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アニメファンに響くか、デジタル一点物のコレクション価値

モノを集めたり、コレクションした経験は、誰でも多かれ少なかれあるのでないでしょうか。対象は人それぞれで、アクセサリーやアイドル写真、キン消し、あるいはスニーカー……といろんなジャンルに及びます。

なかでもアニメファンには、モノ集めが好きな人たちが多いようです。イベントのグッズ販売はいつも大盛況。大好きな作品やキャラクターのアイテムを手元に置きたい気持ちが強いのです。
さらに“限定”の言葉に弱いのも特徴です。二度と手に入らない、他の人は持ってないと言われると「とりあえず買っとけ!」的な行動をとりがちです。
これは自分自身の反省を踏まえてですが……。

ビジネスをする側もわきまえたもので、劇場映画の週替わりプレゼントやランダムに出てくる缶バッジなど、ファンのコレクション欲に訴求した企画を打ち出します。
限定モノ、コレクションアイテムは、アニメ分野の一大市場です。

そんななか2020年、これまで常識をさらに超える限定アイテムが登場しています。デジタルアートの限定品です。
ベンチャー企業の「Anique(アニーク)」は、2019年にアニメやゲームのデジタルアートの販売を開始しました。制作過程で描かれたのに十分活用されていないビジュアルの活用として生れたプロジェクトだそうです。
版権と呼ばれる描き下ろしビジュアルなどを一点ものとして販売しますが、ユーザーが購入するのはこのアートの所有権。デジタルアートは全て実際に出力してインテリアに出来ますが、購入はあくまでも所有権です。

Aniqueの公式サイトには、『進撃の巨人』、『STEINS;GATE』、『七つの大罪』といった人気アニメ・ゲームの美麗なメインビジュアルやカットシーンが並んでいます。

デジタルが持つリアルなプロダクトに対する圧倒的な強みは、そもそも低コストでの複製にあるはずです。デジタル時代のコンテンツは、クオリティを劣化させることなく、無限にコピーが出来ます。
今回のデジタルアートも、画像を手にするだけなら、極端な話 Aniqueの商品紹介ページの画像をコピーして保存すればOKです。

しかし、ここではデジタルアートを敢えて一点ものとします。
「そんなことが出来るのか?」と、不思議に思えますが、ここに昨今注目される「ブロックチェーン」の技術が使われています。ブロックチェーンでは、プロダクトにまつわる情報をデジタル上に書き込み、保存し、過去のデータを改ざんすることが出来ません。これによって唯一の所有権を証明します。
コピーしたものは偽物に過ぎません。100%同じでも、オーソライズされたモノとコピーには越えられない壁があるのです。

人が何かを手に入れる時は、モノ自体だけでなく、モノに対する経験や環境も消費の一部に含まれているのでないでしょうか。限定グッズには特にその傾向が強く、それは「モノ消費」よりも「コト消費」に近いのかもしれません。

「初音ミク」が誕生する前は、これほどまで多くの人たちが、仮想アイドルに夢中になることなど想像もしていませんでした。いまでは数多くのVTuberたちが多くのファンに支持されいてます。
仮想アイドルを愛でるように、アニメファンがデジタルアートに価値を見出す日はくるのか、デジタルアートにも“コレクションの魂(ゴースト)”は宿るのか?
一点もののデジタルアートがそんな未来的な風景を実現するのか、ちょと興味深いです。

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