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進捗管理はどの程度の周期で管理するのが最適か

当たり前のことではありますが、結論から端的に申し上げますと

 「人によって異なる」

が正解です。

つまらない答えですか?
ですが、世の中は実際にそうなってはいません。

みなさんの周りをよく見てみてください。

たとえばマネジメントを行っているマネージャーや管理職の方々をランダムに10名ほど選出してみたら

 週一で定期的にチェックする人
 毎日事細かにチェックする人
 何も状況を把握していない人

…と、幾通りかのパターンが出てくることだと思います。ですがそれは

 「その人ならではの根拠があってそうしていることですか?」

たとえば週一…なんてのはどこの企業でも大半がそうしている人が多い、最もスタンダードな管理サイクルかもしれませんが、それは「個々人の特性に合わせた理由」「その人なりの理由」があるわけではなく、なんとなく

 「みんなそうしてるから」

という理由で実施されてはいないでしょうか。

仮に、週一のサイクルで状況把握や指示を行うことが、世の中のデファクトスタンダードだとして過半数を占める…と仮定しましょう。

では、それらの過半数の方々はデファクトスタンダードな管理サイクルを実際に実現していながら、それらの人々は一切問題を大きくすることなく、スムーズなマネジメントができているでしょうか?

もちろん問題が潜在的であるうちからの対処や、顕在化し始めた際の対策法などの違いによっても大きく結果は異なってくるわけですが、それほどまでにマネジメントの力量の違う人々が、「みんなそうしているから」という曖昧な根拠を以って一律「週一」で実施することに意味があるのでしょうか。

最初に、正解は「人によって異なる」といいましたが、これは要するに

 「人それぞれの特性や力量によって微細に変えなければならない」

ということです。「みんなそうしているから」という理由には何の適切性も妥当性もありません。仮にデファクトスタンダードであったとしても、ベストプラクティスであったとしても、それらが成功に至る『条件』が不明な以上、そしてその『条件』を自分自身が満たしていない以上、同じ成功を導き出せるわけではないのですから、盲目的に採用することがどれほど危険であるかは言わずともお分かりいただけると思います。

参考にするのは良いでしょう。

たとえば

「世の中一般的には"週一"で最新情報を管理するものだとして、
 自分は週に1回、情報を更新する頻度で何かあった際に
 対策するのは可能だろうか」

と考えるのであればアリだと思います。何事もゼロから考え、生み出すのは大変ですからまずはとっかかりのスタートラインとして引用するのはいいでしょう。

はい、実際はどうでしょうか。

みなさんやみなさんの周りでは、進捗(に限った話だけではなく、自らが関わる集団活動のなかで必要となる情報)の最新化をどの程度の頻度、サイクルで実施しているでしょうか。そして、その頻度やサイクルは成功するため、失敗しないために己の力量と比して最適なサイクルであると言いきれるようになっているでしょうか。

これは、マネジメントを適切に行うものにとってまず一番初めに身につけておかなければならない"条件"の1つでもあります。

今でこそPMBOK(Project Management Body of Knowledge)も第7版となってより抽象的な考え方が導入され、具体的な規定よりも原理・原則を重んじるようになったためあまり仕組みについて触れられていませんが、プロジェクトマネジメントの根本は今でも同じ

 ・立ち上げ
 ・計画
 ・実行
 ・監視・コントロール
 ・終結

と、概ねこのプロセスカテゴリで整理できるという点では変わらないと言っていいでしょう。なかでもプロジェクトの成否そのものに大きく直結するのは「計画」と「監視・コントロール」であり、さらにその中でも開始前の静的なマネジメントを「計画」とするなら、開始後にうまくゴールまでたどり着けるように舵取りをする動的なマネジメントこそが「監視・コントロール」です。そして「進捗管理」とはこの「監視・コントロール」の

 『監視(モニタリング)』

の1タスクとなります。

当然のことながら、適切なタイミング・サイクルで、適切な情報を収集し、分析し、理解することができなければ、『適切なコントロール』に紐づけることができません。

 ・情報の把握が遅れた
 ・嘘の情報を握ってしまった(≒ 理解を誤った)

などというのは戦略(計画)のみならず戦術(実行)レベルにおいても致命的となるのは戦争ものの小説やマンガなどを見ていてもよくあることですよね。

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ゆえに、真に進捗管理の最適な周期/サイクルを検討するのであれば、何よりも

 ・自らのマネジメントの力量(=コントロールできる力量)
 ・そのマネジメントについてこれるチームの力量

を正しく認識し、その力量が実現可能な領域の範囲内で決めるべきではないでしょうか。決して一般論を盲目的に採用していいものではないはずです。


で。

重要になってくる指標の1つが

モニタリングによって検知したスケジュール計画を脅かす課題/問題を
解決、解消できる力量の程度

です。

特殊な事例は、特殊であるがゆえに情状酌量も認められることが多いでしょうからまずはいったん横に置いておきましょう。

一般的に進捗が遅延する理由には「メンバーの力量不足」のほかに

 ・WBS等で管理されていない別タスクの割込み
 ・当初の作業見積り精度が低い
 ・病欠、体調不良等

などが多いのではないかと思います。別タスク…というのも大抵はあらかじめわかっていたものばかりで、本来は管理しておくべきタスクというものも珍しくありません。

 たとえば「会議体」「議事録作成」
 たとえば「社内業務」

わかっていることなのに管理しないで一律8h/日でスケジューリングしているマネージャーというのも多いのではないでしょうか。

そう言った要素を踏まえみなさんなら、あるいはみなさんの上司となる方々は進捗が「スケジュール上、クリティカルパスに影響を与える各タスクの期日を変更しない」ことを前提に

 何日遅れまでならリカバリできる力量をお持ちですか?

その人の権限の大きさにもよるのでしょうけど、管理職に満たないプロジェクトマネージャー程度であれば安易に増員などの手段を採ることも難しいでしょうから、よくて1日~2日遅れ(のべ)が精一杯ではないかと思います。

では仮に2人日(=16時間)分の遅れが出た時に、みなさんはリスケをすることなく、通常業務自体はスケジュールに沿って進めながらも、何日あればその遅れを取り戻すことができますか?

その日数こそが、みなさんがみなさんやチームの力量を踏まえたうえで「計画通りに進行可能である」と考えている進捗管理サイクルの限界点となります。それ以上検知するのが遅れた場合は、リスケ(スケジュールの延伸)か増員でもしないと遅れを取り戻せない可能性がグンと高くなってしまうことを意味しているからです。

進捗管理というととかく「管理方法(段取り)」「管理する対象情報」などばかりが議題にあがってしまいがちです。

「管理方法」や「管理する対象情報」なども当然大事ではありますが、せっかく管理するために必要な情報を集められたとしても、それらをインプットとして適切に扱い、望む形の結果に紐づけるためには

 管理(監視)サイクル/イテレーションの間隔

というのが、案外隠れ要素として大きな意味を持ってくることも忘れてはなりません。少なくとも「週一くらいでいいんじゃない?みんなそうしてるし」なんて軽い考えで決めていいものではないということは覚えておきましょう。

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