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いい技術にしっかりとお金を払う文化。

短い昼寝から目覚める。暗さが射しこみはじめたリビング。微睡むまなざしの視線の先に見える机の上にはまっ白い箱がぽつんと置かれている。

一週間前に試着に行ってから今日まで、心待ちにしていた気仙沼ニッティングetudeを購入した。etudeとはフィッシャーマンズセーターという漁師たちが防寒のために着ていたセーターの一種とのこと。店員さんにわがままを言って、生成りという羊の毛そのままの色味のセーターを気仙沼から取り寄せていただいていた。しかし、店員が快くたくさんの色を試着させてくださるのでお言葉に甘えて、、、と何着も袖を通してみる。と、当初は想定もしていなかった、冬の海という色のセーターに心を持っていかれた。

気仙沼の、冬の海をモチーフに作った色です。
海と山が近い気仙沼では、たくさんの養分が注ぐのか、
海が生命力にあふれた緑がかった青色をしています。
とくに冬になると、その色が濃く澄んで、美しい。
その色を毛糸に染めたのが、この「冬の海」。
ブルー系なのですが、寒々しさがなく、
不思議な豊かさのある色です。
( 気仙沼ニッティングHPより )

家に帰ってきてから、この文章を読むとまた、いいなぁ、うれしいなぁ、とほくほく心があたたまる。実際に箱を開けてセーターを眺めていると、それこそ海のなかにすうっと吸い込まれそうになる。いつまでも見ていられそうな気分になってくる気分になってくるから不思議だ。

極めつけはこちら。

証明書には編み手さんと品質確認担当者さんのサイン。紙を手でなぞると筆圧のへこみがあるから、これは直筆のサインであることがわかる。すべてが手編みであり編み手さんが誰かわかるようになっていて、丁寧さが伝わってくる。さらには、編み手さんへのメッセージまで同封されていた。明日さっそく着てみてお礼のお手紙を書こうかなと思えてくる。こういうつながりを育む気遣いもにくい。

夜遅くにこうして書いているあいだも明日これ着て出かけることが楽しみで仕方がない。ちなみに、このnoteを執筆しているパソコンのそばには自分でドリップしたコーヒーが置かれている。とても善きこだわりをもって、コーヒー豆を焙煎して喫茶店を営んでいるお店から買ってきたものだ。その店主と話していて思ったこと。

作り手さんがいいものを手間をかけて作り、もうちょっと高い値段を付けて、書い手がそれにしっかりとお金を払うのって大事だなぁ。いや正確にはすこし違うな。大事とかそういう仰々しい言葉ではなく、そっちのほうが単純に気持ちがいいと思う。

いい技術にしっかりとお金を払う文化が育つといいなぁ。僕は率先して、そうやって暮らしていきたいと思うのです。

追伸、、、
そんなことを書いていたら、先日家族写真を撮影してもらった幡野さんから一枚の写真がメールボックスに届いていた。・・・じつに、すてきだ。これもまたある意味では、幡野さんの技術を買うという嬉しいお金の使い方だと思うのです。


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