問題解決のノウハウはどこでもいっしょ
ハイ。
これは何かっつーとですね、いわゆるソフトウェア開発において
「不良が初期に作りこまれていたとき、
発見したフェーズがどこだったかで生じるコスト比」
の一般的な傾向グラフです。
つまり、要件定義フェーズで不良が作りこまれていたとして、要件定義フェーズのレビューにて発見することができた場合の労力…コストを"1"とした場合、フェーズが進むにつれて、その問題を解決し、影響を見直し、類似の問題がないかを調査し、見直した修正箇所をテストしなおし、これまでのプロセスすべての品質を保証しようと思ったら、指数関数的にコストや労力の規模が膨らんでいく…と言う図です。まぁ、テキトーにつくったので、実際にはもうちょっと直線に近くなっている気がしないでもないですが。
ちなみにこれ、IT…というか、ソフトウェア開発に限らず、ありとあらゆる「問題」に対して同じようなことが言えます。料理でもそう、勉強でもそう、もちろん虫歯やガンなど病気でもまったく同じことが言えるのです。
「病気は早期発見、初期治療が大事」
というのは、どの病気でも通説になっていると思います。そうです。問題は後回しにすればするほど収拾がつかなくなっていくと言うことです。
当然のことながら、新型コロナウィルス対策においてもそれは同様です。もちろん、政治的な判断や決断も同じです。それは台湾やシンガポールの対策と、そこにかかったコストや労力を見れば歴然ですね。
逆に、中国…やイタリア、スペインなんかを軽くぶっちぎってアメリカは、今後元の状態を取り戻すまでに、とんでもない労力とコストを費やすことになるでしょう。ニューヨークの惨状を聞くたびにそう思います。
「対応が遅い」と言うのは、まさに先ほどのグラフで言う、後フェーズになるまで放置している状態と全く同じなのです。それがなんとなくでもわかっているからなのか、多くの人が「政府の対応は遅い」と言っているのでしょう(遅くせざるを得ない事情があるのか、それとも楽観視しすぎて遅いだけなのか、その辺はわかりません。ただ、事実として「遅い」のは確かなのでしょう。実際問題として感染者は激増していますし、結果的に死者も増えています)。
よくTwitterなどでは、「医療関係者でもないくせに」「疫学の専門家でもないくせに」なんて言い方で相手の口を封じようとしている人が散見されましたが、よくよく考えたら、
医療関係者は医療(診断と治療)に精通している
疫学の専門家は疫学(過去の疫病)に精通している
のであって、「政治的判断のプロではない」し、「経済の動向や国民の心理に精通しているわけでもない」し、もちろん「問題解決の適正判断ができるプロでもない」んですよね(全くの素人と言うわけでも無いのでしょうけど)。
ただの問題解決だけであれば、お客さまの抱える課題や問題をソリューションしてきたITコンサルや経営コンサルの立場の方の方がよほど精通しているのかもしれません。
私はITや問題解決には、おそらく人並みのエンジニア以上には精通しているプロであると名乗れますが、医療のプロとは名乗れません。自分が罹ってきた病気については人一倍詳しくなったつもりですが、それでも医者と比べれば月とスッポンです。
ですが、どういうわけか、ある意味でウイルスについては多少詳しいかもしれません。
なぜなら、コンピューターウイルスは、その名の通り、医療の世界で言うウイルスを模して名付けたもので、同じように感染を広げてコンピューター(身体)やほかのアプリケーションの機能(体機能)を阻害するソフトウェアであり、その特性や感染した時の問題対処の方法が、実際のウイルス感染ととても似通っているからです。
コンピューターウイルスに感染したPCを発見した場合、あるいは感染したのではないかと感じた場合、私たちITの世界では、PCに対して
①ウイルス対策ソフトのウイルス定義ファイルを最新にする
→治療に必要な環境を整える
②ネットワークから隔離する
→ほかに感染する可能性を最小、またはゼロにする
③ウイルス対策ソフトを使ってウイルスチェックを実施する
→検査等を実施し、病名等を明らかにする
④ウイルスが見つかった場合は、ウイルスの駆除する
→適切な治療を施す
⑤駆除できなかった場合は、初期化する
→治療が効かない、施せない場合は、看取るしかない…
と言うことをしますが、もちろんそれだけにはとどまりません。この1台だけしか感染していない…とは言い切れないからです。「感染する」という特徴を持つ以上、ネットワークを介して感染したコンピューターウイルスであれば、同じイントラネット内に拡散している可能性があります。
これって、PCを一人の人間と仮定した時、閉じたネットワークは3密でいうところの密閉空間と同じ扱いになります。利用頻度が高いファイルやサーバー、コンテンツなどは密集場所、不用意にアクセスしていると密接場面になります。
それに、密閉空間(イントラネット)内でネットワーク感染した可能性があるという時点で、絶対にすべきことが2つあります。それは
⑥感染源の特定
⑦全PCの検査
です。前者は、現状、感染源にセキュリティホールが何かしら存在しているということです。外部からのハッキングやクラッキングなのか、それとも社員が持ち込んだPCが既に感染していて、ネットワークにつないだために拡散したのか、何が原因かわからなければ再発防止ができません。絶対にです。原因がわからないのに「再発防止できました」なんて口が裂けても言えません。
また後者は、1つでもウイルスに感染されたPCが残っていたら、他のPC等にもどんどん感染していく可能性があるため、絶対に「感染しているか、していないか」を検査しなければなりません。このあたりは、企業であればBCP(事業継続計画)の一環としても必ず実施するでしょう。もしも、致命的なランサムウェアなどに感染していたら、企業の存続そのものが危ぶまれるからです。
この辺りの流れも、医療にかかる対策と全く同じことが言えます。ガン細胞にせよ、疫病のウイルスにせよ、取りこぼしが1つでもあれば、そこから転移や感染がまた始まってしまいます。致命的であればあるほど、問題はすべて取り除くのが鉄則です。それは医療でも同じだと思います。そのために、術後(駆除後)は様々な検査をされていることでしょう。
正直、もうあちこちで言われているので、「政府の対応が遅い」とか「検査するとかしない」とか「医療崩壊がどうこう」とか、「失業保障がどうこう」とか、いい加減そこかしこで好き放題言い合っている人たちがいるので、もう触れるのは止めておきましょう。
どーせ、何を言っても世の中が変わるわけではありません。
「権限」を持つ人たちが決めることです。
個人的には、現状は予定調和の中にあると思っているので、「ほれ見たことか」と言うだけです。
ただ、それでも「何の」ではなく、何事においても「問題解決のプロ」として老婆心ながら言うならば、問題が起きた時にすべきことは
①問題の源流を特定する
→混入原因/流出原因それぞれの観点から特定する
→結果的原因/動機的原因らの観点でも特定する
②是正計画を立てる(それで問題そのものは解決するのか?)
③影響範囲を特定する(二次災害は起きないか?)
④類似を調査する(他にはないか?)
⑤リソースやコスト、スケジュールを調整する
⑥計画実現性を見定め、しかるべき人物がGO/NO GOを決定する
⑦対策する
⑧対策結果を評価する
⑨問題が残っていないことを証明する
という流れで解決していくのが全てです。これは業界や技術的な垣根を越えて、「問題」であれば全てにおいて同じことが言えます。逆にこれらに対して、明確な証拠や証明がないものは、ハッキリと「解決した」とは言えません。
今回の新型コロナは「未知の」ウイルスであるため、いかなる専門家であろうと、過去から類推することはできても、完璧な解決にはまだしばらく至ることは無いでしょう。
そうした場合に考えることと打てる手段は、
「被害の拡大を止めるためにはどうすればいいんだっけ?」
「ここで言う『被害』ってなんのことだっけ?」
を明確にすることだったのではないかな、と思うわけです。
結果的に、頑なに検査数を増やさない姿勢を取り続け、今現在、まさに医療崩壊するかしないかのオーバーシュート間近な状態になっています。4/6時点で新規感染報告100名弱のうち、9割が感染源不明と言われています。このような状態では、もう現状維持(自粛をお願いするだけ)のままで拡大を止める手立ては100%存在しないのではないかと思います。
現在、病床確保を急ピッチで進めていると言うことですが、いずれ不足する未来がチラホラ見えてきていますよね。
この累計の線は、そのまま完全解決までに必要とするコストと労力であることを意味します。増加すればした分だけ、医療現場の負担が増加し、死者も増え、企業や経済に大きなダメージが残ります。
また、この先のことを予測するとなると、今更どうすることもできないかもしれませんが、まだまだ予断を許さないことがわかります。感染確認ができるまでに潜伏している期間が1~2週間あったのだとしたら、現時点で性善説に則って「自粛するべき」と言う、国民の善性に期待した対応しかできていない今、まさに拡大中のはずで、今後1~2週間の後には、さらに増加していると言うことが考えられます。
1~2週前…というのをおおよそで40名前後新規感染者が出ていた時期だと仮定して、たった2週間で2~3倍に跳ね上がってます。これはつまり、わかる範囲だけでも、1人の潜在的な感染者に対して、平均3名ほどが伝染していると言う計算になります。そう
感染源:被感染者 = y:x(y=1、x=3)
的な。つまり、絶賛拡大中ということです。
この「感染源:被感染者」の関係性は
y=x 感染源1人に対して1人にしか伝染しないなら、
「拡大しない(ただし終息もしない)」ということになる
y<x 感染源1人に対して2人以上に伝染するなら、
「拡大している」となる
y>x 感染源1人に対して1人未満に伝染するなら、
「縮小している」という判断ができる
という構図になります。
現状の「自粛要請」は効果が無いわけではないと思いますが、期待(y=x、またはy>x)以上の効果にはなっていません。だから、感染者数は日に日に増加する傾向となっているわけです。つまり、「現状のままの対策では、拡大が止められない」と言うことが証明されたと言うことです。
本日発令される緊急事態宣言を有効活用することで、もしもy>xの状態にすることができれば、2週間後以降、おそらくは縮小傾向となっていることでしょう(それまでは昨日までの負債分、増加し続ける可能性がたかいかもしれません)。
こうして今まで対応が遅れてきたことで、医療現場では大変な思いをされている方も多い中、ギリギリで踏ん張ってこれたのだと思いますが、その代わり、他の業界の方々については、生活も立ち行かなくなるような状態になる人も出てきました。
「どっちが大事」とかそういう話にするつもりはありませんが、結果的にコロナがらみで自殺した人は増加する傾向になっていて、今後も非常に懸念されています。
こういうのを見てると、物事を一方的な見方だけで語るのは恐ろしいなと心底思いますね。
どっちがよかったとか、悪かったとかそういうのはほかの人に任せますが、「問題解決」のプロとして私に言えることは、
「なんでもそうやけど、早期解決しないで
被害が最小にとどまるとか、勝手に縮小化するなんてことは無いで?」
ということだけです。問題を先送りしていいことなんて何一つありません。それは、ITでも医療でも同じだと思います。そして、そういった根源的な課題を解決するためには、
「現状維持」や「何もしない」
という判断・決断をやめることです。それは何も状況が好転しないと言うことです。問題が起きてしまったら、現状維持のままでは絶対に問題は解決しません。問題が継続されるだけです。ウイルスの場合は、拡散し、被害が拡大するだけです。仮に「時が解決してくれる」的な自然消滅するようなものであったとしても、大きな爪痕は必ず残ります。
とにかく現状に甘んじない。
とにかく改善する。
できることは極力やる。
やれることは全部する。
(ただし、無計画には行動しない)
そういうつもりで普段から取り組んでいない人は、ひょっとするとオフィシャルでもプライベートでも、早期解決が苦手な人が多かったりするのではないでしょうか(私も、社会人になる前はそうだったので、なんとなくわかります)。
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