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本「21世紀の恋愛」を読んで〜レオ様はなぜ、似たような水着モデルとの恋愛を繰り返すのか〜

久々のnote!
いや〜ダメですね、完全にサボってました。やはり書かないと記憶に残らないもんで、ここ数ヶ月何を見て何を読んで何を思ったのか、もう覚えてません…!
今日は「久々にnote書くか!」と思う程度にはなかなか面白かった一冊をご紹介したいと思います。

「なぜレオ様は自分よりずっと若い似たような外見のモデルや女優と付き合っては別れるを繰り返すのか?」という疑問を糸口に、現代社会における恋愛について、古典哲学や現代思想、神話を取り混ぜて考察した漫画です。
漫画と言っても文字がびっちりなので、読書してる感覚に近かったのですが、バンド・デシネ風のゆる〜い絵柄と風刺の効いた言葉選びで、クスクス笑いながら一気に読み進められました。

今この時代は、『恋をする』という感情が起こりにくくなっている時代である

↑ズバリこれが本書の結論であり議題です。
確かに私の実感としても、「今って一昔前と比べて恋するの難しい時代だよなぁ」という意識があったので、めちゃくちゃ共感できました。因みにそういう自覚を得たのは、マッチングアプリの利用がきっかけだと思います。
(一昔前ってどのくらい前よ、というツッコミは議論の余地あり。本書では100年前どころかソクラテスの時代も引き合いに出してて、いやそれは流石に昔すぎだろと思ったw)
だってトレンディドラマが大流行してた時代と違って、今って恋愛しかしてないドラマは一段低く見られがちじゃないですか?
「恋愛のことばっか考えてるのってダサいしバカっぽい。自立できてない証拠じゃない?」って考えが強いから、「素敵な恋愛したいなぁ❤︎」と声高に言うのは憚られる、そんなご時世だなぁと思うんです。

では、恋という感情が芽生えにくくなってるのは一体何が要因なのでしょう?

要因1〜他者が消滅したから〜

後期資本主義時代において、各々のナルシシズムが極度に強くなった。リビドー(性的衝動)はその人自身の主観性の中に投入される。(つまり、だれかのセクシー画像を見るより、セクシーな自撮りをすることに興奮する)
他人は自分のエゴを承認してくれる鏡となり、自分と他者の境界線がぼやけた結果、他者が消滅する。
※ナルシシズムと自己愛は全然別だよ!って説明がめっちゃ納得できた。

要因2〜理性による選択が急増したから〜

選択肢が増えた結果、選択に膨大な時間を費やさなければいけなくなった。直感の価値は下がり、科学的・合理的な考察のもと下した選択によって最大の利益を得ようとするマインドが、特定の誰かを選ぶということを難しくしている。自己分析を推奨する心理学の流行や、専門家への偏愛も、「なんだか分からないけど彼しかいないって感じたの!」的なビビビ❤︎と恋する体験を遠ざけている。

要因3〜男性の成功についての定義が変わったから〜

これに関しては意見が分かれると思うのですが、つまり「なぜ最近の男って自分の感情をあまりオープンにしないの?」という点についての考察です。
昔の男性ほど「君を愛してる!」とか言ってくれない、好きかどうか判然としない態度を取り続ける、草食系の増加…とかのことを言ってるのですが、日本においては昔の方がむしろ「君を愛してる!」とか言葉にしなかったのでは…?という気がします。
スウェーデン出身の筆者によると、20世紀以前は沢山の家族(嫁や子)を男一人で養うのが『立派な男らしさ』だった。しかし女性の社会進出が進んだことにより、家庭や職場で男性が権威を振りかざせなくなった結果、性的関係を結んだ女性に対して感情を見せないことによって独立・権威・男同士の連帯を示すようになった。
①独立=「俺は誰にも依存しない」ことをアピール
②権威=「付き合うか否かを決める主導権は自分にある」ことをアピール
③男同士の連帯=例えば「俺今年入ってから週一で新しい女抱いてるぜ!」「お前やるなぁ!」みたいなやりとりを男同士で楽しむ

要因4〜世界の魔法が解けたから〜

かつて愛は、魔法のようで、理論では説明できないものと認識されてきた。
しかし近代化によって、あらゆることが科学的・生物学的に説明できるようになった。
(例)性欲はテストステロン、恋愛感情はドーパミン、愛着はオキシトシン
(例)恋愛感情が続く期間は犬は3ヶ月、ゾウは数日、鳥は数分、ヒトは1〜2年
その結果、愛の体験生理学的な出来事に降格する。

要因5〜死ぬのが超下手だから〜

つまり、「現代人は何かを終わらせることが超下手だから」ということ。
愛の本質は自意識を放棄することにあり、誰かに心を決めるとか誠実であると誓うのは自らを結ぶということ。これは資本主義経済における終わりなき蓄積とは相反する状態だそうな。(この章ちと難しかった)

全体の感想

なんだか飛躍してるなと感じる箇所や、「ん?ちと難しいな」と感じる説明不足な箇所も多かったけれど、「あ、でもなんとなくは分かる!」と思わせる不思議なパワー?説得力?急カーブ力?のある一冊でした。
「もうあなたにお手上げ!骨抜き!」的な恋愛から脱却しよう!という本が多い現代において、「恋に落ちるってそんなに良くないことかしら?恋ができない現代人って寂しくない?」と暗に主張するこの本は、異彩を放ってて面白いなと思います。

自分のコントロールを失わない程度の恋と、我を失うほどの恋……
どちらがいいとか悪いとかないし、どっちもアリというかまぁ人それぞれだと思うのですが、「恋という感情が芽生えにくくなってるよね!」という考察については全力で「ですよね!」と思います。あとやっぱり、恋と愛は違うなぁとも。

人生で一度くらいは我を失うほどの恋ってやつを体験して経験値積んだ後に、そこそこコントロール可能な恋に落ちて、そいつを愛に昇華してく。
ってのが理想かな〜。

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