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問題を正しく速く解決できる人

変化の激しいスピード感あるビジネスの現場において、さまざまな問題を正しく適切に解決していくということは、簡単なことではありません。

私の身の回りでも『問題』が発生した時、本来であれば最も重要な

 問題の根本原因を解決する

ことをせずに、とにかく

 人を増やす
 スケジュールを延ばす

と言う、最も原始的な人海戦術でなんとかしようとする人たちであふれかえっています。

問題の原因そのものと向き合おうとしない、あるいは向き合ったところで解決する能力が無いのか、体育会系のノリで「根性で頑張ろう!」みたいな流れになってしまうため、巻き込まれる社員は疲弊し、プロジェクトは大赤字になり、踏んだり蹴ったりの状態になってしまいます。

結局、問題そのものとは向き合わないまま終わるので、組織は何も成長することなく、次同じようなシチュエーションになった時に、また同じ問題を起こすことになります。

戦力の逐次投入ほど、戦略として下策なものはありません。と言うか、すでに戦略ですらありません。これではいつまで経っても「課題解決」「問題解決」を促す、

 ソリューション力

を身につけることは叶いません。ソリューション力や提案力と言うモノは、常に数多くの技法/手法の中から、あるいはそれ以外から、最適な選択肢を「選べる知識量」と、「実際に選ぶ覚悟」と、「選んだ内容を完遂する責任感」が揃っていなければ成立しないモノであり、常に知識と知恵を駆使する力です。がむしゃらに動員して頑張ればいいと思っている人とは、根本的に発想が真逆なのです。

最も原始的な人海戦術しか策を持たないままでは、ソリューション力は絶対に育ちません。

社内社外の管理職クラスを集めて問題解決養成塾を開催している著者ですが、本当に正しく問題解決できる人は、極めて少ないといいます。

と言われていますが、まさにその通りだと思います。

提案まではできても、実際に解決して見せる能力を持っている人はそう多くはないでしょう。一口に問題といっても、いろいろなシチュエーション、いろいろな状況・状態が考えられますが、業務を遂行する以上、その業務に「責任」を持つ人にとって起きてしまう問題を確実に解決することは当たり前なことです。

そのうえで、問題を継続し続ければし続けるほど、状況は悪化の一途をたどるわけですから、相応のスピードが求められていることでしょう。

事実、ビジネスで最も重要なのは、時間でも品質でも、コストでもなく、『スピード』です。そのスピードの最高値を捻出するために、時間管理や品質管理、コスト調整を行うのです。あくまでも、

 「『ニーズ』を満たすと言う目的のため」に目標があり
 「『スピード』と言う目的のため」に手段がある

と考えてください。

AIの技術革新がより進んでいくこれからの時代、AIに全ての仕事を奪われたくないのであれば、どんな業種であっても正しく早く問題解決していく力は必須スキルになりそうです。

とはいえ、問題が起きたときにはいったん立ち止まって考えることが大事です。「ながら」で解決できるほど、問題は甘いものではありません。焦って初歩を間違えると解決策を誤り、問題がかえってこじれてしまうこともありそうです。だからこそ、最初にいったん立ち止まって考えることが分水嶺となります。

悩んでほしいわけではありません。

最適な選択肢を「選べる知識量」と、「実際に選ぶ覚悟」と、「選んだ内容を完遂する責任感」を常日頃から蓄え、模索し、いざという時のために準備を怠らなければ、ほとんどの問題は10分を要しません。

私も、問題となっている事実関係がハッキリと分かっていれば、ソフトウェア開発あるいはそのマネジメントに限り、5~10分で解決策の2つや3つは捻出できると思います。

この考えると言うアクション次第で、問題解決の着地点が決まるといっても過言ではありません。そして、気をつけるべきは「自身の過去の経験則でアタリをつけて行動に出てしまう」ことです。多くの人は過去の経験則に従おうとしますが、よほど幅広い経験を積んでいない限り、当てになることは少ないと言っていいでしょう。

なにも、経験則に頼ることが悪いと言っているわけではありません。参考にするのは良いでしょう。時にはそのまま再利用できる経験値があるのかもしれません。

ですが、トラブルが収束せず、より大きく炎上してしまった場合に、大抵が取り返しのつかいないほどお手上げ状態になりかねません。思いつきの解決策ではなく、超速で正しいステップを踏み、70点以上の解決策(仮説)を導き出して、実行と検証を繰り返していくことが肝要です。

 ①10分で問題の背景(事実関係)を洗い出す
 ②20分でゴールを設定し問題を整理する
 ③30分で問題の全容を「見える化」する
 ④最後の10分で解決策を出す

トータルで70分あれば、現場の問題の9割は解決できなければなりません。いやまぁ、洗い出すための情報すらロクに存在してない時は、なかなかそう上手くはいきませんけど。

所詮、過去の経験で解決できるのは、その経験に類似したプロジェクトだけです。ですが、プロジェクトは基本的に"独自性"があって、世の中に2つと同じものが無いものです。

誰も経験したことがないことが起こり得るこれからの時代において、初動を誤らず迅速に問題解決していくためには、過去にとらわれすぎず、最初の10分の使い方が命運を分けると言っても過言ではありません。

ここで拙いマネージャーは、無理に100点満点に近い数字を出そうと欲を出してしまいます。よほどの才能が無ければ失敗に終わるでしょうし、他人がやろうとしていることに口を挟めばただの邪魔者に成り下がってしまいます。どんなに潜在的な能力が高くても、結果が失敗しか導き出せないのであれば、それは2流、あるいは2流以下なのです。


また、4つのステップで作成した解決策を、ただ言って終わりというわけではなく、実行してみせなくては意味がありません。けれども、実際に自ら行動に移せるのは100人中1人もいればいいとこです。残念ながら、問題に直面すると逃げてしまう人が多いようです。

上位の者、たとえば管理職。
みなさんの上司は、逃げずに一緒に解決しようとしてくれますか?

もしも、上司ゆえに持っているであろう豊富な知識や経験に基づき、一緒になって解決にあたってもらえればこれほど頼もしいことはありません。しかし、世の中を見渡してみると、多くの上司、多くの管理職は逃げ回ることしかできません。

自身で解決できる能力が無い人ほど上司に就くことが多いようです。そう言う上司は、いざという時に役に立ちません。自ら解決できるだけの能力が無いと言うことは、経験もないと言うことですので、的確な指示や指導を行うこともできない上司だということだからです。

問題に直面したときに必要になるのは、『正面からぶつかる勇気』です。

こういうのは、自信に裏打ちされた実力が伴っていないと、なかなかできないことですよね。逆にいえば、実力がなく、自信が無ければ大抵逃げていくと思います。

トラブルはできたら避けたいと思ってしまうのが人というものですが、問題解決のフレームワークやスキルをどれだけ勉強しても、最終的にいつも逃げていては意味がありません。問題に直面したら、逃げない気持ちで取りかかるということは、"第一の心構え"として、忘れてはいけない考え方です。

そして、問題解決には『計画的な管理』にもポイントがあります。

ただでさえ逼迫した状態であれば、一分一秒を争う事態かもしれません。無駄に悩んでいる時間はないのです。常日頃の問題からそう思って接していなければ、いざそういうシーンに出くわしたときに対処できません。

まず、「"誰が"、"何を"、"いつからいつまでに"やるか」を明確にする。
次に、リスクを考慮して「バッファー時間を算出」して余裕を持つ。
そして、「途中の経過チェック」で進捗を適切に確認する。

問題が起きた時、バタバタしすぎたせいで、ガントチャートなどでスケジュールを組んでも、誰がやるのか明確でないとそのままになってしまうことはよくある話です。

また、予備時間が多少あることで、万一遅れても取り戻すことができます。どんな問題も行き当たりばったりではなく、メソッドに沿って進めていくことで不安感も軽減されます。

「当たり前のこと」を当たり前にしっかりと押さえて、慎重かつスピーディーに取り組みましょう。全てが当たり前のはずなので、誰でもちょっとした意識と努力で修得できる能力になっているはずです。全てが当たり前のことなのに、そのことに意識を割かず、努力をしようとしないから、1%の人にしか実現することができない能力になってしまうのです。

B2Bのソフトウェア開発業は、基本的に受注生産型のビジネスモデルですので、常に注文してくるお客さまたちは何かしらの「問題」や「課題」を抱えています。その「問題」や「課題」を真に理解し、解決するのが私たちIT業界のエンジニアが担うべき仕事です。

ですから、正しくエンジニアリングやマネジメントを修得したものは、たいていのことにおいて

 ・問題を起こさない
 ・問題を解決する能力が高い

と言う能力を身につけることになります。それができていないと言うことは、まだ正しいエンジニリングや正しいマネジメントを経験していない、あるいは修得できていないと言うことになるわけです。

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