に入る日本で、人知れずひっそりと暮らすペットボトル難民がいる、これは高齢化社会の盲点なのではないだろうか。(大袈裟)

そりゃ中には、自分で開けられないにも拘らず購入し、近くにいる人に「フタ開けてみて」と頼む、いじわる婆さんみたいな強者もいるというが(蛇でも出てくるのか?)、世の中そんなにタクマシイ人ばかりではないのだ。

私は想像する。ペットボトル片手に熱中症になった高齢者が救急車の中で「フタが開かなかったから」なんて言っているシーンを。。惨めすぎるではないか。

年齢性別国籍を問わず誰だって、フタが開かないもどかしさは経験済みであろう。プルトップだけ取れてしまった開かずのサバ缶、ビクともしないジャムの瓶のフタ、ボロボロになったワインのコルク、、、ペットボトルだって例外ではないのだ。残念ながら想像力の欠如と言わざるを得ない。政府は早急にこの問題に着手し、ペットボトル難民を救済していただきたいと願うばかりだ。


親指と肩の関係

気功のセンセイは、力がなくても力が伝わるコツがあるのだという。これまでも固いかぼちゃを切るコツや、重いものを持つときのコツなどを教わってきた。からだのどこに重心を置くか、どこをどう使うかによって、力が弱くても相手を負かすことが出来る。センセイは常にそれを考えているようで、「昨日は庭の草むしりをしながら試しているうちに草はすべて抜き終わりました」と言っていた。

センセイの考察によると、こうだ。
ペットボトルのキャップを開けるとき、普通は親指と人差し指でつまんでひねるが、力を込めると肘が上がり肩に力が入る。これでは力が伝わらない。
そこで、親指と人差し指ではなく、中指と薬指でキャップを包むように持つ。他の指は添えるだけ。このとき脇をしめて腕が上がらないようにする。そしてからだ全体で開けるのだという。

親指に力を入れると肩が上がる。親指と肩は連動しているという発見!どちらかといえば小指側に力を入れるようにすると、脇がしまって力が伝わりやすい。『肩ひじ張らずに』とはよく言ったもので、肩の力を抜き、肘を張らずに脇をしめるというのは、リラックスしながら気を抜かないということである。

ダラ~っと寝ていても少しの音で即起きるうちの犬を見習った方がよさそうだ。そのほうが相手も油断してうっかり気を緩めてしまうだろうから、その隙を突いて一撃である。『ハハハ参ったか。脇が甘いのだよ』というイメージで、いざペットボトルのキャップに挑もう。

「ホントだから、一回やってみて」とセンセイは笑った。ちなみに足は、小指側ではなく親指に力が入るように立つのが気功の鉄則だ。座っている場合でも足の裏は床にピタッと付け、骨盤を立てる。からだ全体で開けるというのはそういうことである。


エール

万策尽くしたが、それでもどーしても開かないという人もいることだろう。トライしてできなかった時の落胆を思うと、高齢者に軽々しく「こんな方法もあるよ」などと言えない。この方法を試す時期というのは限られている。キャップが開けられなくなってからではもう遅い。

「あれ?このキャップ固くない??」とか言いながら力ずくで開けて節々が痛む、そんな初老ジャパンへのエールとでも解釈していただきたい。飲物だけにエールとかうまいこと言った感があるが、まだまだ人の世話にはなりたくないと思っている初老を応援したいしされたい。励まし合うのも生きるコツなのだ。

そしてキャップが開かなくて困っている高齢者を見かけたら、開けてあげよう!私もこの先、自分のからだを持て余すような日が来ても、好きな飲物を誰かに開けてもらって飲みたい。シュワシュワのカルピスソーダとかね。ほら、炭酸は水筒に入れられないし、ばあさんは麦茶って決めつけないでほしい。

もしかしたら、そう遠くない未来に、誰でも簡単に開けられるようなペットボトルのデザインに進化するかもしれない。缶詰のフタが缶切りなしでも開けられるプルトップに進化したように。

「昔はひねるキャップでさ~、不便だったよな~」なんて笑いながら、運動会の種目と化した『キャップ開け競争』の応援をするのだ。

がんばれ~!
脇をしめて~!



行雲流水


※かぼちゃの切り方はこちら
https://note.com/suga_yuki/n/ne72828c46473


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