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「任せる」スキルはタスクの分解能力に依存する

買い物にいこうとふつーに住宅街の中を歩いていたら、ふと気づいたんです。

「仕事を任せるのが苦手」

と言っている人の多くは、ひょっとすると潜在的な他責から解放されていないのかもしれません。考えてもみてください。そもそも、他人に仕事を任せられない理由はなんですか?

おそらく十中八九の人が

 「任せられる(ほど能力が高い)人がいない」

という答えに行きついていませんか?
おっと、物理的にそもそも人がいないというのはナシでお願いします。

 ・人はいる
 ・任せてもいいと言われている
 ・その権限が自分にはある

にもかかわらず任せられない…その理由を間違いなく「他人」の中に見出していますよね。これは、他責です。他責という言葉にネガティブな印象を受けるのは仕方がありませんが、理由を他人に求めた時点で何はともあれ他責になるのです。だから解決できない。


でも、違うんです。

そもそも任せられない理由を他人に求めている時点で袋小路に入っていますし、他人に求めている時点で間違っています。任せられない理由は

 任せられるタスクにまで分解していない

ことが原因です。

たとえば、今からチームで「晩御飯をつくる」プロジェクトを開始するとイメージしてください。作る献立は

 ・カツカレー
 ・サラダ
 ・スープ

ここで役割分担をするとしたとき、

Aさん:カツを揚げる
Bさん:カレーをつくる
Cさん:サラダをつくる
Dさん:スープをつくる

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みたいな感じにしますよね。旧態依然とした日系企業の縦割り型役割分担です。もしここでチームのうち、AさんとBさんしか料理経験が無かったらどうでしょうか。CさんもDさんもインスタントラーメンくらいは作れても、サラダもスープも作ったことがありません。

AさんとBさんはC/Dさん両名に仕事を任せたいけど、おそらく「任せられないから」と言って、自分たちで手際よくサラダとスープを作るのでしょう。CさんもDさんも、「ゴメンねぇ~」「何か手伝えることがあったら言ってー」と言いながら、指示待ちの状態になっているかもしれませんね。

だから、「任せられない」という状況に陥ります。

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それが大きな間違いです。

根本的に『仕事』の捉え方が間違っています。

仕事は細かいタスク…アクティビティの集合体です。欧米では、このアクティビティごとに得意分野やキャリアが決められていて、そのアクティビティだけのスペシャリストなんかも普通に存在しています。そう、縦割り型ではなく、横割り型なのです。

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これはさすがに極端ですけど、イメージとしてはこういうことです。実際には各料理の難易度ごとに出来上がるスピードが異なるので、こんなに綺麗に同じタイミングですべての料理の担当が回ってくるわけではありませんが、このような分け方をすると「できることだけ」に集中できるぶん、効率性が非常に高く、しかも遊兵(いてもいなくてもいい、何もしていない/機能していないポジション)を作らずに済みます。

では、レシピ本などに照らし合わせて、アクティビティを見てみてください。技法として共通する部分は出てきませんか?

器材も数限りがあるので、機材の占有単位ごとにアクティビティをまとめた方がよさそうですよね。重複するのは難しいわけですから。ざっくりとわかりやすいところで、

・包丁を使う担当
・洗い物をする担当
・火を使う担当
・盛り付ける担当

と分けてみるとどうでしょう。

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実は任せられるところは多々あるはずです。

任せられない理由は

 「任せられる単位に分解できていない」

からです。大きな単位で丸投げしたい、手抜きしたいという潜在的な欲求のせいで、またそれを明るみにしたくないし、認めたくないから「(他人の)能力が低くて任せられるレベルにない」という言い訳をしているにすぎません。

実際、心当たりがある人も多いのではないでしょうか。

もちろん、そうじゃないって人もいるかも知れませんが、あえてこのような解決法を用いてみれば、意外と解決できたりするんじゃないでしょうか。既存の考え方に固執せず、もっと多くの考え方を取り入れてみてください。ほんの少し視座を変えるだけで、「できない」が「できる」に替わることはたくさんあります。

「このお客さまを任せたい」とか
「このプロジェクトを任せたい」とか

そんな大きな塊を丸投げするのではなく、「任せられるアクティビティに分解してから任せる」仕事をしてみてはどうでしょう。それは上司としてマネージャーとして本来持っておかなければならない能力のはずだと思うのです。

そして、任せられるアクティビティを増やしていった先に「丸ごと任せる」という次のステージがあるのではないでしょうか。

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