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ボカロは前時代になりつつある

スガです。

 要約すれば140字程度の、Twitterで済むような話なのですが、より詳細を書きたく、noteに記します。

 最近流行りのYOASOBIの楽曲「アイドル」を鏡音レンがカバーした動画があり、そのコメント欄に興味深い感想がありました。


コメント欄

「やっぱりボカロ違和感ないですね、最高です」という感想に対して「違和感しかないんやが俺がおかしいのか」と返信をしている方がいました。

 そもそも「ボカロ」っていうのはVOCALOID(ボーカロイド)と呼ばれる、声を発してくれる製品のことで、これに歌わせた楽曲を「ボカロ」という音楽ジャンルに分類するようになりました。(様々なコード進行や使用楽器などのアプローチがあるのに、ボカロに歌わせただけで「ボカロ」というジャンルに入れられることに私は懐疑的なのですが、その話は置いておきます。)

 YOASOBIのメンバーの1人であるコンポーザーのAyaseさんはニコニコ動画でボカロ曲を発表していた過去があるため、Ayaseさんは「ボカロ畑の人」とも言えるわけです。なので、Ayaseさんの楽曲もといYOASOBIの楽曲にはボカロ的な要素が含まれていてもおかしくないし、ボカロ的だと感じることもおかしくないというかむしろ妥当な考えです。実際鏡音レンがカバーした「アイドル」はがっちりハマっていると私は思います。

 しかし、ボカロのカバーに「違和感がある」という考えが現れたのはつまり、上述したバックグラウンドを持っていない方が現れたからです。「ボカロ」は社会現象でした。CMに使われ、音楽番組に流れ、ボカロを通じて様々なコンテンツが生み出され、大抵の人には「ボカロ」がどんなものかわかる状態でした。時間は流れ、ボカロが大きくメディアに取り上げられなくなり、全時代的なものになったため、ボカロを詳しく知らない方が現れ、「違和感しかないんやが俺がおかしいのか」という感想が出てきたと考えられます。

 これは面白い事象だと思いました。「知識が音楽の聴き方を変える」ということは経験してきました。知識はあればあるほど音楽に対し様々な感じ方ができると思ってきました。しかし、知識が無いことで、知識がある時には得られなかった感想を得られることがある事象があることを今回の件をもって知れました。いい収穫でした。

 例のコメント欄で悲しかったのは、「違和感しかないんやが俺がおかしいのか」という意見に対し「そんなわけないだろ」といった趣旨の、語気の強いコメントを返信する方がいたことです。違和感を覚えたことは何も悪くないです。他者の感想を否定するようなことはやめて欲しいものです。

 以上です。

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