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ベンダーと良好な関係を築くことはベンダーの選択から始まっている

ここでは委託先ベンダーを選定することを想定した調達マネジメントにおいて、いわゆる派遣や準委任などでも本質的に同じことは言えますが、委託を中心に書いているので置き換えて読む場合は注意してください。

友を選ばば書を読みて 六分の侠気と四分の熱

与謝野鉄幹

ベンダーは、開発を共に進めていくパートナーです。

開発を適切に進めていくためには、パートナーとの間に良好な関係が築かれていなければなりません。特に開発途中で問題が発生したときには、ベンダーとの間に良好な関係が築かれているかどうかが問題解決の成否を左右する要因になります。

そして、ベンダーと良好な関係を築くには最初が肝心です。

つまり、ベンダーを選択するタイミングで開発を共にするパートナーとして最適な会社を選ぶ必要があるというわけです。パートナーの選択を間違うと、その後に良好な関係を築こうとしてもその後築きなおすことはかなり難しくなっていることでしょう。

たとえば、結婚の相手しかり、ルームシェアの相手しかり、企業の提携先しかり、入口での相手・パートナー選びで間違ってしまうと、関係が始まった後でいくら努力してもその努力は実を結ばず、良好な関係を築くには至らないでしょう。それと同じです。

このため、ベンダーを選択するときには拙速にならないようにします。

候補になる個々の会社を慎重に比較検討して、できる限り最適なベンダーを選ぶようにします。

できるだけ多くの候補の中から選択する

これはビジネスの鉄則です。

内部統制的にも、不適切な資産運用を避けるために、発注する場合は原則として「相みつ」を取って、より確実で、より適正価格な業者を選定します。仲が良いからと言う理由で、高額な見積りを許してはなりません。

特に、株式公開している企業では、資産は株主のものと言う意識で資金、資産の適正運用しなければなりません。

初めてのベンダーをパートナーに選ぶときにはゼロから探し出してコンタクトをとることになります。このとき、できるだけ多くのベンダーを候補として検討の俎上に載せるようにします。

まずは、心当たりや知己のあるベンダーなどリーダー、エンジニア自身が知る範囲の会社を網羅してもいいでしょう。さらに社内や部署・部門内の人間に情報を貰って、付き合いのあるベンダー、知己や心当たりのあるベンダーなどを紹介してもらってもいいと思います。さらにネットを使って検索し、対象となるベンダーをできるだけピックアップするのも手です。その他、使える伝手・コネクションや手段を総動員して、できるだけ多くのベンダーを見付け出すようにします。


条件を定め、その条件に合うベンダーを選択する

コストだけを考えてベンダーを決定することがよくあります。

しかし、単にコストだけに注目して拙速に決定せず、複数の視点で注意深くチェックして総合的な力量を判断することが重要です。そのためにはベンダーを選択する際にあらかじめ条件をきちんと決定しておき、その条件に合うベンダーを選択します。

最も基本的な条件がコストであることは間違いないでしょう。
しかし同時に、技術も基本的な条件です。

つまり、開発において

 ベンダーに求める技術をそなえ
 ベンダーの提示するコスト見積りが適切

なことが最低限の必要条件となるわけです。

しかし、これらの他にも種々の条件があるはずです。
そして、それらの条件は個々の開発によって異なります。

リーダーは、すべての候補の中から入手可能な情報を使って有望なベンダーを絞りこんだ後、それらの一社ごとにコンタクトを取り、技術面やコスト面、その他の条件に沿って直接ベンダーから詳細を聞き出すようにします。

そして、すべてのベンダーからの聴き取りを終えた後、条件に基づいて慎重に各社を比較検討します。

たとえば、まず、開発においてベンダーに求める技術を満足するレベルで備えていない会社は除外します。さらに、満足できるレベルの技術を備えていてもコスト面での折り合いができなければ外します。

そして、最終的に開発のパートナーとして最適なベンダーを1社選びます


問題発生時でも真のパートナーたりえるかを判断する

ベンダーを選択する際には、将来的に問題が発生したときに真のパートナーとしてその解決に大きな力となるかどうかまでも考えて決定することが重要です。

そのため、ベンダーを選ぶときには、ベンダーとしての仕事の範囲での技術面やコスト面以外にも目を向ける必要があります。具体的には、開発の過程でなんらかの問題が生じたときに、そのベンダーが技術面でもビジネス処理の面でも迅速かつ的確に、また柔軟に対処できるかどうかパートナーとして前向きに対応してくれるかどうかを考盧します。

そこで、候補となるベンダーからの直接の聴き取りの際に、問題が発生したときに真の意味でのパートナーとして協力してくれるかどうかを把握、確認・確信するようにします。

ただし、なかなかずばりと聞くことは難しいので、開発やプロジェクトに対する相手の考え方、方針、方向性やその他の言動を考慮、吟味して判断することになるでしょう。

そして、コストや技術などの合理的な条件だけでなく、こうした判断も重要視して決定します。


最後に

エンドユーザーとなるお客さまから見ると、私たちもベンダー(あるいはSIer)ということになります。

本来、お客さまたちもこういった観点で対等なパートナーとして接してくれれば良いのですが、どうしてもただの下請け会社だと思って接してくることもあります。

特にメーカー系SIerに属していると、そうした傾向が強いようです。

ですが、だからと言って私たちが下請け根性丸出しでお付き合いをさせていただくと、順調な時は良好であってもちょっと問題が発生するとあっという間に化け、対応が面倒な悪質な客に早変わりします。

将来を見据え、今後も共益関係を築いていきたいお客さまを相手にする場合は、下請け根性などを出さず、対等なパートナーとして信頼関係を構築できるようにしましょう。ビジネスは常に対等に、同じ目線で、協力し合うつもりで接したほうが必ず長続きします。

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