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プロフェッショナルの条件

タイトルは、近代経営学の父 P.F.ドラッカーの著書と同じですね。新人、ベテラン関係なく、プロフェッショナルを名乗るのであれば、必ず一度は目を通しておくと良い書籍の1つではないでしょうか。

私自身、バイブルとしている書籍の1つでもあります。

しかし、ドラッカーはあえて「プロフェッショナル」の定義を、この本ではなく、別の著書に要約しています。

厳しいプロは、高い目標を掲げ、それを実現することを求める。誰が正しいかではなく、何が正しいかを考える。頭のよさではなく、真摯さを大切にする。つまるところ、この真摯さなる資質に欠ける者は、いかに人好きで、人助けがうまく、人づきあいいがよく、有能で頭がよくとも、組織にとって危険であり、上司および紳士として不適格である。

(『現代の経営』より)

この後も続きます。

リーダーたる者にとって最も基本的な資質は、「真摯さ」である。信頼するということは、リーダーを好きになることではない。常に同意できることでもない。リーダーが言うことが真意であると確信を持てることである。それは、真摯さという誠に古くさいものに対する確信である。

真摯さを絶対視して、初めてまともな組織といえる。真摯さは、とってつけるわけにはいかない。すでに身につけていなければならない。ごまかしがきかない。

そして、(『マネジメントの基本と原則』)では

真摯さはの定義は難しい。だが、マネージャーとして失格とすべき
真摯さの欠如を定義することは難しくない。

1)強みよりも弱みに目を向ける者をマネージャーに任命してはならない。
  できないことに気づいても、できることに目のいかない者は、
  やがて組織の精神を低下させる。

2)何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者をマネージャーに
  任命してはならない。仕事よりも人を重視することは、
  一種の堕落であり、やがては組織全体を堕落させる。

3)真摯さよりも、頭のよさを重視する者をマネージャーに
  任命してはならない。そのような者は人として未熟であって、
  しかもその未熟さは通常なおらない。

4)部下に脅威を感じる者を昇進させてはならない。
  そのような者は人間として弱い。

5)自らの仕事に高い基準を設定しない者もマネージャーに
  任命してはならない。そのような者をマネジャーにすることは、
  やがてマネジメントと仕事に対するあなどりを生む。

もしリーダーがそのように真摯さに欠如する者であれば、その組織では、やがてマネジメントと仕事に対するあなどりを生み、組織の精神を低下させ、そして組織全体を堕落させて行くと言うことですね。

いやー、いい言葉だと思います。金言です。

たまたま私自身が愚直でそれっぽいことをしてきたので、たまたま乗っかってるだけですが、やはりそうあるべきだと思うんです。

日系企業…特に歴史の古い企業の中には、毎年のようにニュースでにぎわうように、企業トップの不祥事が多いですよね。まぁ他国でもあるかも知れませんし、「他国の方が酷いよ!」と言う人もいるかもしれませんが、別に相対比較したいわけではないので、ご了承ください。

ただ、日系企業のトップの腐りようは時代を追うごとに増して言ってるような気がしないでもありません。まぁ毎年多かれ少なかれ出てくるんですけど。


真摯さとは簡単に言うと

 正しいと思っているものに対して、ひたむきに誠実であること

だと思うんです。原文では「character and integrity」と表現されていますが、integrity は"高潔さ"と言う意味も含まれていますので、利己主義的な考え方は排斥されなければなりません。

 能力が優れているかどうか
 成果が出ているかどうか
 世渡りが上手かどうか

は、むしろ様々なシチュエーションにおいて活躍するための「プロフェッショナル」になるために必要となる手段であって、「真摯に努めているか」がプロフェッショナルであるための必須条件なのではないかと思うんです。

そのうえで、

 「プロフェッショナルな仕事をする」
 「アマチュアやシロウトとの違いとはなにか」

とはどういう姿勢で仕事をすることなのかを常に自問すると良いのではないでしょうか。みなさんは

 他人に恥じない、自分に恥じない、自分の家族に恥じない、etc.…

そういう振る舞いができていますか?
正しい行い(プロセス)に基づく、正しい結果を模索していますか?

たとえば、エンジニアリングにおいて、プロセスの全てが正しければ、お客さまに対して自信を持って「製品」を納入できるはずです。自信が無かったり、成果に問題が起きたりするのは、どこかが正しくないからです。

正しくない結果は、正しくないプロセスが原因(これを「決定論的原因故障」と言う)ですから、特定し、改善・解決すれば、次からはより正しいプロセスにすることができます。

正しい結果にならなかったにもかかわらず改善・解決しない人は、真摯ではない証拠です。真摯ではないと言うことは、プロフェッショナルではないと言うことです。
 
ドラッカーの言うことをすべて真に受ける必要はないかもしれませんが、少なくとも、そうした信奉者が世界中でプロフェッショナルとして活躍しているのも事実です。

 「何が正しいのか」

を1つの基準とするのは、決しておかしいことではありません。正しいのか正しくないのかも定めず、その時の気分で仕事するのは、とてもプロの仕事の仕方とは呼べないからです。

本当に正しいかどうかは結果次第かも知れませんが、結果の出ていない段階で、その進め方が正しいのだと、当の本人さえも信じていないような仕事、とてもプロフェッショナルの仕事ぶりとは思えませんよね。



なんか色々見てたら、10年以上前、新人教育用に作ってた「プロとアマチュアの違い」みたいな説明資料と似たようなグラフを書いてたサイトがありました。どこでも似たような考えているんだなぁ…。

ちなみに。私が書いたのはコチラ。


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