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監視・コントロールを正しく理解する

「スタート」と「ゴール」を結ぶとき、プロジェクトマネジメントでもそうですけど、その進め方が誤ってないことを確認するためにマイルストーンを設け

 「本当にゴールに向かって順調に進んでいるか?」
 「見直す必要はないか?」

を確認しますよね。

そう、要するにPMBOKで言われる「監視・コントロール」プロセスの『監視』です。コントロールは監視が正しく行われて、コントロールすべきポイントが洗い出せない限り上手く機能しませんので、進行中のプロジェクトが成功するための誘導をしっかり行いたいなら監視はとても重要なポイントとなります。

…のですけど、案外難しいのはどうやって

 「本当にゴールに向かって順調に進められている」

と証明するか。

実際「言うは易し」でちょっとPMBOKを少し勉強すれば誰もがわかってることかもしれないんですけど、PMBOKの教本を買ってみたところで具体的にどうすればいいかなんて書いてません。そこはマネージャーの腕の見せ所なわけです。

一般的に良く行われる"定例会議"などによる"進捗報告"

アレは百分率というあまりに主観的な単位を使った、精度の低い「確認」方法が主流ですが、それよりもなによりも

 定量的

な側面しか測っていないため、監視プロセスとしては30点も取れるかどうか…という非常にしょっぱいマネジメント手法にしかなりません。

そう、たとえば

 「なんとなく7割進んだ」

ということはわかっても、

 「ゴールに向かっているかどうか」

はわからないのです。

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PMBOKをちょっとでもかじった人ならご存じかと思いますが、PMBOKのなかで定義されているプロセスの多くが「計画」と「監視・コントロール」に集中しています。

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いいかえれば、「計画」と「監視・コントロール」の2プロセスを重点的に押さえてしまえば、マネジメントの9割は補完できる、ということでもあります(もちろん、他の1割を軽んじてはいけませんが)。

その「監視・コントロール」のうち、プロセス起点となる『監視』ができるマネジメントとなっているか否かは最初に説明した

 「本当にゴールに向かって順調に進められている」

かどうかを測定するその1点の完成度で決まると言っても過言ではありません。仮に「順調です」「90%です」という報告を受けていたとしても、それがゴールを見誤った報告では意味がありません。

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量的な観点と質的な観点は決して衝突しません。決して片方だけでうまくいくものではありません。両方揃って初めて成立するのです。

実はこれ、日本語を正しく理解していれば容易に気づける話って知ってました?

ポイントは『監視』という言葉。

QMSなどのISO規格に携わっているとたまに出てくるんですけど、大事なのは「監視」だけではありません。『監視』『測定』が必要なんです。

さて、いったいそれぞれ何が違うのでしょう。

監視とはその名の通り「視る」こと、「見張る」ことです。
測定もその名の通り「測る」ことです。

ハイ、もうお気づきの方もいるかもしれませんが、実は定例会議等で行われる"進捗報告"による確認というのは「測定」の方なんですね。監視じゃないんです。日頃監視しなかった人が、「そろそろどうなってるかなー?」「順調かなー?」と思って、進み具合の量を測るのが進捗報告の本質です。

しかも「測定」は測ることが主な目的であって、「監視」のように見張っているわけではありません。その結果、報告者の主観的な目分量がが含まれていても、それを聞く側では把握できません。結果、測定内容と実態が乖離することもしばしばです。

先ほども言いましたが、「監視」も「測定」もどちらも大事なので「測定」を軽んじる必要はまったくありませんが、あくまでもプロジェクトマネジメントのベストプラクティスであるPMBOKという体系の中で求められており、より重要視されているのは「測定」ではなく「監視」の方だということを理解しておきましょう。

そうすれば

 『「測定」だけすればプロジェクトマネジメントができている』

なんて勘違いは起こらないはずです。


こういった、ちょっとした言葉の違いなんかを理解するかしないか…というのも、一種のコミュニケーション齟齬なんでしょうね。PMBOKの本を読んでもそこまで読み取れるかどうかは、結局「読み手」の読解力に依存します。

「書き手」と「読み手」の間にある認識の壁が無くならないと、仮にPMPなどの資格を有していたとしてもしっかりとしたマネジメントプロセスを構築できる…ということにはならないんですよね。


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