光秀、そりゃ謀反もするよね
写真は先日行った武蔵一宮氷川神社、令和10年に創建2500年(!)を迎えるとのこと
司馬遼太郎に激ハマりしまった。この2ヶ月で燃えよ剣、関ヶ原、そして国盗り物語である。こんな勢いでこれだけの名作を読んでいっていいものかと思ったが、幸い彼の著作一覧を見ると全巻読了には相当かかりそうで安心した。
さて、国盗り物語は斎藤道三の成り上がりから、信長の天下統一に至る道を一貫したストーリーで描いている。
道三は蝮と呼ばれ悪名高いらしいのだが、物語を通して私は彼の功名心が好きだった。かつ、彼が目をかけた信長と光秀が入り交じる構図が美しかった。
いくつか心に残ったことを書いていく。
・道三ほどの先見性、知性、胆力を兼ね備えた武将でも天下半ばであった一方、信長が凡そ統一まで辿り着いたのはスタートラインの違いであった。道三は人生を賭けてようやく美濃を切り取ったが、諸流とはいえ大名家の信長は人生を賭け近畿一帯を平定するまで至った。
・獲物のウサギがいなくなれば、猟犬は飼い主に食べられる。中国の故事だが、光秀はまさにこの恐怖を感じたのではないだろうか。信長の全国平定が達成されれば光秀の居場所はもうない。
精神面においては、光秀が伝統的価値を愛した一方、信長は延暦寺をはじめ彼にそれらを焼き払わせた。
また城主として熱心に治世した坂本城を鶴の一声で召し上げられ、未だ敵地の山陰を領土として与えられる。馬車馬働きというレベルではない。
忠臣として使えることの精神的・肉体的限界、行き詰まりの将来、目の前に転がり込んだ暗殺の契機。答えは明らかだ。
・信長の無駄を排したコミュニケーション、彼自身が彼の功績に最も謙虚だった点(桶狭間は幸運だったとの解釈)、唯物/現実論者が大変魅力的だった。
次は直木賞受賞作の極楽征夷大将軍に進みたい。尚、司馬遼太郎の義経と妖怪をたった今注文した。
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