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副業の事業所得と雑所得の区分の続報

少し前に副業を行っている方の
所得税申告について、
300万円基準が新設される改正案の公表が
あったことを案内しました。

詳細は、以下のブログをご覧下さい。

副業の申告について改正案の発表 - スエナガ会計ホームページ (komachi-kaikei.com)

上記の改正案について、
意見募集が多数寄せられたことにより
通達の修正案が公表されました。

今回は、副業の所得区分に係る
通達の修正案を紹介します。

副業の所得区分の通達案

それでは、今回の通達の修正案ですが、
以下の通りとなります。


国税庁ホームページより

「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)|国税庁 (nta.go.jp)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/pdf/02.pdf


こちらの通達では、基本的には
記帳」と「帳簿書類の保存」により
区分されております。

ある意味、当然と言えば当然ですが、
記帳と帳簿書類の保存がなければ、
事業所得に区分される余地がほぼなくなったと考えられます。

実際には、収入金額が300万円を超えている場合、
帳簿書類がないのみの事実で所得区分は判断せず
事業所得と認められる事実があれば、
事業所得とすると示されていますが、
帳簿書類がないのに、事業と認めてもらうには
相当な高いハードルがあると考えられ、
あてはまる事象はあまりないと考えます。


事業所得には帳簿書類

それでは、帳簿書類がある場合ですが、
収入金額にかかわらず「概ね」事業所得と
示されました。

この概ねについては、非常に気になる表現ですので、
後ほど紹介します。


帳簿とは何か?

まずは、帳簿について、一体何なのかを紹介します。

以前、以下のブログでも紹介しましたが、
帳簿とは、必ず作成しなければならない
主要簿」と
それ以外の
補助簿」が
存在します。

帳簿の記帳と作成方法 - スエナガ会計ホームページ (komachi-kaikei.com)

今回、事業所得に区分する為に
帳簿書類の保存が必要となりましたが、
最低限、主要簿の記帳は必要となります。

よって、以下の帳簿は必ず作成しましょう。

1. 仕訳帳
2. 総勘定元帳

記帳の方法は、
会計ソフトを利用する方法や
エクセル及び手書き等
規模などにより、様々な選択肢があります。

自分に合った方法を選択するようにしましょう。


書類とは何か?

次に保存が必要な書類とは何か?について紹介します。

国税庁 スキャナ保存パンフレットより

上記のように、取引を行った場合に受領した
請求書や領収書などと
自分が取引の相手に渡した請求書なども含まれます。

要するに、帳簿に記載した取引の
証拠となる領収書などを保存しておくこととなります。

よって、特別新たに必要となることはなく、
今まで通り領収書を捨てずに置いておく必要がある
ということとなります。



概ね事業所得とは?

さて先程も触れましたが、
帳簿書類があれば、なんでもいいかといえば
そうではないこともあります。

では、どのような時には判断が必要かですが、
以下の2項目が例として挙げられています。

1. その所得の収入金額が僅少と認められる場合
2. その所得を得る活動に営利性が認められない場合

収入金額が僅少とは?

まず一つ目の要件として、
収入金額が僅少の場合が挙げられています。

収入金額が僅少とは、本業である主たる収入に対して
副業である収入が少ない場合ということになります。

具体的には、
副業での収入が、例年300 万円以下
主たる収入に対する割合が 10% 未満の場合に
金額が僅少であると判断されます。

例えば、給与収入が年間800万円の方であれば、
副業の収入が80万円未満であれば、
ここでいう「僅少」に該当してしまいます。

このような場合には、
個別判断で「雑所得」に区分される可能性が
あるので、所得計算には注意が必要です。


営利性が認められないとは?

次に、営利性についてですが、
具体的には以下の例が示されています。

副業の所得が例年赤字で、かつ、
赤字を解消するための取組を実施していない場合は、
「営利性が認められない場合」に該当することになります。

やはり、事業というには、
赤字がずっと続いているのは考えづらく
・売上を増加させる
・営業活動を行う
などの努力が必要であるという事です。

よって、事業として区分する場合は、
具体的な営業活動や
受注範囲を拡大して売上げ増加に務めている等の
自身の活動を証拠として残しておき、
説明ができるようにしておくことが重要となります。




まとめ

今回は、副業の場合の
所得区分について、所得税の通達修正案を紹介しました。

最終的には、前回の改正案と同様に
事業として認められるためには
社会通念上の「事業」という論点が
残っています。

実態が事業である場合は、
活動の状況等の記録を残しておくようにしましょう。

(過度な副業節税は、税務当局が厳しく監視していることを
理解しておきましょう)

#日経COMEMO #NIKKEI

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