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モチベーション低下の兆候

一度低下してしまったモチベーションを元の状態に引き上げるのは簡単ではありません。それどころか相当に至難の業だといえるでしょう。

だからこそモチベーションが実際に低下してしまう前に、その低下を防ぐようにしなければなりません。これは自身に対しても、他人に対しても同様です。モチベーションを落としてしまった人に対して、「さっさとモチベーションをあげろ」なんていうのはご法度です。

その実現のためにはモチベーション低下の兆候を見逃さないようにしなければなりません。

プロジェクトの進行に伴い、チームには内部(社内の他部署、同じ部署内の他グループ、上層部など)からも、外部(顧客や関係者など)からも様々なストレスがかけられます。

多くの場合、そのようなストレスが原因でモチベーションが低下しかねない状況にあります。こうした状況をそのままに放置していると、実際にモチベーションが低下してしまいます。

そこで、チームやメンバーにストレスがかかっている状況だと認識したなら、モチベーション低下の兆候がないかどうかを仔細に観察し、たとえ小さな兆候であっても見逃さないようにします。

仕事を依頼、指示、命令する側の人…つまり上司にあたる立場の人は、依頼、指示、命令される側の人…要するに部下やメンバーに対して、その状況の把握と調整を行う義務があるのです。

そして、それを行わないことを無責任な『丸投げ』と言うのです。

・常にストレスは発生するものと心得る
・だからモチベーションは放置していると下がりやすい傾向にある
・ゆえにモチベーションが下がりにくい環境を用意し
・つぶさに状況を観察し、必要に応じて下がらない施策が必要になる

これを行うのも管理職/マネージャーの「管理/マネジメント」の1つです。だからメンバーの誰かのモチベーションが低下しそうな兆候を見付けたら、素早く対応策を考えて実行し、実際に低下するのを防ぎます。

極力見つけた瞬間からすぐに行動しないと、こうした精神性の問題は、進行が表面に現れにくいうえに、その速度は圧倒的で気付いた時には手遅れ…と言うことも珍しくありません。

たとえば、チームのメンバーが、リーダーに不信感を持ったとします。要するに「このリーダーは信用できない!」と思われたということです。

説明もなく命令だけしていたのかもしれませんし、説明はあくまで一般論や周囲、顧客の事情だけであって、メンバーへの気遣いが一欠けらもなかったのかもしれません。

しかし、この一度抱いてしまった不信感は、即日解消しないと、1日、2日…と経過すればするほど頑なで深い溝になってしまうことでしょう。

みなさんはどうですか?

一度「この人は信用できない」と思ってしまった人相手に、簡単にその想いを覆したり、無かったことにできますか?

…なかなか感情的にも難しいのではないでしょうか。

人間関係のなかで生まれる『不信感』というのはそれくらいリスクが高い問題なのです。これが生まれてしまうと、もう誰が仲介に入ってもなかなか拭えません。人を交代するしか根本的な解決はできないケースもあるほどです。

しかも1人そうした現象が発生したら、他の人にも伝播している可能性まで出てきます。ウィルス感染と同じような効果を持っているのです。

そのため、こうした問題は「気長に」と言う選択肢が存在しないのです。


まず、モチベーションを低下させる原因をつきとめ、次にそれを解消するための対応策を考え、ただちにその策を実行します。

そもそもストレス源と言うのは、大抵の場合

 人間関係

が原因となりますので、もしもメンバーにモチベーション低下の兆候が見られた場合は、

 その人がモチベーションに変化をもたらした前後の密接な人間関係

を洗い出すといいでしょう。

このとき、当人やチームには原因(ヒトではなくコト)を明示し、その後の方針や展望を伝え、その上で対応策を実行します。

また、当のメンバーだけでは対応できないと判断すれば、チームとして(チーム全員で、または一部のメンバーで)対応することも必要です。対応策は、一般論的・抽象的なものや精神論的なものではなく具体的な、実際に実行できるものでなければなりません。

さらに、当のメンバーに一方的に何かを改善させるだけでもダメです。

一般にストレスは内的なモノではなく、外的な要因で発生するモノです。当のメンバーではなく、当のメンバーを取り巻く環境や仕組みを改善しなければ根本的な解決には絶対に辿り着きません。

また全体的、大雑把な対応策ではなく、状況に応じたきめ細かな対応策が必要です。そうしない限り、根本的な解決には至らず、再発可能性はゼロになりませんし、その度に管理職/マネージャーであるあなた自身が苦労しなければならない羽目になります。苦労したくなければ、早期に根絶できる対策であるべきなのです。


ただ…日本の場合、ストレス源を見つけてもそのストレス源に対して適切に対応できる会社や上司というのは極端に少ないんですよね。

みなさんの周りにもいませんか?

 「愚痴は言うべきではない」
 「ネガティブなことは言うな!」

といって、ストレスを口にすることすら許さないと言う風潮を持った人が。しかもそう言った人たちは自分がそう思うなら、自分だけがそうしていればいいものを他人まで従えさせようとしますよね。

そういう人たちがいると、自らがストレスを抱えていることを公表できないんです。この風潮は欧米ではあまり見られません(ゼロではありませんが)。あちらの国では言うべきことはハッキリと言わないと伝わらないし、改善されないことを知っているからです。

ですが日本の場合はもし会社や制度に問題があっても、それを否定することも指摘することもご法度という空気が流れます。時代に合わず、市場に合わず、今の仕事のスタイルに合わず、だけど改善したくてもできない。する権利がない。だから訴えかけると「愚痴を言うな」「嫌なら辞めればいい」と言い出す。そんなお国柄という側面もあります。

中間管理職にも限界がありますから、本来なら経営陣がもう少し受け入れる姿勢を見せればいいのですが、それが難しい会社ではなんともならないケースもあるかも知れません。

先進国のなかで、日本のビジネスパーソンのエンゲージメントが最も低い…なんてよく言われていますが、まさしくそれが原因なのではないかな?といつも思っています。

ですから私は、時に経営陣に喧嘩を売るつもりで直談判しに行ったこともあります。そうしないと現場を改善できなかったからです。まぁ…勝率5割もありませんでしたけれども。

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