見出し画像

情報を武器にする

と言えば聞こえはいいですが、それが実際にできている人って結構少ないですよね。IT業界、IT企業の「IT」って

 Information Technology
 情報を取り扱う技術

なわけですから、情報を武器にして、その武器を使いこなすのがその道のプロではないのかな?と思うのですが、残念ながらKKD(勘、経験、度量)のみに頼った進め方しかできない人が多く、所詮この業界も「情報を武器にしている」…と呼べる人は、

画像1

このくらいのレア度なのではないでしょうか。少なくとも、私の身の回りにデータを駆使して、理論的に判断や決断をしっかりとしている…なんて人、ここ10年は見たことがありません。たまたまですが、お客さまの中にもほとんど見たことがありません。


たとえば、やっても無駄なので最近は止めてしまいましたが、以前は基本情報処理技術者や応用情報処理技術者の資格取得を促進する手助けになればと思って、毎年毎期のテスト傾向を過去5~6回分くらいまで遡って分析していた時期がありました。

画像2

たとえば、この例では次回が平成28年秋期の試験向けに作っていたわけですが、その場合は、次のような分析を展開するわけです。

情報処理試験(午前)の傾向は

 不変問題50%
 時事問題50%

が大きな相場となっているのは、長いことデータを蓄積していると見えてきます。見ての通り、毎年変わらず出される問題(分類:赤字)は約半数を占めています。ここは確実に押さえておきたいところでしょう。

また「情報セキュリティ」に関する問題数は年々増加しており、テクノロジー系50問中20%(10問)を占める年もあります。次いで「アルゴリズム」「通信プロトコル」も比較的人気があります。4GやIoTが注目されたからかもしれません。

また、昨今情報システムの大規模化やIoTなどが騒がれる中、ただ「プログラミングできればいい」と言う考え方はすでに古く、適切なプログラム、適切なシステムであるためにソフトウェアそのものを1から構想する「ソフトウェア構築」や、処理方式を検討する「アルゴリズム」なども定常化してきています。

…といった感じです。出題者が同じ人とは限りませんが、同じ組織の同じような仕事の仕方、同じような経験値を持ってきた人たちなのでしょう。あるいは、なにか出題そのものにルールや基準があるのかもしれません。とにかく、出題内容に対するアプローチが似通ってきます。

画像3

マネジメント系の出題傾向はこんな感じ。

画像4

ストラテジー系の出題傾向はこんな感じですね。

午前中に限って言えば、どの問題を解いても点数は変わらないので、資格を取るだけなら得意な分野のみに集中するのもアリでしょうけど、そういうただの暗記モノ扱いをしていると、実務では一切使えない努力となってしまうので、気を付けましょう。

基本情報にせよ、応用情報にせよ、こと午前中の問題に限って言えば、

 得意分野は作らなくてもいい、ただし
 苦手分野は克服した方がいい

と私は思っています。ソフトウェア開発は、自分たちのいる業界のためのソフトウェアを作る…と言うことは稀です。常にお客さまのために作るため、お客さまの業界ごとの知識や情報を持ち、理解している方が、より成功しやすいのは自明だからです。

そのためには、こうしたベースとなる知識群に著しい苦手分野があるのは致命的となりかねません。得意である必要はまったくないので(得意な方がいいに決まってはいますけど)、広く浅く習得しておいた方が、なにぶんどのお客さま相手でもスタートダッシュしやすくなります。


…とまぁ、こんな感じです。

実際のところ、過去5回分程度のデータでは傾向分析するにはやや不足気味です。所詮2.5年という短い期間を駆け足でなぞっているだけですからね。本当に分析するなら、5年…10回分くらいは必要です。

私の場合はこれをpdf化して技術部の社員、特に新人や若手に配っていたので、さすがにA4用紙縦に収まる程度…ということで、5回分に絞っていますが、データとしては20年近く持っているので、その気になれば作れなくもありません(というか、試験対策サイトあたりからでも、問題一つひとつ読んでいけば、分類や分析はできると思いますけど)。

でも、実際にはこういうの活用している人はいなかったと思います。なにより上司や先輩がこういうことにまったく興味を持とうとしないので、部下となった若い子たちも「あ、いらないんだ」となるのでしょう。



偉そうに言ったところで、私は試験自体をもうずっと受けていないので、資格持ってませんけどね。

私が受けに行っていた頃はまだ「情報処理技術者 第二種」とか「第一種」とか呼ばれていましたけど、あの頃は朝5時まで仕事とか、そういうおかしな労務体系の時代だったので、試験中は誰にも邪魔されずに眠れる時間だったんですよね。給与天引きで。

とは言え、こうして「情報」を蓄積できるものは、極力データとして、EXCELやACCESSなんかに保存しています。そのまま使うことはめったにありませんけど、かと言っていちいちゼロからDB作るのも、それを定期的にメンテナンスするのも面倒なので。

データ化できるものは、手当たり次第に「いずれ使うかもしれないから」と言うだけで色々貯め込んでますけど、私の周りの人は、「そんなの、そのまま使う機会なんて絶対来ないって」と言って鼻で笑います。

もう、その時点でITを専門とする人物の言うことじゃないんですけどね。

ここでも説明しましたように、データ(Data)は所詮、事実情報を蓄積したにすぎません。それ自体は宝の山ですが、磨き上げないと宝そのものにはなりません。素材であるデータをなんらかの基準に基づき構造や体系を与え、抽出し、整理したものがインフォメーション(Information)。ITの人間なら、インフォメーションにした後の情報の価値をこそ論点にするべきです。

そして、与えられたインフォメーションを必要性に基づき取捨選択し、内容を分析し、価値判断を与えられたインテリジェンス(Intelligence)。そう、知性です。

このことをしっかりと理解できていないと、おおよそ大抵のことは上手くいきません。なんとなく働き、なんとなくの成果が出るだけです。

「ペンは剣よりも強し」なんて言いますが、この言葉も「情報を武器にする」ことの偉大さを物語った言葉の1つです。

情報を大事にしましょう。

情報を武器にしましょう。

情報戦で相手を、周囲を、全体を制しましょう。

そうすれば、多くのことは予測の範囲を超えることなく、掌の上でコントロールできるようになります。

 情報を知る努力、
 知った情報を蓄積する努力、
 蓄積した情報を整理する努力、
 必要な時に必要なものを必要なだけ引き出す努力、
そして
 引き出した情報を最大限に活用する努力

私が駆使するのも、突き詰めてしまえばたったこれだけです。それ以外のスキルも能力も、些末なものでしかありません。たったそれだけのことを努力し続けることで、それなりの人物になれると思います。1つの分野に絞れば、間違いなくひとかどの人物になれるでしょう。

私は…好奇心旺盛すぎて1つに絞り切れなかったので、そこそこのそれなり程度ではあるのですが。

いただいたサポートは、全額本noteへの執筆…記載活動、およびそのための情報収集活動に使わせていただきます。