Sudden_Naughty_One

競争好きな臆病者。証券会社から外資ITへの転職を機に始めました。

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最近の記事

「列」を読んで。

– 私を必要としない世界を、なぜ私が必要としなければならないのだろう。 写真は随分前の三峰神社。 教団Xでハマった中村文則の新作「列」を読んだ。150ページ程度で非常に読みやすかった。 現実世界と観念世界を行き来する構想は面白かった。私たちは常に列に並びたがり、一つでも前に進みたがっているのは特に現代社会で明らかだろう。 主人公はチンパンジーを研究する非常勤講師。98%以上遺伝子の配列が人間と同じチンパンジー、ニ番目に高い知能を持つはずのこの生物が同族殺し、性暴力など

    • 光秀、そりゃ謀反もするよね

      写真は先日行った武蔵一宮氷川神社、令和10年に創建2500年(!)を迎えるとのこと 司馬遼太郎に激ハマりしまった。この2ヶ月で燃えよ剣、関ヶ原、そして国盗り物語である。こんな勢いでこれだけの名作を読んでいっていいものかと思ったが、幸い彼の著作一覧を見ると全巻読了には相当かかりそうで安心した。 さて、国盗り物語は斎藤道三の成り上がりから、信長の天下統一に至る道を一貫したストーリーで描いている。 道三は蝮と呼ばれ悪名高いらしいのだが、物語を通して私は彼の功名心が好きだった。

      • 乱世のポートフォリオ戦略

        写真は先日の三連休で参拝した新潟は彌彦神社 趣味の御朱印が高じて、歴史小説が最近の流行りだ。 この週末は司馬遼太郎「関ヶ原」を読了した。 実際に始終を見てきたのではないかと感じさせる臨場感、多重な人間模様に舌を巻いた。随所に登場人物の挿話が自然に散りばめられ、物語を立体的にしている。 関ヶ原の戦いは総勢20万近くの動員があった最大級の野外戦であったにもかかわらず、半日程度で決着がついた。国家を二分するこの戦いは見た目上拮抗していたからこそ謀略が張り巡らされ、東軍が優勢と

        • この世には3種類の人間がいる

          -Big brother is watching you. ジョージ・オーウェル著「1984年」を読んだ。前回の「動物農場」に続き、無慈悲で残酷な人類の本質を突きつけながらも「自分は今、真実を読んでいる。」と思わせ、読む手を止めることが出来ない名著だった。読み終えて数時間経った今、強烈に記憶に残った内容を書き留めておく。 物語の舞台は、Big Brotherが率いる全体主義政党が支配する近未来だ。主人公のウィンストン・スミスは真理省に勤務する党員で、日々歴史の改竄(実際に

        「列」を読んで。

          歴史は韻を踏む

          こんばんは、約4週間ぶりの更新になってしまった。英語に悪戦苦闘する日々を送っている。 この土日はタランティーノ監督の「Django(ジャンゴ)」を見た他、ジョージ・オーウェル著「動物農場」を読了した。意図せず、両作品とも支配・被支配をテーマとする傑作であった。 「Django」は19世紀前半、南北戦争前の米国が舞台だ。ここまで奴隷制が如実に描かれている作品を観たことが無かった為、あまりに驚愕の内容で3時間があっという間であった。 私の有する米国のイメージ、「多国籍・自由・実

          歴史は韻を踏む

          証券営業は名将ほど心配性

          証券会社の営業と聞くとどのような印象を持つ方が多いだろうか。ノルマや飛込訪問など激しいスタイルを想像する見方も多いだろう。 これはこれで事実であるが、実際に5年ほど働いて意外だった部分がある。 それは提案(勧誘)から商売成立(約定)までのコンプライアンス遵守意識である。揶揄される苛烈な営業と並行して営業マンは法令順守に細心の注意を払う。 電話・メール等記録が残るもの(電話はすべて録音されている!)は勿論のこと、面と向かった商談でもオーバートークをすれば自分のキャリアがふいに

          証券営業は名将ほど心配性

          宇宙は何でできているのか②

          昨日に続きタイトルの本を要約していこう。 第3章は本著の2つ目の目的「基本原則は如何なるものか」が語られている。 基本原則とは即ち、物質間で働く力である。自然界で働く力は4つある。重力、電磁気力、強い力、弱い力だ。 まず重力について、これは前稿で述べたように空間を歪め物質同士をくっつける力だ。 次に電磁気力について、元々電気と磁力は別の力と考えれていたがマクスウェルによって統一された。原子と原子は電磁気力によって結びついている。 ここからは、ミクロの世界で働く力だ。「強い力

          宇宙は何でできているのか②

          宇宙は何でできているのか①

          2011年に新書大賞を受賞したタイトルの本を読んでいる。科学者としては異例の20万部を超えるヒット作らしい。 帯には「分かりやすい、記述が平明」等と書かれているが進むにつれてかなり難化していく。従って理系のバックグラウンドがないと辛い部分は多いだろう。 私は数学物理は高校までであった為、一度読んだ内容を頭に留めておくことは難しかった。従って、要点をまとめていく。 まず本著の目的は、「物質は何で出来ているか」と「基本原則は如何なるものか」を解説することだ。このnoteでは1つ

          宇宙は何でできているのか①

          知的文章とプレゼンテーション③

          6月3日、米国の雇用統計はポジティブな内容ではないだろうか。労働者数の増加、失業率の横ばいだけでなく、労働参加率がわずかであるが上昇している点が喜ばしい。労働供給を通じてインフレ圧力が弱まることを期待したい。 さて、引き続きタイトルの本のきになった点をまとめていきたい。学者向けの様相が強い5章、一般的な内容の多かった7,8章を除き、6章「プレゼンテーション」に注目する。 6章ではどのようなプレゼンテーションが効果的かを具体例を添えて解説している。筆者が冒頭で理想的と述べた

          知的文章とプレゼンテーション③

          知的文章とプレゼンテーション②

          -Brevity is the soul of wit. 前稿に続き、タイトルの本の要約を書いていく。今回は第3章からだ。 第2章で日本語の非論理性を展開した筆者は、知的文章の特徴を挙げていく。 ‐簡潔・明解・論理的 ‐冗長な文章を避ける ‐名文は必要ない ‐完璧に理解してから書く ‐パラグラフは論理の単位 ‐帰納・演繹によって論理を展開する 第4章では論文・申請書等を対象に、どのようなことを心掛けて書くべきか述べている。以下、心に残った内容をまとめていく。 ‐文章を

          知的文章とプレゼンテーション②

          知的文章とプレゼンテーション①

          コンサルタントの友人に勧められたタイトルの本を読んでいる。彼らは提案書が成果物であり、言葉の扱いに極めて神経を使う。同書はコンサル業界への新参者には必携と聞く。 同書は大変興味深く、示唆に富んでおり読み進めるのに労力を要する。後日容易に見返せるように今回はいつもと嗜好を変えて本書の構成を書いていく。このNoteでは第二章までをまとめる。 ①始まりは筆者が日本語の扱いが粗末にされていることを嘆くところから始まる。漢字を中心とした義務教育の詰込み型学習や、選択式入試の弊害によっ

          知的文章とプレゼンテーション①

          外資系金融の競争力の源泉

          「外資系金融のExcel活用術」を読んだ。タイトルの引力が凄まじい。私は業務においてモデリングを行わないので、ところどころ飛ばして読んだがタイトルの割に平易・初歩的な内容が大半を占めていると感じた。 以下、参考になったポイントを羅列していく。 1. フォントは通常Arial、フォーマルではTimes New Roman 2. 罫線は最も細かいものと普通の細さを使う。内枠は細かい破線も良い。 3. 行に並べる項目は2割小さく、太字で。タイトルは2割大きく。 4. A1にセルを

          外資系金融の競争力の源泉

          人生何回目ですか?

          前回の決算発表でCEOへの復帰や社名をNIDECへ変更するなど話題の尽きない永盛社長の本を読んだ。 「人を動かす人」になれ!に続く2冊目である。以下、記憶に残った点をまとめてみる。 ①金融機関は社名でなく支店長で判断する 会社員でもそうだろう。ジョブ型雇用が普及する中、どの企業で働くかはなく誰と共に働くか、である。 ②1円単位で社長が決済を行う1円稟議 コスト意識を失いがちな従業員に価値観を浸透させる施策である。(ベンチャーを除き)赤字は罪、と公言する経営理念が一貫してい

          人生何回目ですか?

          出雲王朝とヤマト王朝

          どんなきっかけかは忘れてしまったが、北海道紀行中に出雲伝説への興味を掻き立てられた。 そこで「葬られた王朝」を購入し読み始めている。まだ一章であるが、大変興味深い筆者の考えがあったのでご紹介する。 結論から言えば、我が国の神話の成り立ちは2つの系統の神々に分けられるということだ。1つはイザナギ、アマテラス、ニニギと続くヤマト王朝であり、もう1つはイザナミ、スサノオ、オオクニヌシと続く出雲王朝だ。 前者はまさに日本を支える光の神々、後者は一旦の成功を経て悪神となる神々だ。 イ

          出雲王朝とヤマト王朝

          戦略質問

          友人から勧められたこちらの本を読んだ。私はコンサルタントではないがコンサル関係の本は非常に勉強になる。 この本は世にありがちなフレームワーク、「戦略はこのように立てるべき」といった明瞭な道筋を示しているものではないと思う。 常日頃経営者を相手に商談を行うコンサルタントが、クライアントの「思考のスイッチ」をどのように入れているか、それによりミーティングの成果物をいかにより良いものにするかといった工夫を実用的な質問の仕方を交えて解説頂いている。 また、戦略コンサルが経営者との

          刑務所飯はかなり美味い

          網走監獄を訪れた。 北方からの脅威に備える為、ときの政府はアイヌや屯田兵に加え囚人の活用を試みたという。 網走監獄には1000人を超える囚人が収容され、網走〜旭川間の主要道路建設を導いた。 過酷な労働環境により2割を超える囚人が死亡し監督した刑務官の犠牲もあったという。 のちに建てられた供養の墓には、囚人と看守が同じ墓で供養されているらしい。全国でもここだけとのことだ。 ゲート外には網走監獄食堂という字面の強烈なレストランがあった。900円で実際に網走刑務所内で支給されてい

          刑務所飯はかなり美味い