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必要な情報をすぐ探し出す能力

書類もそうですし、ファイルやメールなどにも同じことが言えますが、これらの保管はすぐに探し出せる

 『検索性』

の高さが最も重要です。これ以外に何かしらご高尚な理屈を並び立てる人がいたら、その人は物事の「本質」を理解する力が不足しています。

「なぜそこまで言い切れるのか?」と言うと、情報の格納・整理は"ただ言われたとおりにしていればいい"のではなく、来るべき時、必要になった際に

 きちんと再利用できる

ことが目的で保管、格納するからです。

それ以外に保管、格納する目的はありません。
法やルールで縛るのも、その目的に強制力をもたらすためです。

たとえば、経理情報や経営情報なども、絶対に、100%の確率で2度と使うことが無いものであれば捨ててしまっても構いません。しかし、保管が求められるのは「いざとなった時」に必要となるからです。財務会計上のチェックや、金銭トラブルが発生した時の証跡として利用するためです。

にも拘らず、

 「法的に残せと言われたから」
 「鍵付きにしまっておけと言われたから」

と言う理由だけで雑多に管理していたとしたらどうでしょう?
必要な時に探し出せなかったとしたらどうしましょう?

それでは全く意味がないのです。
保管・管理していても、再利用性が乏しい状態では、無価値と同義なのです。

きちんと理解が伴っている頭のいい人であれば、ほぼ確実にファイルやフォルダを使って情報を適切に管理していることでしょう。必ず、そうでない人との間に「情報(の元となる資料等の)整理」に大きな差が出ていることでしょう(もちろん、一部の天才は除きますよ?すべて頭の中で管理できているような化け物は例外です)。

紙でのやりとりよりデータでのやりとりが増えてきたとはいえ、まだまだ紙の文書や資料は健在です。仮にこの先、どんなにペーパーレス化が進んだとしても、紙媒体での管理が無くなることはないでしょう。

いらない文書を廃棄して、データで事足りるものは印刷しないようにすれば、残った文書はすべて必要なものということです。あとはこれらの文書をどうやって保管していくかで作業スピードを上げることができます。

頭がいい人は、必要な書類がいつでも取り出せるようによく整理しています。だから、上司に「あの件だけど……」と言われても反応が早いですし、普段の仕事でも資料を探して右往左往することはありません。

個人で保管すべき文書か、社内で共有すべき文書かをきちんと区別し、共有の文書は共有の文書で、みんなが使いやすいように配慮して共有棚に入れておくことができます。

一方、惜しい人は文書が横に寝かされた状態で、何枚も重ねられていることがあります。重ねることでデスク上で散らばるのを防いではいますが、必要なときに必要な資料が探せないのです。

IT用語に照らし合わせると、LIFO(Last In, First Out。FILO、スタックとも言います)に相当する考え方です。基本情報技術者試験相当の知識なので、知っている人も多いことでしょう。

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「積み上げる(スタックする)」と言うのは、ようするに最初に置いたものが取り出せない状態になると言うことです。

決まって

 「あれー?どこいったかなぁ…」
 「あっ、一番下にあって取り出せない…っ」

という決め台詞を使う羽目になることでしょう。

計画的にそうする必要があって積んだのでなければ、「欲しい情報を欲しい時に取り出す気がない」と言うことを意味します。

本来なら共有ファイルに入れるべき資料も、仕訳されずにずっと放置されていることもあります。それで問題がないわけですから重要な資料ではないということですが、それならそれで一定の期間が経った時点で廃棄していかないとゴミと区別がつかなくなっていきます。


では、書類の保管とは、どのように行うといいのでしょう。

ファイルに保管する場合は、誰でも探しやすいように、背に具体的でわかりやすいタイトルを書きます。積み上げ式に増えていく文書なら、それを保管するファイルも増えていくわけですから、タイトルに年月を入れたり、通し番号を振っていくとわかりやすくなります。

時系列でファイルするというのは、探しやすくするためのごく基本的な方法です。

 「そういえば、こういう情報が載っている資料がなかったっけ?」

というような暖昧な記憶しかない場合にも、時間というもうひとつの手がかりによって「このあたりかな」と目星をつけて探すことが可能だからです。

もちろん、データのフォルダ管理などにも役立ちます。

なにより、並び替え(Sort)しやすくなり、雑多な管理になりません。目的がはっきりしていれば、期ごと/月ごとなどに階層化しておくと管理も楽になります

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たとえば、私の場合はこんな感じで整理しています。90年代のソフトウェア開発時代に培ったノウハウ…ですかね。当時は画面等に出力する「メッセージ」を番号で管理していました。

1000番台は各機能共通メッセージ
2000番台はログイン画面のメッセージ
3000番台は…

で、3桁目は

"1"が通常メッセージ
"2"が警告メッセージ
"3"が異常メッセージで…

みたいな。

ただし、手元にやってくるすべての資料を1つのファイルに入れていくのは
(さすがにそんな人はいないと思いますが……)探す手間を考えると効率が悪くなります。

また、文書によって重要度の違いがありますので、その点の配慮も必要です。
そこで「帳票・台帳類」「請求書の控え」「報告書」「稟議害」「契約書」「マニュアル」「パンフレット」「クライアント別資料」「営業会議で配布された資料」「新聞の切り貼り」…などというように、文書の種類で分類していくわけです。

それほど分量がない場合は、フォルダを使って整理することも多いでしょう。かさばりませんし、手軽なところでは透明で中身が見えるクリアファイルを利用している人は多いのではないでしょうか。

こちらも、基本的には時系列で保管するのがよいと思います。
新しい文書ほど上にくるようにするということです。

基本はA4サイズで揃えると、収納がしやすく、見栄えもよくなります。サイズが違うと、小さいサイズのものが大きなサイズのものに埋もれてしまうからです。

ある程度増えてきたら、ラベリングの必要も出てきます。

フォルダは手軽に利用できるし、文書を放り込むだけなので、ついつい数が増えてしまいます。用がなくなった書類は、どんどん捨ててしまいましょう。

ときどき「その他」というような暖昧なタイトルのファイルやフォルダが見受けられます。恐らく「未分類」というくらいの意味だと思います。

「未分類」の書類は一時保管くらいのつもりにしておき、ときどき見直して、廃棄するなり、あらたにフォルダをつくるなりして、再整理していくほうがいいでしょう。

一生「未分類」のまま…と言う時点で、それは管理していないのと同じことを意味します。結果として、仕訳が面倒でろくに目も通さず放り込んでいる資料のなかに、今進めている仕事に関する注意事項のような、重要な書類が紛れ込んだりもしやすくなります。

そうなれば当然、情報資産管理の監督不行き届きと言うことで、インシデントにもなりかねないわけです。致命的なミスにまで発展しないよう、書類やデータの管理は慎重に行いましょう。


しかし、情報を管理すらしない人もまだまだ多いと思います。

管理のしかたが杜撰なだけなら、まだギリギリ「惜しい人」とも言えますが、管理すらする気がない人は致命的です。

 設計思想を記録化しない(設計書を作らない)
 会議記録を残さない(議事録を作らない)

こういった人たちは、自分の頭の中にある情報が他人と100%共有できている(はず)と思い込んでいます。そんなことは記録を残したところで100%ありえないことなのですが、それでも記録化することで高い確率で情報の共有が可能になります。

しかし、致命的な人は、それがわかっていません。

あるいはわかっていても、「面倒だから」と言う理由だけで責務や義務を放棄している可能性があります。ですから、トラブルや顧客クレームの中に、

 「記録に残して確認しなかった」
 「管理していなかった」

と言う事例が山のように出てくるのです。

それでも、改善されることは決して多くはないことでしょう。
三つ子の魂、百までと言いますが、仮に社会人1年目を1歳としたとしても、「記録化の重要性」を学ばないまま3~4年も経過すると、そうやって仕事していくことが当然と思い込むようになって、もう二度と改善されていくことは無くなるのです。

政治家ですらやってるくらいですから、この悪性腫瘍はもう人の心から取り除くことはできないかもしれませんけどね…_:(´ཀ`」 ∠):

そして、こうしたことはただの"お勉強会"では決して身につけることはできません。

どんなに「正しさ」を学んでも、
学んだ内容を活かさせない職場環境があり続ける限り、
現場の人たちが勝手に変わることは絶対にないのですから。

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