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マズいマネージャーの見分け方

最初は「より良いマネージャーの…」と書こうかと思ったのですが、良い点を示してもおそらく殆どの人は「ふーん」で終わるでしょう。

敢えてネガティブなタイトルにしたのは、それが

 ・部下を疲弊させ、忠誠心や帰属意識が低下する
 ・企業全体の価値を下げる

と言ったことに影響しかねないほど本当にマズいからで、且つそのマズい部分を改善するだけで圧倒的に状況が改善されることがわかっているからです。

そして、その見分け方の中でも最も重要となってくるのが

 「未来に対して、どう語るか?」

です。
世の中の多くの経営者をはじめ、まっとうなマネージャーは必ず

 未来の"状態"

について語ります。
そしてその状態にするために誰よりも自身が努力していることをアピールしていることでしょう。

状態とは、ゴール地点でのあるべき姿です。
たとえば経営者であれば、

 「売上〇億企業になっている」
 「上場する」
 「〇人規模の企業になっている」

と言った状態を語ります。
部課長クラスの管理職であれば、

 「〇〇会社との取引を1億上乗せする」
 「〇〇と言う技術領域を柱に、来期までに最低〇回は案件化する」
 「最低でも〇チームは今期中に安定して利益をあげられるようにする」

と言った状態を語るのかもしれません。

未来の状態とはすなわち『目標』です。

日頃から仕事に対して目標志向で活動できる人はとても成長が早いと言うデータもあります。なぜならどのタイミングで、どんな状態に成長するかを決めてさえしまえばあとはどんな方法であれその通りになるよう迷わず努力することができるからです。

そう言った目標を中心に据えて運用できるマネージャーの中でも、さらに優れたマネージャーと呼ばれる人たちは、

 「どうやったら目標を達成できるのか」
 「自分がやるとしたら」
 「もっと良い方法はないか」

と言ったことを自分が中心になって活動することを前提に模索するそうです。

多くのマネージャーは残念ながらここまでしません。

役職があがり、役割が変われば変わるほど「自分で」考えようとしなくなるからです。多くのメンバー、多くの部下が増えれば増えるほど実務能力が衰えるのはそのためです。

昨今、「他人事」と対になる「自分事」で考える、あるいは仕事をすることがちまたでは推奨されており、多くの講演やセミナーなども開かれているようです。

逆にこれができない人は、

 ・その場の思い付き、好き嫌いで行動が変わる
 ・感情や気分に流されやすい
 ・努力の方向性が定まりにくく、無駄が多くなる

と言った状況を生み出します。

そして、まさにマズいマネージャーとはこの点が非常にマズいのです。このマズさは『運』に頼る以外ではまず間違いなく失敗する結末しか見えません。どんなに優秀であって、どんなに人当たりが良くても、どんなに周囲から好かれていても、目標志向で語れないマネージャーは組織を運用する力がありません。

具体的には、何か取り組む業務が1つあれば、それに対して

 「いつまでに、どんな状態に(あなた自身が)するのか」

と聞いてみれば、即判別できます。
この質問に対し

 「○○をやります」
 「今、○○をやってます」
 「○○がしたいと今検討中です」
 「○○しなきゃいけないと思ってます」

と言うようにゴールを語れず、スタートや直近の状況から語りだす人はまず間違いなく現時点でマネージャーの素養はゼロです。

そして、ゴールが語れないと言うことは、すなわち"(実現性の高い)計画も立てられない"と言うことです。

計画性がなければ必ずしも失敗する…と言うわけではありません。
野生の勘が働き、反射神経だけで苦難を乗りきれる人もでてくるでしょう。

しかし、個人プレーであればそれもいいでしょうが、リーダーが行き当たりばったりでしか判断/指示できないのであれば、その下に就いているメンバーは相当大変な想いをしてきたことになります。

少なくとも、企業に対し証券取引所も金融庁もそして投資家の方々も最も嫌うタイプではないでしょうか。組織を細らせることがわかっているからです。

計画は、大海原へと航海に出る際に持つべき"地図""測量機"そして"羅針盤"のようなものです。一度海に出てしまえば地図や予想通りの航海にならないこともあるとはいえ、だからと言って何も持たずに、何も考えず、その場の思い付きや好き嫌いで海に出ようとする船長にみなさんが船乗りや乗客だとしたらついていきたいと思いますか?

できれば、

・何事も起きないように安心してついていけて
・何事かあったとしても臨機応変に対処し
・全員を無事に目的地まで連れて行ってくれる

そんな船長についていきたくはないですか?

IT業界、特に私たちのようなB2Bビジネスを中心とするソフトウェア開発においては、基本的に『全く同じものは2度と作らない(独自性)』と言う特性がある以上、そのマネージャーや管理職は未知の大海を渡る船長のような存在でもあります。

 常に同じ道になることはなく、
 同じ道であっても常に安全と言う保証もない

同じものを大量生産できる製造業とはその点で大きな隔たりがあります(まぁ、それができる数少ないビジネスモデルの1つが昨今流行りのサブスクリプションだったりするのかもしれませんが)。
 
目的意識や目標意識を持たず、その場その場でやりたいことをやりたいように振舞うと言うのはただの子供と大差ありません。

しかし、そう言った幼い感情を残したまま大人になった人も決して少なくはありません。なかには「お客さまにそういう人がいた」と言う人もいるのではないでしょうか。

そして、いい歳した大人である私たちが、子供(のような精神性の大人)を先頭にしてビジネスすることの危険性は、言わずもがな想像に難くないと思います。

もし将来、優れたビジネスパーソンになりたい、あるいはビジネスパーソンを取りまとめる優れたマネージャーになりたいというのであれば、仕事の未来…すなわち「予定」は日頃から次のように語るよう訓練すると良いでしょう。

「〇〇(いつ)までに、△△(どんな状態)にします」
  ├「その実現のために、□□を進めます」
  └「その実現のために、□□を新しく導入します」

これからやる事を語る前に、まずゴールを決め、現在のスタート地点からゴールまでの過程上に必要なコトをやっている…と説明するのです。

それが説明できないものは、原則ROI(return on investment:投資利益率)から外れたものにしかなりません。

ここで言う投資や利益とはお金だけのことではありません。費やした時間や投入した人的リソースなどの資源全般と考えてください。

ひょっとすると巡り巡って「やっておいてよかった」と呼べるものが出てくるかもしれませんが、「かも知れない」を根拠にやっていいことではないのです。

 「これから行うことは何につながることなのか?」

これがわからない人が、一昔前に社会をにぎわせた"バイトテロ"のような、その場限りの欲望のままに行動し、あとで後悔することになるのです。

 常に先を見据える、先を予測する

そんな当たり前のことが理解できないマネージャーは、本当は「マネージャー」と呼んではいけないのです。

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