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豚の品種は何がある?スーパーで見る三元豚の仕組みも解説!
皆さんは豚肉の美味しさが何で決まっているか知っていますか?
豚肉の品質に関係するのは「品種」「飼料・水」「飼養環境」の3つです。
この中でも「品種」は赤身の質や脂肪の付きぐあい、食感など多くの影響を及ぼします。
さらに現在の豚の品種やその血統構成は、古くからの品種改良を重ねより経済性と肉質を高めたものになっています。
最近では生産する豚の血統構成に特徴をもたせて差別化豚肉(ブランド豚)も有名です。
この記事ではそんな豚の品種や交雑方法について、食肉業界に勤務し、養豚場での業務経験もある筆者が解説していきます。
普段スーパーなどで何気なく見ている豚肉の見え方が変わるかもしれませんよ。
ぜひ最後までお読みください!
日本で飼養されている代表的な6品種を紹介
世界には多くの品種が存在していますが、日本で飼育されているのは主に6種類です。そしてほとんどの場合は何種類かを組み合わせた「交雑種」が食肉用の豚として育てられています。
1.大ヨークシャー(W)
![](https://assets.st-note.com/img/1714259815567-2agQSsCj8U.png)
原産国:イギリス
特徴:大型で白色。発育が速く多産。立ち耳でしゃくれている。
肉質:赤肉と脂肪のバランスが良く精肉用・加工用ともに適している
大ヨークシャーは大型の品種で、発育に優れていることから日本でも主流の品種です。主に雌系の品種として用いられます。
2.ランドレース(L)
![](https://assets.st-note.com/img/1714260321313-7xWu0wkPQK.png)
原産国:デンマーク
特徴:大型で白色。体長が長く垂れ耳。繁殖能力に優れている。
肉質:背脂肪が薄く、赤身が加工用に使われている。
ランドレースも日本では雌系品種として飼養頭数が多いです。
後躯が発達していることから子数が多く、泌乳量も多いため繁殖能力が非常に高い品種です。
3.デュロック(D)
![](https://assets.st-note.com/img/1714260332377-q9pjGE7gwu.png)
原産国:アメリカ
特徴:大型で褐色。体質が強健で性格は穏やか。産子数は多くない。
肉質:霜降りが特徴的であり、日本人の好みにあった肉質をもつ。
デュロックの大きな特徴は肉質です。きれいなサシが入ることから日本人に好まれる肉になります。
また強健性と穏やかな性格は、安定的な生産を行うためにも非常に重要であり、日本では雄系の代表的な品種です。
4.中ヨークシャー(Y)
![](https://assets.st-note.com/img/1714260344257-wEW1aJiaLt.png)
原産国:イギリス
特徴:中型で白色。顔は短く、しゃくれている。発育はやや遅い。
肉質:きめが細かく、脂肪の質にも優れている。
中ヨークシャーは昭和30年代までは日本でも主流の品種でした。肉質にも優れていますが、発育面などからより経済性に優れた大型種が主流になり、現在では飼養頭数はわずかです。
5.ハンプシャー(H)
![](https://assets.st-note.com/img/1714260354698-E8pnPu1uh4.png)
原産国:アメリカ
特徴:やや大型。全体は黒く、肩から前肢にかけて白帯がある。
肉質:脂肪は少ないが、筋肉量が多く赤身の評価が高い。
赤身の割合が高いことが特徴的な品種で、雄系に用いられる。
1970年代までは日本でも交雑種として多く用いられた品種だが、最近ではほとんど使われない希少品種である。
6.バークシャー(B)
![](https://assets.st-note.com/img/1714260366906-Qxm6VkvemL.png)
原産国:イギリス
特徴:中型で黒色六白(四肢、尾、鼻先が白色)。産子数が少なく、飼育期間も長い。
肉質:歯切れの良い食感があり、食味にも大変優れている。
黒豚と呼ばれる品種で鹿児島県で飼養頭数が多い品種です。子数も少なく発育も遅いため経済性は高くないですが、その分肉質が非常に高くブランド化されている品種になります。
また、純粋交配をもって生産されるのも大きな特徴です。
三元豚は普通の豚!生産性を高めるコツは複数の品種の良いとこどり
日本ではこれまで紹介してきた複数の品種を組み合わせることで、より経済性の高い豚の飼育を行っています。
そして一般的に用いられる交雑方法が「三元交雑」です。これは3種類の品種をかけ合わせることを意味しています。
三元交雑として最も一般的なのが「LWD」と呼ばれる組み合わせです。Lはランドレース、Wは大ヨークシャー、Dはデュロックを表し、この3種を交雑させる方法になります。
![](https://assets.st-note.com/img/1714260420411-3EvpFmBIqN.png?width=800)
ランドレースと大ヨークシャーは発育や繁殖能力に優れており、まずこの2種を交雑させます。この交雑種に肉質の優れたデュロックをかけ合わせることで、肉質に優れた豚を多く生産できるのです。
生物学では雑種同士を交配させることで、それぞれの良さを受け継いだ優秀な次世代が生まれるという考え方があります(雑種強勢)。
養豚においてもこの考え方を利用して、経済的かつ食味に優れた豚肉をつくるために日々研究がされています。
ちなみにスーパーなどでよく見かける「三元豚」とは三元交雑によってできた豚肉であるため、それ自体は決して珍しいものではありません。
生産者のなかには三元交雑の中身をLWD以外にすることで、肉質をより高め差別化を図っているケースもあります。
そのため三元豚だから良い豚肉というわけではなく、三元豚のもとになる品種の組み合わせをみることが重要であると覚えておきましょう。
【まとめ】豚の品種と交雑には長年の知恵と生産者の思いが詰まっている
豚の品種にはそれぞれ長所と短所があり、各品種を組み合わせることでお互いの良い部分を引き出すことが重要です。
そして組み合わせの方法には生産者の意向が大きくかかわってきます。
こういった視点で見てみると、今までとは違った観点から豚肉を選ぶことができるかもしれませんよ。
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