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「たまたま」を強調する

発言をするとき、相手と関係性をより良いものにするために「魔法のキーワード」を使うことがよくあります。

同じ話をするにしても、以下のような前フリをつけるだけでスムーズに印象良く受け取ってもらえます。

「ぶっちゃけますけど……」
「相談があるんですけど……」

建前を建前らしく話すのはそれがお互いに容認しあえるような場であればまだしも、腹を割って進まなければならないような場では不信感を煽ることにしかつながりません。

相手の心を開くためには、まず自分から心を開く必要があるのです。

これらは日常会話でも使えますし、重要な打ち合わせの場面や核心に迫る局面でも使うことができます。事実、トラブルなどが起きてお客さまとの距離感を詰める場合、私は必ずと言っていいほど「ぶっちゃけて話しませんか?」「ぶっちゃけて話してしまっていいですか?」から始めます。

なぜ、あえてビジネストークに則って「腹を割って話しませんか?」ではなく「ぶっちゃけて話しませんか?」と言うか?

そうした方が本音を伝えあいたいと言う意思が伝わるからです。

もちろん、双方の肩書や責任、権限の開きにあまり差がないからそうするわけで、相手が圧倒的に上位の責任や権限を持っているような場合にはきちんとビジネストークを用います。

「今日は本当に腹を割ってお話ししたいと考えています。
 部長と1対1の話をさせてください」

もちろん腹を割って本音で話すということは「裏表がないということ」「機密に関するものでもない限りは裏表を隠さないということ」です。

そもそも、それができないと言う時点でやましいことがあると言うことです。腹を割って話せない…それだけでその人の信用の度合いがわかると言うものです。


一方、一見よく似ている言葉ですが決して使ってはいけない表現があります。

 「ここだけの話なんですけど……」
 「絶対内緒なんですけど……」

などです。世間話であればまだしも、対外的な関係…たとえばお客さまとのビジネスにおいて使うものではありません。まともなビジネスパーソンであれば、

 「ここだけの話ですけど、A社ではこんなことをやってまして…」

なんて話し方をする人は、他社に行ったら自分たちの秘密を

 「ここだけの話ですけど…」

と言いながら拡散しているに違いないと思うからです。

 

意見を表明するときにハードルを下げるときの「魔法のキーワード」は他にもあります。

「よくわかんないんですけど……」
「まだ結論は見えていないんですけど……」
「いま急に思いついちゃったんですけど……」
「フラッシュアイデアなんですけど……」

私はその場で思いついたことでもどんどん発言しますが、その場の思いつきですから周辺情報が少なく確定的なことは言えません。

また、時間がなくて詳しく調べられなかったとき、単純に発言しにくい雰囲気のときや優秀な人たちのなかで萎縮しそうなときにも、こうしたフレーズを使えばハードルを下げられます。場違いなアイデアだったと気づいたらすぐに引っ込めればいいのです。

自身の意見とはせず、一般論として述べるときの「魔法のキーワード」はたとえばこのような感じです。

「よく、○○なことってありますが……」
「巷では、○○なんて話をよく耳にしますが……」

自分の意見を言うと角が立ちそうな場合は主語をわざとぼかし、「一般論としてこんなことがありますよね」と提示すれば摩擦が避けられます。

そう、芸人の大御所明石家さんまがよく使うテクニックです。

角が立たないように反論する/反対の意見を述べるときの「魔法のキーワード」で言えば、このようになります。

「確かにそうなんですけど、私は……と言う観点での考慮も
 加えておいた方が良くはないでしょうか」

「おっしゃっていることはごもっともです。しかし……」

「そうですよね」は、絶対に否定にならない鉄板のキーワードです。また同じ効果が得られるキーワードとして「確かに!」とか「その通りですよね」があります。

実際に心のなかでは反対意見を持っていたとしても、そのままガチで反論すれば気を悪くされるだけです。そこでこのようなフレーズを言ってから意見を述べるようにすると、正反対の意見でも案外すんなり受け入れてもらえます。

嫌味なく、周囲を傷つけずに知識やうんちくを述べるときには「たまたま」をアピールするのがベストです。

「たまたま知っていただけなんですけど……」
「偶然聞いたことがあるんですけど……」
「私もつい最近まで知らなかったんですけど……」
「知り合いにたまたま詳しい人がいるんですけど……」

自分の知識を述べたり、うんちくを語ったりするときには自分の立ち位置を上げないように注意してください。ほかの人が知らない知識を語るということは「みなさん、この知識は知りませんよね?」と高飛車に宣告しているのと同じと受け取られかねないからです。

そこで「偶然」「たまたま」などのフレーズを混ぜておくと、その知識を知らなくても別に問題はないという雰囲気を作ることができるのです。

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