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私が学生に絵仕事をオススメしない理由【就活編】

0.はじめに

こんにちは、sue02です。

『とりあえずバズっておいた方がいいですか?』の次に、
学生からの質問で多いのは、
『フリーランスで仕事を受けておいた方が就職に有利ですか?』
という質問です。
私自身が専門学校時代からフリーランスをしていたため、
学校にうかがう度に、必ず聞かれます。

『バイトより稼げるから、絵が描けるならフリーランスで稼げ!』と、
推奨する方もネットでよく見るのですが、
私があなたのためを思ってアドバイスするなら、
就活目標の学生は、やめとけ!!!!!!!!!!!と言いたいです。
今回は、私の実体験を交えた、そんなお話です。

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1.『フリーランスはアルバイトより稼げる!』の裏側

■そんな、うまい話はない!

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『イラストの仕事は、アルバイトなんかより単価がいいから稼げる!』
と思っていませんか?

例えば、、、
飲食店のアルバイトは、都内では1000円前後です。
一ヶ月で平日12日出勤し、各5時間働いたとしたら、60,000円稼げます。
プラスで土曜日に8時間働いたとしたら、合計92,000円稼げます。
極端に言ってしまうと、出勤さえすれば成果に関わらずお金がもらえます。

では、イラスト仕事ではどうでしょうか?
フリーランス初心者に来る大半の仕事依頼は、
調整案件、予算がない案件、ようつべ漫画案件、個人依頼です。
金額はおおよそこのくらいです。
・調整案件は、2,000円~20,000円くらい(調整幅による)
・予算がない案件は、5,000円~3,0000円くらい
・ようつべ漫画案件は、1,000円~3,000円くらい
・個人依頼は、1,000円~5,000円くらい

上記を1点ずつ受けたとしたら、
最低額で9,000円、最高額でも58,000円です。
こういった案件は金額交渉をしてもNGなことが多いです。
ソシャゲバブルのときは、
1点4万円以上の描き下ろし依頼がたくさんあったのですが、
最近はプロのイラストレーターが多すぎて飽和状態なので、
あえて学生に依頼することは減っていると思います。

初心者フリーランスは、あまり多くの数をこなせません。
描く速度や効率を上げるにも、ある程度経験が必要です。

自分の限界を知りたいという出来心で、
夏休みに月20点を受注したことがありますが、
睡眠、まともな食事、絵制作等々を全て放棄しないとムリでした。
学生時代に同じくフリーランスをしていたクラスメイト達は、
月0.5~2点が多かったです。
就職活動や学業と両立するには、その位の数が妥当だと思います。

月3万円~4万円くらい稼げればいい!という方には、
数点受注するだけで良いので、バイトより楽に感じるかもしれません。
でも、バイト先の店長や先輩に相談するよりも
見ず知らずの依頼主と交渉する方が何百倍も大変っすよ…!


2.『フリーランスは自由に時間を使える!』の裏側

■スケジュールは自由なようで自由じゃない!

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フリーランスの厄介な所は、先方都合の影響が大きいこと!

描く速度に自信がある学生やプロ並みに画力がある学生もいるでしょう。
ただ、それだけでは、うまくいかないのがフリーランス!

『チェックバックは3日以内、納品連絡はなる早、振り込みは翌月末』
を業界基準にするべきと個人的には思うのですが、
イラストレーター本位で必ずしも依頼主が動くわけではありません…!

特に、イラスト制作を仲介している依頼主の場合、
チェックバックや納品連絡に2週間~1ヶ月かかるところも多く、
私の経験では、1回の監修に3ヶ月かかったこともあります。
で、さらに請求書のやり取りから支払いまでは、さらに1ヶ月~3ヶ月…
その間、収入は0円!スケジュールは総崩れ!になります。

就職活動は、思っているよりも早く始まります。
2年制の学校ともなると、1年の秋には準備を始めないと、
大手の応募には間に合いません。
納期に追われてポートフォリオができない!
というパターンは、フリーランスをしている学生あるあるです。
依頼主の無茶振りに翻弄されずに、就職活動と両立する自信はありますか?

また、描く時間自体は自由じゃん!と思われるでしょうが、
初心者フリーランスに回りやすい案件ほど、納期がタイトです。
実質的に、描く時間は制限されます。
さらに厄介なことに、こういった案件は替えがききます。
自由を確保するために断るほど、次案件の相談は来にくくなります。

『フリーランスはアルバイトより稼げる!』と言っている学生は、
運が良くて、ずば抜けた行動力で、世渡り上手なんだと思います。

うまくいかなかった学生の方が、何十倍も見てきました。
学生時代は短いですからね…
ちょっとした挫折でも、就職活動にめちゃくちゃ影響します。

と、ここまで仕事を受ける前提でお話していますが、
そもそも、そんなに都合よく依頼は来ません!!


3.『フリーランスは好きな仕事ができる!』の裏側

■イラストの仕事は、実力主義!

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『気に入らない仕事は、しなくても良いのがフリーランス!』
と思っていませんか?

最近のイラストの仕事は多種多様なので、
経験や画力が不足していても得られる仕事はあります。
その分、好きな仕事だけを得つづけるには、相応の努力が必要です。

仕事を選ぶ側になるには、『営業力』や『知名度』が必要です。
メール営業、SNS投稿、応募活動、イラスト会社への登録など、
色んな方法がありますが、
それをしたからと言って、必ず仕事を得られるとはかぎりません。
好きな仕事ともなると、さらに難しくなります。
ベテランでも、好きじゃない仕事を受けないと生活できない時もあります。

あなたは、仕事として割り切れますか?

また、営業をして、知名度を上げるためには、
『時間』『労力』『思い切った気持ち』も必要です。
大半の学生…特にコッチ系の学生は、奥手な方や流され系が多いので、
私は心配です…
フリーランスで仕事を得られるようになると、夢中になりますから…
社会人経験がないと、ブラック案件にも気づけないですからね…

『時間』『労力』『思い切った気持ち』があるなら、
ぜひ就職活動に向けてください!!


4.『フリーランスは簡単に仕事が得られる!』の裏側

■イラストの上手い下手に関わらず依頼相談が来る時代!

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『SNS経由で仕事相談が来たから、フリーランスでもやっていける!』
と思っていませんか?

初心者フリーランスに来るような案件は、
イラストレーターの替えがきく案件がほとんどです。

『継続で依頼したい』と言われても、突然無くなるのが日常なこの業界。
1~3件ほどの依頼主では厳しいのが現実です。
SNS経由でちょこっと依頼相談が来たからと言って、
来月、再来月も安泰ってことはありません。

社会人経験が少ない学生は、感情で誘導しやすく、信じやすいです。
だからこそ、やりがい搾取に遭遇しやすいです。
あえて学生を狙う依頼主もいます。
一見良心的に感じる『経験になるよ』とか『就活に役立ててね』
という依頼主ほど、やばい案件が多いです。
良い依頼主ばかりじゃないのは、アルバイトと同じですね…
しかも、学校経由や友人経由の案件でも、
こういう依頼主に当たることはありました。

イラストの仕事をもらえるようになると興奮します!楽しいです!
その結果、交渉や断ることをしなかった学生時代の私は、
トラブルまみれになりました。
・朝納期の深夜依頼がくるようになった…
・金額を1/8に値切られた…
・金額はあとから『とりあえず描いて』な無償依頼が来るようになった…
・未払いで音信不通になった…
などなど。察知能力や交渉力があれば、回避できたかもしれません。

プロのフリーランスは、リスクにめちゃくちゃ敏感です。
みなさんも、こういった経験が少なからずあるからでしょう!

学生自信で、リスクを回避するのは難しいです。
かといって興奮状態だと、経験者のアドバイスも耳に入りません…^^;
就職活動を前提にしているなかで、
こういったトラブルの可能性があっても、フリーランスをしたいですか?


5.『フリーランスは就活のアピールになる!』の裏側

■就職に有利な場合もある…でも無いと思った方が良い!

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『フリーランス経験がない学生よりも、就職活動で有利になる!』
と思っていませんか?

『フリーランスで仕事を受けておいた方が、就職に有利ですか?』
と、質問をしてくれる学生は、
花形のキャラクターデザイン志望やコンセプトアート志望が多いです。
そういった仕事は、初心者フリーランスにはあまり回って来ません。
先程来やすいといった案件を想像してみてください。
あなたの就職に役立ちそうですか?
何かしら得るものはあると思いますが、それは今必要ですか?

私自身、今だからこそ、後悔の方が大きくなってきました。
フリーランスで受けていた仕事が、たまたま就職先に刺さって、
即戦力として採用をもらえたのですが、
本当に運が良かったと言わざるを得ません。
どの会社も似たようなゲームを作っていたソシャゲバブル様様です。

フリーランスの仕事をせずに、アルバイトだけを掛け持ちしていたら、
もっと自主制作に力を入れて、スキルアップできていたかもしれません。
今思うと、課題や模写練習など、全部が妥協だらけの中途半端さでした。
なにより、フリーランスの仕事を優先したせいで、
第一志望向けのポートフォリオや受験対策が間に合わず、
記念受験のような状態になってしまいました…

初心者フリーランスに来るような仕事は、本当に経験だけです!
スキルアップになる依頼は、ほとんどありません!
ポートフォリオに掲載NGの案件ばっかりです!

就職目標なら、実績を積むよりもポートフォリオを作り込む方が大事です!


6.私がフリーランスをしていたワケ

■社会人から専門学校に入学したからこその理由…

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学生時代の私はイラストで稼げることに有頂天になっていたとはいえ、
なぜフリーランスを続けたのか?

そこには、やむを得ない事情がありました。

社会人から専門学校に入学したので、親を頼れませんでした。
上京直後に採用してもらった飲食店がヤバイアレな感じでして、
希望収入を約束してくれたのにもらえないどころか、
深夜に飲みに来いと呼び出されたり…接待させられたり…
断っても了承するまで鬼電が来るような感じで…以下略

半年もせずに辞めたのですが、その間の負債の影響が大きく、
なけなしの貯金と次年度の学費貯金が尽きかけてしまいました。
生活費どころか、社会人からなので税金もね…

なんですぐに辞めなかったの?と思われるかと思いますが、
東京って店舗数は多くても、小さい店舗が多く、人口も多いので、
望み通りのシフトと稼ぎを約束してくれるところが
全然見つからなかったのです。
掛け持ちするにしても、いい感じでパズルできる所がありませんでした。
(あと、不潔な飲食店もたくさんあってドン引きしたり…🐭)

だからこそ、何でもいいから、お金を作らなければ生活ができませんで、
結果的に、『何でもやります!仕事ください!!』なスタンスで、
フリーランス人生が始まりました。

とはいえ、画力も経験もない初心者フリーランスが、
すぐに食えるくらい稼ぐのはムリです。
深夜のアルバイトを並行していました。
その時のスケジュールはだいたいこんな感じです。

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今真似したら多分死にます。
当時も全然無事にすまず、
この生活の最中に病気が発覚して、手術+闘病生活をすることになりました…

乗り切れたのは、興奮状態とブラックな社会人経験の賜物だと思います。
多分、普通の学生には、この生活は厳しいんじゃないかと思います。
普通の学生は、ここまでハードな人生ではないと思いますが、
だからこそ、役に立つのかわからないフリーランス案件を受注するよりも、
やりたい仕事に向けてのスキルアップを優先してほしいです!!

バイトが必要でないならなおさら!
フリーの仕事を受ける時間も課題制作に費やした方が絶対良いです!!
実際にバイトをせずに政策に没頭していたクラスメイトの方が成長が早かったです。うらやましかった…
ちゃんとがっちり貯金してから進学すればよかったなぁあああ


7.まとめ

一応学生時代にフリーランスをしてよかったことも書いておくと、
早い段階で、イラストレーターの役割や売上意識が持てたことです。
就職したあとや今でも、トラブル経験が役に立つこともあります。

受注するのは自由ですが、
『ポートフォリオができない!』
『就職活動をする余裕がない!』

といった話をよく聞きます。
『フリーランス一本で行けそうなので、就職はやめる!』
といって消えていく人もたまに見ます。

どうか、最終的な目標を見失わないでください!!
フリーランスで受注できる余裕や実力があるなら、
インターンを経験する方が断然オススメですよ。

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