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仕事の引き継ぎが上手い人

一般的に「期の変わり目」に多いといわれている人事異動。あるいはプロジェクトが一旦収束した後、他のプロジェクトに参加が決まった際に前プロジェクトのエンハンスを受注したような場合。

そう言う時、新しい業務を任された人や後任に仕事を引き継ぐことがよくあると思います。

しかし、引き継ぎが上手くできずに苦労することがあります。場合によってはそのせいで予期せぬトラブルに見舞われることも多々あります。

では、引き継ぎ上手と下手な人の違いは何なのでしょう。

長年の経験から生まれた“慣れ”

仕事の引き継ぎをする場合、多くの人は引継書やマニュアルを作成するはずです。仕事に関わる項目をひとつずつピックアップし、後任者が見てもわかりやすいようにまとめるだけですが上手に伝わらないことがあります。

その原因ともいえるのが仕事に対する“慣れ”でしょう。

慣れや慣習は当の本人からしてみれば何も変わったことをしているわけではない認識のため、「引き継ぐまでもない」こととして周知されないリスクを負います。

本来、引継ぎは引き継がれる人がまっさらな状態からでも困惑しないようにするためのものですが、引き継ぐ人の勝手な都合で進められてしまうケースが多いのです。

たとえば「月末にA社に請求書を発行する」というタスクがあるとします。

長年担当していた自分ならそれだけでも理解できますが、後任者からしてみれば、

 「A社の誰宛(どこの部署宛)に送ればいいのか?」
 「郵送なのか?PDFをメールで送るのか?」

と疑問が生まれてしまうわけです。こういった問題は自分自身が仕事に対して慣れてしまっているため、後任者への配慮に欠けている状態を意味します。

引継書やマニュアルを作成するのであれば、誰が見ても(新人やバイトが見ても)理解できる内容にしなければなりません。しかし引継ぎの素人はそれができません。

 

「期間」や「担当者」などを明確にする

『誰が見ても理解できる内容』とは、仕事を引き継いだ際に生まれるであろう疑問を解決するための補足があることを指します。

たとえば「月末にA社に請求書を発行する」であれば、

 「毎月のいつ行う作業なのか」
 「先方の担当者名や連絡先、住所」
 「送付方法」
 「自社の相談部署や担当者」
 「A社と自社の関係性」

などこまかく記載するのが基本となります。場合によっては作成した請求書ファイルの「ファイル名のルール」「保存場所の指定」も必要になるはずです。

一つひとつのタスクすべてにこういった詳細を付けるのは手間のかかる作業かもしれません。

しかし、詳細を付けずに引継書を作らないと引き継ぎ後に後任者からの質問攻めにあう可能性が高くなります。結果、自分の仕事に支障をきたすことになるので資料作成に時間を費やしたほうが双方にとってのメリットが多いでしょう。


仕事の年間スケジュールを作成する

ひとつずつのタスクに関する引継書の作成方法は前述の通りですが、もうひとつ「年間スケジュール」も忘れてはならない存在です。

ルーチン化されたタスクだとしても、毎日行う作業や1週間に1度、月に1度、半年に1度などサイクルは異なるはずです。そこで1年間を通してどの時期にどんなタスクが発生するのかスケジュールを作るのが好ましいでしょう。

一例を挙げるなら、

 「毎月月末  :1カ月の成果をまとめる」
 「3カ月に1度:業務改善の見直し」
 「1年に1度 :全体会議用の資料作成」

などをExcelやGoogleスプレッドシートなどのツールを使ってタスクの“見える化”をしておきましょう。これは作業全体を俯瞰して見るためにとても重要なことです。

たとえは、『新人教育』を例にとってみましょう。

ひょっとすると新人教育の講師をしている人、していた人の中にも新人教育にはどのような作業があるのか、理解していない人は多いと思います。

しかし、実際には陰で実施すべきことが山のようにあります。

これらを明確にし、また一つひとつのタスクごとの手順や注意点などを整理しておかないと引継ぎなどできるはずもありません。

昔作った新人教育の年間計画表


対面で引き継ぎする時間を設ける

引継書(マニュアル)と年間スケジュールは後任者が仕事を引き継いだあとに困らないようにするためのものです。

しかし、いくらわかりやすい資料を作ったとしても後任者と対面で引き継ぎに関する質疑応答ができなければ、結果として上手に引き継ぎできない可能性があります。

そこで後任者とコミュニケーションがとれるのであれば引き継ぎスケジュールを作成し、対面で会話をできる期間を設定すると円滑な引き継ぎにつながるでしょう。

実際、ソフトウェア開発において納品した後、お客さまの情報システム部門あるいは専門にしている他社に保守や運用を引き継ぐケースもあります。

そう言った場合、正しく引き継げていなければ後々自分が繁忙期に入った後に質問攻めにあってどちらも破綻してしまう…ということもあり得ます。

『引継ぎを上手くできるかどうか』は言い換えれば『他人に自分の保有する情報を適切に渡せるかどうか』を意味します。それは即ち、

 部下や新人を育成するスキル

にも直結します。部下を育成・指導できないということは組織を成長させられないということです。組織を成長させられなければ既存顧客と延々安定した売上・利益を出す分にはともかく、それ以上のことをさせられないということです。あるいは顧客層が変化した時に速やかな対応が取れず、組織として"お荷物"になってしまうということです。

一担当者であった時期から、管理職に登りつめるまでの間に引継ぎが上手くなっておくことはとても重要なことなのです。

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