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作家による、東京アートイベント弾丸ツアー日誌。その②

その①の続きです!


日本の美術

制作活動を続けてる方ならば、クオリアートさんの名前を聞いた事があると思いますが、メールなどで出店者を募集し、国内外の展覧会を企画している会社だそうです。
活動を積極的に行ってますよ、とアピールしている割には、どんなアーティストやギャラリーさんからも「クオリアートさんの展示を見に行くべき!」という声が聞こえないことに、個人的にめちゃくちゃ謎めいた会社だなぁと思っていたのですが、せっかく企画展示を開催しているということなのでお邪魔してみることに。

率直に、「あー、哀しい展覧会だなぁ。」と思いました。
勿論、素敵な作品ありましたし、楽しんで制作してるんだろうなぁというワクワクする作品もあったのですが、どうしても展示空間の使い方や作品の配置など、なぜこうしないんだろう?と感じてしまう箇所が多くて。展覧会をやりました〜!で終わってしまう、終わった後の続きが見えない、作品の中身を掘り下げにくい、発展が少ない展覧会という印象でした。

ただ数を集めて入場者を増やすのではなく、「これだけ作品数があるなら、分かりやすくする為に作家さんの名前と会場の地図が分かる印刷物を入り口で配った方がいいね!」「この作品とあの作品は近くに置いたら良さを打ち消しあってしまうから、離しておこう。」などなど、展覧会に通っていれば分かるような配慮が無かったのも、引っかかりました。

運営側も、作品を見ることを楽しんで展示を開いてますよ!というものにしていかないと、今後良い作家さんは離れちゃうだろうな…。そんなことを思わせる展覧会でした。



オープン・スペース 2018
イン・トランジション

イン・ア・ゲームスケープ

この展示のサイトを見た瞬間から、これだから東京は楽しいんだよな〜!とニヤリ。それぐらいテーマだけでドキドキさせられる、オープン・スペース2018です。
今回は、『つねに変化していく現在のテクノロジー状況を移行期(in transition)ととらえ,その移り変わりの中に私たちの未来のヴィジョンを見出すアート作品を紹介』とのことで、簡単に言うと、近未来の風景を意識させるアート展ってことですね。

これ、まじで楽しかったので、ネタバレ控えめに良さを伝えようと思います。笑

入り口に佇むのは、グーグルのブラウザ画面。…ですが、実はこれ、風景絵画作品なんです。
インターネットというものをどう認識していますか?もう一昔前から、リアル空間とヴァーチャル空間の関係性って、大きく異なっていませんか?という問いかけ。
SNSやYouTubeと作品がリアルタイムに連動されて展示されているのも、現代のインターネットの関わり方を再認識させる要因になっています。


こちらはキューブ型の部屋に、左右正面の三面グーグルストリートビューの写真が投影されている作品です。
普通に映しているのではなく、この三面は全て異なる国の異なる場所の似たような場所。画像だと分かりにくいのですが、街並みや道路の繋がり方など、類似性と連続性を意識して画像を選ぶことにより、中に立っているとそれら三面と同一の空間にいるように認識させられるんですね。そもそも、その三面が全て異なる空間だというのに。

そして更に、音楽も付いています。映像と音の関係性を学ばせて、そこから音を作らせ、空間に広がります。これはすべて仮想空間。色んな地域の色んなものを観ているのに、一つの場所にいる気がしてきて、この先の未来、場所という概念が崩壊するんじゃないか?とワクワクさせられました。


こちらは、人工生命(ALIFE)を通して進化を観察し続ける作品。私の興味あるジャンルの一つが生物哲学なので、めちゃくちゃ心の中でテンション上がっていたのですが、何せ観察する作品なので、短時間だけでは到底この作品の究極の楽しみを体感できない。家に持ち帰りたかったです。笑

どうにか簡略化して説明すると、生命を観察したいと思っても、生命の進化って、そもそもその場で目に見て分かるものじゃない。ならば、人工生命で生命を観察してみよう!人工生命は巨大なので、短い時間における変化(脳)と大きな時間における変化(進化)が観察できる。それらが分かれば、自律性を持っていると言えて、生命の観察になるんじゃないか?
という感じです。たぶん。
これ以上私が説明するのは難しいので、是非現地で深く思考していただければと思います。生命ってなんだろう、もしこれが生命と言えるのであれば、今後は感情に対する価値も変わるのか?など考えることができて、本当に楽しかった。

(オープン・スペース 2018イン・トランジションのサイトはこちらよりどうぞ。)

…と、そんな感じで、たくさん近未来の風景をみさせていただきました。
ここでは紹介しきれなかったのですが、『自動運転の機能を逆手に取ったイタズラ作品』や『映像の透明度を変更することにより浮き出る彫刻作品』『ゲーム自体が完全に日常になったときのポートレート』などなど、楽しいアート作品だらけでした。


よく、「デジタルが発展しすぎて、日常がつまらなくなる。」「もう技術に着いていけない。」などという悲鳴にも似た声を聞くのですが、大切なのは『気付くことができるか』ということだと思います。それは、デジタルだろうがアナログだろうが一緒。

そうやって人間は、色んな知識を得て、気付き、視野を手に入れます。今までわからなかったことや見えなかったことが見えるようになるこの体感を『創発現象』と呼ぶらしく、この名称があることを知っただけでも東京に来た価値があったなと感じるのですが、それ程に、この『創発現象』は、アートの枠を超えて全ての日常においてとても重要なポイントとなります。

それは、これまでも、そしてこれからの未来も変わらないはずです。気付くことができるか、それが人生を楽しくできるかできないかの一番大切なところなんじゃないかなと、改めて今回の東京で感じることができました。


今年も私個人、そしてSUKIの制作活動や展示活動などは続きます。『創発現象』を多く与えられるものをたくさん試みていければいいなぁと考えておりますので、是非興味のある方は遊びに来てみてください!


#アート #デジタルアート
#展覧会 #東京

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