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#本

「蜜蜂と遠雷」はあの頃の原体験だ|読書感想文

あなたは世界に 耳を澄ましてみたことがあるだろうか。 今回感想を書くのは恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』だ。映画化もされ、直木賞と本屋大賞をW受賞している。 『蜜蜂と遠雷』は4人のピアノ奏者を巡る物語であり、ピアノというものを通して見る凄まじい人生の一欠片であり、そして私たちが世界を感じたあの日の物語だ。 いままでピアノコンクールに行ったことはないし、書かれているその曲がどんな曲か直ぐには出てこない。ピアノをちゃんと弾いたことも、聴いたこともない。だけれど、この本は不思議と、

岸田奈美さんの『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』を読んで|読書感情文

会ったこともない、知り合いでもない家族を、こんなにも大好きになってしまった。 人生でそんな経験あるだろうか。 このnote、最初は「読書感想文」で書こうとしてみたけれど、どこからどう見てもこれは「読書感情文」だった。 岸田さんについて私はnoteでたびたび、岸田さんの記事を読んでいた。 まるで目の前に彼女とちゃぶ台を挟んで、氷の溶けてしまった麦茶を傍らに向かい合ってずっとお喋りを聞いているような感覚のする彼女の不思議な文章は多くの人をぐっと惹き込んでいた。わたしもその一