迷ったときは「メリット・デメリット」の表に決めてもらう
みなさんは仕事の中で次のようなシーンで悩むことはありませんか?
「今度の新商品は、高機能をウリにするか、低価格をウリにするか」
「売上を増やすために、単価を向上するべきか、工数を精査するべきか」
このように仕事では、何かを選んだり決めたりしなければならない場面が多くあります。仕事以外でも、悩みの種は尽きません。
「Aランチもおいしそう…でも、安いのはBランチ…いやしかし…」
「電話してからメール送るか、それともLINEで十分か」
「今日のうちに謝っておいた方が良いか、明日にするか」
他にも、転職活動で2社もらった内定のうちどちらに行くべきか、といった場面や、給料の使い道や旅行の行き先、高価な買い物をするときなど、プライベートでも選択の場面は無数にあります。
もちろん、選択肢は必ず2つとは限りません。3つある場合も、4つある場合もあるでしょう。まるで恋愛シミュレーションゲームのようですね。
まぁ、私はこの時代のしか知らないんですけど。しかも、実際には後ろで見てただけで、自分でやったことないんですけど。
こういった場面では、慎重に考えて判断しないと、不満や問題の多い選択肢を選んでしまうことになります。適当に選んで後悔したことや、重大なポイントを見逃してしまい、判断ミスにつながった、などの経験がきっとみなさんもあるのではないでしょうか。
感情的に決めても、正しい選択になる保証はどこにもありません。このような選択や判断をするときの一番シンプルなポイントは、それぞれのメリットやデメリットを丁寧に整理することです。
とにかく書いてみる
まずは次のように表を書き、選択肢ごとのメリット・デメリットを書き出します。漏れがあると正しい判断ができませんので、じっくりと考えましょう。できれば、漏れがないか先輩や同僚など他の方に見ていただくとより確実です。
このように表に書き出していくと、今まで気づいていなかったメリットやデメリットを見つけることができます。そして、それを書き出して見える状態にすることで、より適切な判断ができるようになるのです。
たとえば、今回の選択において「絶対に外せない条件」はなんでしょうか?「期限」ですか?「予算」ですか?それとも「多機能」ですか?
整理するとわかってるはずなのに、なぜか安物を買ってしまったり、無駄にゴテゴテと冗長機能が多すぎる物を買ってしまったり、と言うことになりかねません。
また、仮に選んだ選択肢が「失敗」だったとしても、表を使って検証する癖をつけておけば、
「このときに挙げた要素が甘かったからだ」
「○○の視点が抜けていたから失敗につながった」
などと、次回同じような選択を迫られたときに活かす反省点を見つけることができます。表を作り、判断基準を明確にしておくことでPDCAの「P」が、結果を振り返って表を見直すことでPDCAの「C」が実施できるわけですので、必ず改善されていくことがわかります。
メリット/デメリット以前の状態で悩む場合
また、整理の結果、一方に明らかにメリットやデメリットの数が多いとわかれば簡単に決まるのですが、実際にはそのようなことはあまりありません。どちらも同じくらいの数が出てきて、なかなか決められないということもしばしばあります。
たとえば、同じようにA社とB社、そしてC社、いずれに発注するか比較するとします。その際、次のような表となった場合はどうでしょう。
何をもって「メリット/デメリット」と呼ぶかは、あらかじめ判断基準がなければ決めることができません。そのような場合は、まず判断基準となるテーマを決めて、それを列挙してみるといいでしょう。
判断基準とは「どんな観点で評価・判断をするか」ということです。たとえば転職先の選択であれば、「給料」「やりがい」「通勤時間」「安定性」などの観点が考えられます。ここでは、「価格」「機能」「納期」を判断基準にしました。
次に、それぞれの選択肢について、判断基準ごとに評価します。ここでも基準を決めてください。たとえば価格について、高ければ「○」、まあまあなら「△」、低ければ「×」などと表に書き出していきます。より具体的にするのであれば
0~40万:安い「〇」
41~70万:まあまあ「△」
71~ :高い「×」
というように、持っている予算などを勘案して、閾値を明確にするとあやふやな表現がなくなり、より正確性が向上します。
そして最後に、○を2点、△を1点、×を0点などとして数を数え、もっとも総合評価の高い選択肢を決定すると、客観性の高い選択が可能となります。
そもそも、すべてにおいて満足できるような"完☆璧"な選択肢に出会うことなんてそうそうありません。必ずどこかしら妥協しているはずです。だから、「どれも一長一短だな…」と思っても難しく考える必要はありません。機械的に選択すればいいのです。
「〇が一番多い」「点数が一番高い」は選択した根拠として、妥当であることを証明しやすい評価基準です。仮に失敗したとしても、「じゃあ、他にどんな選択方法が良かったのか?」を説明できる人はまずいません。
それでも判断できないケース
もし、これまでの手順を踏んでもなかなか決められないのであれば、判断基準に「数字では測れないもの」が多く含まれているのかもしれません。
たとえば、「給料」や「通勤時間」は数字の大小で表せるので、評価が容易です。しかし「やりがい」などは数字で表しにくいため、比較がしづらくなります。そのような場合には、何かしら数字に置き換えられるものはないか、探ってみましょう。
たとえば「やりがい」であれば、ネット上には「やりがいのある会社ランキング」のようなものもありますし、ある程度大きな会社であれば、口コミや採点を載せているサイトもあります。
一見、感覚的なものであっても、
なんとか数字によるデータに置き換えられるものはあるはずです。
たとえば、新商品のパッケージの色を青にするか赤にするかで迷ったとします。通常であれば、どちらが良いかを数字で表すのは困難です。おそらくは好き嫌いの世界で判断することが多いと思います。
しかし、ネット上を探せば色の好みに対する調査レポートもありますし、お客様アンケートを実施すれば「青が良いと答えた人が65%」などと集計することもできるでしょう。Twitterのアンケート機能を使ってみる…というのも1つの手段ですよね。実際、そのような形でマーケティングされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
概ね、マーケティングの世界はこのように"数値化"することで成り立っています。もしも、自分の判断、あるいは決断に自信がないような場合は、このように客観的な数値を用いて、機械的に判断するといいでしょう。
感情や思案の入り込む余地がないので、データさえそろえば、判断や決断は一瞬です。もちろん、それでも優柔不断で「でも~」と言い出していたら意味はありません。データと判断基準に身を任せる覚悟が必要です。
ごく稀に直観の方がよほど精度の高い人もいるかもしれませんが、普通の人であれば直観なんてものよりはよほど信用できる方法です。なにより、『根拠』が明確なので、成功しても失敗しても、その原因がはっきりと説明できます。少なくとも、直観に頼る人には、成功しても失敗しても、根拠を説明して相手に安心や納得をしていただくことは難しいと思います。
このように、できるだけ客観的な数字で表す習慣をつけることが、速く正確な判断を下し、「悩む」ことから解放し、日頃の様々な活動において生産性を向上させるコツだと思うのです。
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