見出し画像

Xの規約改定で私が大混乱した理由。実績公開ルールとの葛藤


0.はじめに

こんにちは、sue02です。
久しぶりの投稿です。
今日でXの規約が変わりましたね…!
Xの利用=”AI学習に同意”ということでイラストレーター界隈(主に私)は大混乱でした。
様子見の方が多くタイムラインはだいぶ静かです。また活気は戻るのか、はたまた他のSNSに席巻されるのか、時代の変わり目って感じですね。

『なんでそんなに騒ぐの?』『大げさ』『集団ヒステリー』と多々言われましたので笑、なぜ私がとても焦っていたのかという理由を詳細に書いてみようかと思います。
スクリーンショットは上げられませんが、私が監修するときにイラストレーターさんに送る【実績公開ルール】や、クライアントから送られてきた【実績公開ルール】を一部参照しています。

1.【実績公開ルール】とは

クライアントが委託したイラストレーターに送る資料の一つです。
『公開可能なサイト・SNS』『投稿時の文章』『クレジット表記』『投稿サイズ』『公開可能時期』などが書かれています。

イラストの企業案件は著作権の譲渡と著作者人格権の放棄が一般的な契約になっています。なおかつ、リリース前の画像を出すのは絶対にNGですのでこういったルールがあります。
基本的にイラストレーター自身が自己判断で公開することはできません。

ルールに厳しい案件では『投稿時の表示サンプル』の提出が必要だったり、
クライアントが作成した『レイアウト済みの投稿用画像のみ』公開OKの場合もあります。
大きい案件や長期運営の案件の場合はこういった資料が大体あります。

反対に、実績公開ルールが少なかったり全く無い案件もあります。
Xで仕事絵を上げ続けている方はそういう案件のイラストが多い印象です。
オリジナルの漫画やイラストをメインでアップされている方もAI学習に反対ではないのなら、規約改定後も変わらず投稿しても問題ないと思います。

2.Xの規約改定で悩んだ理由

大混乱になっているイラストレーター=反AIのレッテルを貼られていますが間違いです。
私はAI学習はどちらかというと賛成派です!
字幕生成などはすでに活用していますし、どうせ短い命、後世の役に立つならぜひという感じです。
でも、無断で大量の絵を盗み、AI絵は稼げる!と触れ回る作品にリスペクトが全くない界隈が騒がしいので、イラストレーターが報われるような規制はきちん作ってほしいと思っています。

で、今回苦悩した理由はそういう単純なことではなくて、『AI学習に同意』の項目が増えることで、一部クライアントの【実績公開ルール】に違反しているのでは…?と思ったことと、その一部クライアントに再確認するかどうかの判断でした。

3.AI学習に『同意』の懸念点

私なんぞの絵でも転載等はありますので、すでにAI学習に使われていたと思いますが、暗黙の了解といいますか、特にクライアントからは何も言われてきませんでした。
でも今回追加される『同意』この一文。これは同意してはいけないと思いました。だって、権利者はクライアント。私は受託制作しただけで権利を放棄した身。実績公開許可を限定的にいただいているのであって、イラストを自由に使う権利はありません。

そう考えた時、今の【実績公開ルール】ではXの規約改定に違反するんじゃないか?と思いました。

■『公開可能なサイト・SNS』の指定がある案件

Xは多くのユーザーが使っています。
実績公開OKの案件ではどこも公開OKのSNSになっていました。今までは…
これからはわかりません。
なぜなら、下記のような指定がある案件もあるからです。それでこう思いました。

・『個人作品を掲載する場所』と記載されている案件
→今のXでも大丈夫そうではあるが…うーん…

・『権利を放棄する必要がある場所はNG』と記載されている案件
→AI学習って権利どうなるの?
→よくわからないなら逆に撤去した方が安心では…

・『個人利用以外に使われる場所はNG』と記載されている案件
→AI学習に使われたら個人利用ではなくなるのでは?
→Xの規約改定で【実績公開ルール】違反になるかも

結論
『公開可能なサイト・SNS』の指定がある案件はXから撤去しよう

■『投稿時の文章』の指定がある案件

イラストの説明文をつける場合にも指定がある案件があります。

例えば、こういう感じで修正されます。
NG『ゲームタイトル』のキャラクター〇〇を担当しました

OK『〇〇社のゲームタイトル』『なんちゃらイベント』のキャラクター〇〇のイラストを担当しました

Xの規約改定では文章もAI学習に同意の項目に書いてありますが、ところで、この修正された文章って権利どうなるの?と思いまして…
中にはイラストの掲載は不可だけど、文章だけなら投稿していいよ!という案件もあり、これはイラストの実績公開ルールと同じ扱いになるのでは?と思いました。(あくまで私の中で)

結論
『投稿時の文章』の指定がある案件はXに載せるのはやめた方がいいかも
文章だけのものはメディア欄で見れないので探すのが大変!!

まずはクライアントに確認するべきかいなか

いやー確認したくないな(理由は後程)

X以外にもイラストをアップしてるからなぁ…うーん…

もういいや、全消ししよう!となりました
あくまで私の場合は…ですが…
フォローとフォロワーは大事なのでアカウントは作り直したくない…

4.【実績公開ルール】はXの規約改定の早さに追いつけない

あたかもキチンと決められたルールのように書きましたが、
【実績公開ルール】には問題点が多々あります。

■問題点1:判断は【実績公開ルール】作成者に依存しがち

資料を作ったらプロデューサーや法務に確認する会社もありますが、特にデザイン部が独立している部署の場合は監修担当者の自己判断になることが多いです。
そのためなぜか同じ案件でも担当者によって判断が変わることがあります。

以前担当者が変わったので再確認した結果、『クレジット表記があれば自由に公開OK』から『全て実績公開不可』に変更になったことがあります。
『あなたに依頼したのは前任者だから責任の所在が~』みたいなことを言っていましたが、なんだねそれは…って思いましたね。これが私が自分から再確認したくない理由です。単純に手間という理由も…

■問題点2:資料はあまりアップデートされない

資料は一度作ってしまうとアップデートされない問題が多くの会社でありますよね…実作業で忙しいので手が回らないという理由が大きいでしょう。
加えて、ゲーム会社含むエンタメ業界は特に決定権のある上層部の方はSNSをやっていない方が多いですし、その他のメンバーも最新情報を頻繁に見れるほどの余裕はないと思われます。
私の経験上【実績公開ルール】やSNSに関して、監修担当者が発言しない限り話題に上らないことが多かったです。なので、今回の規約改定もご存じなのかどうか…クライアントが許容するなら許容するで連絡か何かが欲しいところです。

今回のXの規約改定に際して、もしかしたらクライアントから連絡があったイラストレーターさんもいらっしゃるかもしれませんが、私は1つも来ていません。というのも…

■問題点3:ルール変更があっても連絡しないが当たり前状態

今回のXの規約改定はだいぶと解釈の範囲が人により異なりますので、こういうときにこそ【実績公開ルール】の再通知をしてほしいところです。
でも実際のところサ終案件もたくさんありますし、運営中の案件でも昔と今ではメンバーや依頼するイラストレーターも変わりますし、【実績公開ルール】が変わるたびに個別に連絡し続けるのは難しいです。
例えば、キャラゲー(ソシャゲ)をリリース+1年運営するだけでも少なくとも300枚くらいはキャラクターイラストが必要なので、長期運営ともなるとさらに…。

会社ごとにルールの一本化をして、都度一斉通知するくらいじゃないと、
時代の変化に合わせつつきちんと権利を守るにはもう無理だと思います。
でも、そういう希望をイラストレーター側が出したところで次の問題です。

■問題点4:実績公開は善意や恩赦という考えの蔓延

『実績公開はクライアントにはメリットが無い』という考えが割と蔓延しています。だから実績公開に関しての話し合いは一番後回しにされがちです。

『特にデメリットはないので描いてくれたイラストレーターの次のお仕事につながるなら』
と考えるか
『ルールを作る社員コストを割いてまで実績公開OKにする必要性はない』
と考えるかが、主な実績公開可否の判断基準だと思います。
イラストレーターが実績公開をすることで宣伝になるのでは?と思われるかもしれませんが、実際はあまり変化が無かったりします。
だから、まぁ…権利的には善意や恩赦って言われちゃうとそうなんですよね…
ちょっとモヤりますけど

でもこれも『AI学習に同意』という一文が今後ややこしくさせる気がしています。捕えようによっては、クライアントのデメリットが大きいと判断できなくもないので、Xは不可という案件も出てくるかもしれません。

■問題点5:ルールが少なかったり全く無い案件の暗黙の了解

『クレジット表記をすれば自由に投稿OK』
『クレジット表記もお任せします。自由に投稿OK』
という案件も中にはあります。

完全に自己判断でOKというものもありますが、こういった案件でもメールの一文に『良識の範囲内で公開OKです』と書かれていることが多いです。
良識の範囲…良識の範囲…AI学習に同意するのは良識の範囲なの?

実績公開ルールが少なかったり全く無い案件であっても、今回の規約改定に関しては私には合否を判断できませんでした。
というか、権利放棄をしているイラストレーターが本来は判断してはいけない気がします(真面目)

5.今後も仕事絵をXに投稿する場合の注意

クライアント側から今後も明確にお知らせが来る可能性は低いと思っていますが、私のようにくそ真面目に対応するか、問題が発生したら都度対処で良しとするのか、それはそれぞれのご判断で良いと思います。
私はよく頭が固いといわれます。

今後公開するときはウォーターマークやノイズを入れるといっている方が多いですが、これは必ず確認を取りましょう…!
イラストの上に(ウォーターマーク)画像が乗っかるのは、改変に当てはまる…と思い…ます。多分。
現状でベストと思われる方法は、個人サイトやpixivやxfolioなどに現状でOKになっているイラストをアップして、SNSにはリンクを貼るのみにするという運用方法でしょうか。

6.まとめ

今までグレーだったことを明文化されただけなので、いつかは対処しなきゃいけなかったこと。今回の騒動ではAI学習について深く考える機会になりました。今一度使用している他のSNSの規約も見直し、整理していこうと思いました。
まさかAI学習される時代がくるとはTwitterを始めた当初は思っていませんでしたよね…
Twitter時代は楽しかったですね…

今回に関しては特に大多数の方に影響がありますし、通常でも実績公開ルールに違反をしても裁判になることはめっっったに無いと思います。
ただ、深く考えすぎているだけかもしれないので、クライアントはそこまでの真面目さは求めていないかもしれないです笑
でも、こう、モヤモヤする!!!という方は私と一緒に全消ししましょう笑

翻弄されているみなみな様、お疲れ様です!!!!

実績公開についてもっと知りたい方はこちらの記事もどうぞ▽


いいなと思ったら応援しよう!