『#DX白書2021』公開記念連載③ 「DXでキャッシュポイントをいかに創るか?」
皆さんこんにちは!
Kaizen Platformのスドケンこと須藤憲司です。
前回お届けした「DXという黒船来航」、いかがでしたでしょうか?
おかげさまで『#DX白書2021』 は、先週までに740 DLを超えました。
160ページに渡る大作を、深夜や休日に一人でコツコツつくっていたので嬉しい限りです!
「ハッとさせられた」「カバー範囲が広い」などの声をいただいています。ダウンロード頂きた皆様、本当にありがとうございます!
前回のおさらい
前回、DXの到来は「幕末の黒船来航」と同じくらいインパクトのあることだとお伝えしました。
日本の場合、デジタル専門人材を採用して内部からDXを起こすのは難しい社会構造になっています。
そこで危機感を持ったトップと、保守勢力の中にいる革新リーダー、そして外部の異能人材がコラボレーションする事で、いかに自らDXを「起こす側」に回ることができるかが重要だというお話をさせて頂きました。
今回は、『#DX白書2021』の中から、1章~3章について解説しながら重要なポイントをお届けしたいと思います。
GAFAがあなたの業界にやってくると何が起きるのか?
あらためてDXをひと言で説明すると「デジタルを通じて圧倒的な顧客体験を提供して儲けること」です。
これは、これからの企業が生き残っていくための新しい競争戦略であり、顧客基点でのデジタル変革という現象でもあります。
5GやAI、ペーパーレス、デジタル庁の創設などデジタルに関する環境が整備されつつありますが、これは、これまでデジタルとは縁遠かった領域までもがデジタル化していく事を意味しています。
例えばコロナ前のアメリカでは、GAFAが異業種へ参入するという大きな脅威と、スマートデバイスの業務への浸透というまたとない機会が同時に訪れていました。
Amazonがスーパーマーケットのホールフーズを買収し、Appleがクレジットカードの提供を始めました。今後、Googleが自動運転やGoogle Mapとセットで自動車保険を始める未来が来るかも知れません。
実際、アメリカでは既存企業の株価がGAFAの参入が報道されると軒並み株価を大きく下げる結果となっており、業界に激震が走ります。
そんな中、新型コロナウィルスが訪れ大きな環境の変化が起きました。
ステーキ屋さんをどうDXするか?
DXを実現するには、3つの重要なアプローチ方法があります。ただシステムを開発したり、とりあえずクラウドサービスを導入したりしてもDXは実現できません。
まず、自社のワークフローやバリューチェーン、サプライチェーンをHolistic(包括的)かつ俯瞰的に再整理すること。次に、ユーザーやそれを使う従業員の方を向き、人間中心主義で使いやすいシステムをつくること。そして、しっかり収益を上げること。
よくあるのが、使い勝手の悪い大規模なシステムを導入し、社内で死蔵されているケース。これではデジタルを導入しただけで満足してしまい、収益が上がるどころかせっかく導入したテクノロジーが大きな負債になってしまいます。
DXによって、どのように収益を上げるのか。その鍵は、キャッシュポイントの創出にあります。『#DX白書2021』から抜粋した以下のスライドをご覧ください。
ステーキ屋さんを例にとって考えてみましょう。
コロナ禍で集客が難しくなったレストランをDXでいかにマネタイズするか?
まず提供できるモノに目を向けてみると、これまで店頭で提供していた肉を「熟成肉の販売」などの形で、材料を販売すればキャッシュポイントを創ることができます(素材の交換)。
それから、テイクアウトOKにしたり、新たにお弁当を販売したりすることもできるでしょう(加工品の交換)。
コトに目を向けてみると、配送体制を整えたり、感染対策を十分に行い換気した個室で料理を出したりすることで、体験を提供することもできます。
これらはモノやコトを交換できる単位に分解して考えてみると見えてきます。
交換価値だけでなく体験価値のマネタイズも考える
さらに、体験価値という観点では、4つのセグメントに分けて考える事で新たなキャッシュポイントを生み出すことができます。
まず、店舗からステーキの調理動画をライブ配信すること(同期的・一方向の体験)ができます。
それから、お店で提供しているレシピをコンテンツとして店舗サイトに掲載することもできるでしょう(非同期的・一方向の体験)。
また、事前に材料を販売しておき時間になったらZoomでつないで「これから美味しいステーキの焼き方を教えます」と、料理教室を開くことで顧客とリアルタイムにコミュニケーションもできます(同期的・双方向の体験)。
マンガ『美味しんぼ』に出てくる美食倶楽部のようにコミュニティをつくり、TwitterやFacebookグループなどで料理の楽しみ方や合わせるワインの銘柄など美味しさや楽しさを共有するコミュニティを提供することも可能です(非同期的・双方向の体験)。
DXでキャッシュポイントを創出する
こうした考え方のフレームを活用してみると、自社のバリューチェーンやサプライチェーンにどうデジタルを組み込むのか考えやすくなりますよね?
単にデリバリーを活用したり、テイクアウトを用意するだけでなく、その周辺には、様々なチャンスがあります。
自社の強みを活かして、どのような可能性があるのか?そして、コロナ後も持続的に成長し、競争力を高めるためのDXについて真剣に向き合っていく必要があると考えています。
そのために、どんな事例があるのか?どんな考え方があるのか?は知っておいて損はありません。
非対面・非接触でも収益を高める顧客体験DX
今回のコロナ禍で、デジタルを活用して非対面・非接触でのビジネスを支援する顧客体験のDXが大きく加速しました。
2つのマーケティングのファネルでDXを考えてみると上記のような構造になります。
・認知→興味、関心→購入という新規顧客獲得のためのファネル(左側)
・リピート→アップセル・クロスセル→ロイヤルカスタマー化という既存顧客の育成や管理のためのファネル(右側)
そして、それぞれの領域、部署の担当者がDXを考え始めています。
『#DX白書2021』では、マーケティング、広告、販促、イベント接客、セールス、CS(カスタマーサポート&サクセス)、コンテンツと7つのカテゴリーでそれぞれ実現したDX事例を紹介しています。
次回4回目では、『#DX白書2021』の中から、DXが巻き起こした「顧客体験革命」の事例を見ながら解説していきたいと思います。
コロナ禍からデジタル庁まで、様々なDXの動きやキーワードの解説、事例など2020年のDXの総決算となる全164ページの超大作のホワイトペーパー 『#DX白書2021』 ダウンロードはこちらから(無料です)