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変化できる組織の作り方

巷では戦争や物価高騰、円安をはじめ、ネットやAIの台頭、グローバリズム、業界再編、新規競合の出現など、社会環境が急激に変化し続けていますし、一向に止まる気配がありませんね。なにやら地球自体もどんどん変化していて、毎年天気・天候など「過去最高」を記録しています。

すなわち「世の中が急速に変化している」ということです。
一方で私たち人間はどうでしょうか。

みなさんは世の中の変化に追いつけ追い越せしていますか?
それとももう嫌になって座り込み、どんどん取り残されていますか?

まぁ私たちがどういったところで世の中は待ってくれませんし、取り残された結果、待つのは衰退、退化…最悪命が脅かされることだってあるかもしれません。

そうです。

 今までのやり方・常識が通用しない今、
 その変化に合わせて、柔軟に対応していかなければならないのです。

では、どのような形で私たち、あるいはチームメンバーや部下たちの「価値観」を変え、望ましい行動に誘導していけばいいのでしょうか。

変化の大きさや影響の度合いはそれぞれだと思いますが、ここ数年の外部環境の変化の影響を受けていない企業はほとんど皆無と言っても過言ではないでしょう。

ご承知のとおり今のご時世、組織の大小問わず倒産やリストラ、SNSに端を発する不祥事などつねに大きなリスクが伴います。「今までのやり方・常識が通用しない時代」とも言えます。

逆説的に言えば

 今までのやり方に固執するのは自殺行為

ということでもあります。

日本でも平成の世が終わりを迎え、令和の時代とかれこれ4年が経とうとしているわけですが、平成の30年間に起こった最も革新的なことの1つには、まちがいなくインターネットやスマートフォンの登場とそれに伴う技術や情報革新が挙がるのではないでしょうか。

社会的には"コミュニケーション手段の変化"として大きな影響を受けたことでしょう。
欧米では当たり前のように使われているICT(Information and Communication Technology)という言葉を日本でも流行らせようと国が動いたこともありましたね(結局、数年でITという呼称に戻ってしまいましたが)。

PCがなくてもスマホ1台あれば生活上困ることもほとんどなくなり、スマホ1台のせいで匿名性の強い犯罪や非モラル的な思想も増長しました。

仕事の多くもこの端末のおかげで効率化が図れていると言っても過言ではないはずです。

いつ、どこにいてもスマホを介して情報の受信だけではなく発信が可能になり、情報の伝達速度が段違いに上がりました。

また、今まではマスメディアが情報発信源のメインの存在でしたが、SNSの発達によって誰でも簡単に情報を発信することが可能になり、ネットを通じて身の回りにあふれる情報の量が格段に増えました。もう少ししたら完全に新聞が不要になる時代が来るかもしれませんね。

逆に人間味・人情味のある情報のやりとりは希薄になっていったとも言えます。

それにより新しい流行や市場が開拓され始め、既存の市場でダメージを受けているところも少なくはないはずです。

たとえば、ゲーム業界などは市場規模だけで見れば右肩上がりですが、その売上の多くをスマホゲームが占めています。

出版業界も漫画に関しては電子の売り上げが紙の売り上げを抜き去りました。

スマホ向けのゲームを制作していない会社や、電子書籍の整備が遅れている会社は当然今後の事業展開に頭を悩ませていることでしょう。

なぜ今までのやり方を変えようとしないのか

なぜ多くの人は今までのやり方や行動を変えることができないのでしょうか。

それは、その方法で今までうまくいっていたからです。
その結果に味を占め、手放したくないという思いが強くなってしまったからです。
そしてその結果に依存しすぎて「つぶしがきかない」状態となってしまったからです。

しかし、市場は大きく変わっています。
そしてこれからもこの流れは逆行することなく、おそらく広がり続けるはずです。

また、AIの登場により急激に加速していくことも考えられます。この「変化し続ける時代」に生き残る方法は既存のシステムや価値観を変化させていくこと…つまり、自分や組織が「変化できる」ことが重要です。

変化に対応できない人は変化に対応できない「価値観」を持っていて、変化に対応できる人は変化に対応できる「価値観」を持っているのです。

価値観は、幅広い経験や繰り返しの経験によって形成され、自分が所属するコミュニティーや組織の中で本人が置かれた環境に合わせて変化していきます。特に自分にいい変化や結果をもたらした行動原理は強固になり、それは価値観として行動の意思決定に大きく影響していきます。

たとえば、子どもの頃「運動は嫌いだが、友達と遊ぶのは楽しいから鬼ごっこをしていた」とするならば、「友達と遊ぶのは楽しい」ということが価値観として重要なのであり、「鬼ごっこ」自体は価値観を満たすための手段でしかありません。

そしてこの「楽しい」という気持ちを満たすために、嫌いな運動を伴うものであっても繰り返し「鬼ごっこ」をするわけです。

当然、歳を取るにつれて価値観は多様化、複雑化をしていき、変化をもたらすことは難しくなっていきます。その行動でうまくいっていればなおさらです。特に過去の価値観で成功体験があるとそれにとらわれてしまい、変化を受け入れることが難しくなってしまいます。

たとえば、一度成功していることを繰り返し、行動の意味やその成果を考えることもせずただパターン化していては変化の機会を見落とします。

ほかにも、現状に満足しているために変化を加えようとしても結局現状維持に帰結するなどいくつもの例が考えられますが、人間の行動原理にある価値観を塗り替えることはそう簡単なことではありません。

中高年が、若い世代に対して「俺の若いころは…」と自慢と説教をない交ぜにしたような過去の栄光にすがり続けるのも、変化に適応できていない結果の現れです。


では、過去の成功体験にとらわれずに「変化できる組織」にするためにはどうすべきなのでしょうか。それは

 他者の介入によって「行動誘導」を行い、
 新しい価値観にのっとった思考と行動を身に付けさせ、
 コントロールしていくこと

です。

変化に強い部下に育てるにはどうしたらいいのでしょうか。

たとえば「壁マネジメント」というものがあります。

部下を望ましい行動に誘導するために、部下の望ましくない行動には上司が介入して壁を作ってそちらへ行けないようにする。これが「壁マネジメント」の概念です。

もちろん、そのためには行動への介入だけではなく「環境設定」や「成功実感」を与える必要があり、それらを積み上げることで新しい価値観が生まれてくる仕掛けを作らなければなりません。

壁マネジメントには、次の3つのルールがあります。

 ①行動ルール、中間成果、最終成果の設定
 ②介入ルールの設定
 ③フィードバックルールの設定

この3つの要素をそれぞれ設定して、実行に移します。

①行動ルール、中間/最終成果の設定

チームや部下が成果を出すために必要な行動をルール化し、動いてもらいます。

まずはゴールを設定し、どうなれば成功で、どうなれば失敗なのかを明確に定義します。そしてその際、絶対に外してはならないマイルストーンをルールとして定めます。

この際に基本的にはマネージャーが部下の行動を設定します。これは部下に自分で行動を設定させると今までと同じ価値観で行動してしまうからです。そこから最終成果には目的と現状のギャップを見つけ、中間成果はその最終成果につながるものを設定するのです。

無理なく行動できる中間成果を掲げることで最終成果につながるような行動ルールを作らなければなりません。

つまるところ、PDCAフレームワークをしっかりとこなすと言うことです。

これができない人は、チームや部下のマネジメントは到底できません。

 組織の成長上限は、上司の能力

と基本的に一致します。そのため、上の立場に就く人間が「答え」を用意できないと言う時点で、組織全体の成長は止まったも同然となってしまうのです。

②介入ルールの設定

その行動ルールを遵守させるために、介入ルールを設定する必要があります。

どんな条件を満たした場合に介入するのか。
介入するとして、具体的にどんなことをするのか。

裏を返せば、行動ルールに従って適切に遂行できていれば、決して介入することはありません。その判断を下すために細やかなモニタリングは行いますが、条件を満たさない限りは絶対に介入しません。

逆に、介入する条件を満たしてしまった場合は、遠慮なく介入します。壁マネジメントにおいて、部下が望ましくない行動に流れないためにも介入することが重要です。

③フィードバックルールの設定

そして最後に、その介入した行動をこれからもルール通りに実行し続けてもらうためにも「フィードバックルール」の設定が必要不可欠です。

ルール通りの行動をしたあと、メリットが与えられるとすれば次からも望ましい行動を繰り返すようになります。逆にデメリットがあれば、それは望ましくない行動として同じことを繰り返さないように学習するはずです。

このように、望ましい行動は強化し、望ましくない行動は弱化させるためにもフィードバックは絶対に必要です。

そして「壁マネジメント」で重要なことは、

 継続すること。
 また無理難題ではないこと。
 結果が可視化できること。

この3点をしっかりと徹底させ、そのメリットを理解させることです。可視化することによって感覚ではない、具体的な改善点も浮かび上がってきます。

継続性や再現性があるのも、重要な点です。

進化論で有名なダーウィンの言葉に

 「唯一生き残るのは、変化できる者である」

というものがあります。
とても有名な言葉なので、みなさんも聞いたことがあるかもしれません。

強い者でも、賢い者でもなく、環境に適した者が生き残るということです。

実際、氷河期時代を迎えて絶滅した多くの恐竜たちをよそに、ゴキブリやダニ、蚊などは変化に適応し続けたため未だに地球上に存在していますよね。まさしく生きた証拠です。

あらゆる技術の革新はもちろんのこと、人間の意識の変化もここ数年~10年、とても顕著です。その人の意識の変化の察知に後れをとった広告や宣伝はSNSなどで炎上し、淘汰されていく例もあります。

いたる所で絶え間なく「変化」が発生し続けている現在、明日には今日の価値観が意味を持たなくなっているかもしれません。

そんな時代で生き残るために必要なものは、変化に柔軟に対応していく力です。
過去ばかり見て未来と向き合おうとせず、変化を蔑ろにすることではないのです。

自分の価値観をそのままに、他人の価値観も受け入れる…のはハードルが高いというのであれば、まずは受け入れないまでも「それはそれでいいんじゃない?」程度に容認するところから始めてみてはいかがでしょうか。

変化を受け入れる器を作る"第一歩"にはなると思います。

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