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整形外科での一幕

膝の痛み緩和のため、整形外科にリハビリに行く。医師から「できるだけ通うようにしてください」といわれている。早期退職した身ゆえ、時間はある。平日の午前は概ねリハビリ。患者さんは、私よりも年長の方が多いのだが、別に悪いことをしているわけでもないので堂々と通っている。

多分、早期退職で良かったのは「昼間からぶらぶらしているのはみっともない」「世間からどう見られるか」という呪いから距離を置けたことだ。その分、世の些事に疎くなっているが、別に良いではないか。

私は運転免許も持っておらず、英語も殆ど話せず、ITスキルもなく、スポーツについては無知であるが、他人様のお金を横領してギャンブルにつぎ込むようなことはしていない。ごく普通の人畜無害な小市民であるし、それでいいと思っている。
向上心は薄いが、他人様に迷惑をかけず、穏やかに生きられればいいのだ。



カーテンで仕切られたベッドで、施術を待っている時に、スタッフさんの声が聞こえた。どうも「久しぶり」の患者さんに指導しているらしい。その方は治療部位が固まって動かせなくなっているらしかった。
「ご両親の世話が大変なのはわかります。でも、あなたも自分の身体を大事にしなくちゃ。ここで放置していたら、治るものも治らない。しっかり通って、動かしていかないと」

そうだよなあ。どんなに忙しくても、自分のケアは自分でするもの。医院はその手助けをする場所なのだ。
本人にやる気がなければ、改善は見込めない。

このスタッフさんは結構口調が厳しいが、温かみのあることをおっしゃる方である。ちなみに私は殆ど指導されたことはない。多分、間を空けずに通う真面目な人間なので、指導の必要がない、と思われているのだろう。

「平日足しげく通って大丈夫?お仕事は?」と聞くようなスタッフは誰もいない。いい時代になったものだ。安心してリハに励もう。


<おまけ>
どうでもいいけど、あの黒い粉は、結構気を遣う。

年々、消費量が増えているので、髪から落ちる量も増えるのである。いつも枕(の上のキッチンペーパー)が黒くならないか、気が気じゃない。
この時は、リハのスタッフさんが来る前に証拠隠滅ができたので、ほっとした。

平凡なように見えて、実はスリルに満ちた日々を送っている。

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