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国内最大のアニメイベントAnimeJapan2019「良かったところ」「悪かったところ」

■アニメ業界が運営するイベント「AnimeJapan」
3月23日(金)から26日(火)まで、東京ビッグサイトで「AnimeJapan 2019」が開催されました。総来場者数が14万6616人の国内最大級の総合アニメイベントです。
アニメ業界の企業・団体が協力して運営し、ファンイベントだけでなくビジネス見本市の役割が組み合わさっています。自動車業界に「東京モーターショー」、ゲーム業界に「東京ゲームショウ」、家電業界に「CEATEC」と業界を代表するイベントがありますが、そのアニメ版と考えるとぴったりです。

ただAnimeJapanが自動車やゲーム、家電と違うのは、アニメ業界の市場規模が意外に小さいことです。2兆円産業ともされるアニメですが、その多くは海外や玩具、ゲームなどで、アニメの作品自体で回るお金は2000億円から3000億円程度。本来はそんな大きな業界イベントを開催できる体力はありません。

■ゲーム企業、海外企業を巻き込み成功した拡大戦略
ところが2019年のAnimeJapanは東1ホールから8ホールの広大なスペースを使い163社1040小間と過去最大の規模となりました。
AnimeJapan 2019の会場を見渡すと、謎のひとつが解けます。アニメの会社だけでなく、ミクシィ(XFLAG)、KLab、DMM、スクウェア・エニックスといったゲーム企業の大きなブースが目につきます。アニメ業界に進出を強めるゲーム企業が積極的なのです。
アメリカに本社があるNetflixや、中国のビリビリといった海外企業の大きなブースもありました。アニメビジネスが外部に広がるのであれば、その外部のプレイヤーをイベントに取り込もうというわけです。

会場内には4つの大型ステージが設けられました。そこだけで48プログラム、各出展ブースも含めると300近いステージイベントが期間中に行われました。盛りだくさんです。
4月の新シーズンを控えるなか、各社は大型発表の時期をAnimeJapan 2019に照準を合わせます。「一年一回のお祭り!」といった盛り上げにも成功しています。アニメファンに毎年3月の風物詩と定着させるのに成功しました。開催から6年目、AnimeJapanは業界イベントの成功例と言っていいでしょう。

■2019年、総来場者が前年比マイナスのサプライズ
しかし気になることもあります。出展企業・小間数が過去最高の一方で、来場者数が昨年の152,331人より、約4%少ない146,616人にとどまったことです。天候やスケジュールなどの大きなマイナス要因はありません。微減ではありますが、アニメの一般層への広がりが指摘されるなかだけに予想外の減少は気になるところです。
成功と失敗は裏表。減少の理由のひとつは、イベントがこれまでよりファン向けのプロモーションに振り切ったことかもしれません。

2014年のスタート当初のAnimeJapanは、今に較べると多彩でした。アニメ業界の仕事を若者に紹介するコーナー、クリエイターによるトーク、ビジネスセミナー、地域や企業の連携促進イベントなどがありました。アニメ業界の多様な側面を映していました。そうした企画はここ1、2年で急激に姿を消しています。
それらの企画の使っていたスペースやステージには、最新作や人気作のプロモーションが取って替わっています。これらは短期的に目を惹きファンの来場者を増やしそうです。イベント運営の収支にも貢献するでしょう。
数少なくなった独自企画が、アニメの音響にフォーカスした展示「アニメノオト『機動戦士ガンダムNT』の音づくり」です。多くのファンの注目を集めただけでなく、高い評価を受けました。プロモーションと異なる切り口は確実に求められています。

■岐路に立った2019年
多様性が欠けることは、中長期的にイベントの成長を妨げます。声優イベントや物販は、最新作を追い求める濃いめのファンには喜ばれるでしょう。しかしより幅広いファンは自分たちのイベントでないと判断し、足が遠のくかもしれません。
ロイヤリティの高いファンを囲い込むだけであれば、より広くアニメ文化や作品を伝えるという目的にむしろ達しません。
大きな成功の一方で、今後に向けた岐路に立っている。そんなことを感じさせる2019年のAnimeJapanでした。

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