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成功の近道は「何か入れる」こと

「まったくのゼロから妙案が浮かぶことはほぼない。
 あるとしたらそれこそごく稀に生まれる銀の弾丸だけだ。」

は持論の1つです。
これは世の中における数少ない真理の1つだと考えています。

実際、何事においてもそうですが人間と言う生き物は原則として、予備知識もなく急に物事がひらめいたり、思いついたりすることはありません。閃きや思いつきといったアイデアは、必ず知識や体験を基にしているのです。

それがまったくない状態で閃くことができるのはおよそ"天才"のなかでも異質な存在だけです。

あらゆるものを吸収しよう

「売上を増やしたい。効果的な売上向上のアイデアを考えてくれ」
「残業時間が増えている。作業効率化の案を考えてくれ」

アイデア出しと言うと、コンサルタントやクリエイティブな仕事をする方のみに課された仕事のように思われますが、実際はどんな職種の方にも求められるスキルです。

先の例のように、売上拡大や業務の効率化のためのアイデアをみなさんも上司や取引先から求められたことがあるのではないでしょうか。

しかし、どんなアイデアを出すときでも、何もない状態から良案を生み出すのは簡単なことではありません。延々と悩んだまま、何もアイデアを出せずに時間を浪費してしまったり、出しても内容が浅く使えないものだったりすることは、誰もが経験されているのではないでしようか。私も

 「どうすれば良いアイデアを出せるようになりますか」

と相談を受けることがよくあります。昨日も相談を数件受けました。

しかし、そのように悩んでいる方の話を聞いていくと、そもそもインプット(情報収集)が少なすぎるのではないかと思うことがあります。私に言わせると、

 「まずは世の中ではどのようにやっているか、すべて調べましたか?」

と聞きたくなります。

たとえば、ある新機能のアイデアを出さなければならないのに、これまでに発売された機能やデザイン、流行のアプリやUI/UX、それらについての利用者の感想や不満などをほとんど知らない、ということがあるのです。

人の頭は「自動販売機」に似ています。

自動販売機はお金を入れないとドリンクは出てきませんが、人の頭も何か情報を入れないとアイデアは出てきません。

たとえば経営コンサルティングの仕事では経営の理論書を読んで、その会社に足りていない部分を考えたり、他社の成功事例を研究し、その方法をアレンジして当てはめることができないかを考えたり…といった進め方をよくしています。

過去や周囲から学ぶ姿勢がない人が、楽をするためにアイデアの出し方を学ぼうとしても何かを得られることはまずありません。何もないところからアイデアを考え出せる天才も中にはいるかもしれませんが、私を含むエンジニアやプロジェクトマネージャーの99%は普段から地道に勉強や情報収集を続け、それを活かしています。それ以外の人はいないことでしょう。

「アイデアマン」とは、生まれつき創造力や発想力を持っている人に限りません。

普段からインプットを心がけていれば、誰でもアイデアマンになることはできるのです。たまにこう説明する時があります。

「天才の脳の構造がどうなっているのかはわからないが、
 天才を模倣しても失敗と挫折しかない。
 天才は模倣できないからこそ、天才だ。」

「我々凡人は、天才にはなれない。でも秀才にはなれる。
 秀才は、知識と経験から地力を底上げする。
 そのために必要なのは"模倣"だ。秀才の"模倣"こそ、秀才になるための近道だ。」

「範にする相手が秀才か天才かの区別は簡単にできる。
 模倣できそうな手順が理解できるなら、それは大抵秀才に違いない。
 秀才は自身がそうであったように、誰かを模倣して体系化しているから、
 努力次第で他の凡人でも修得しやすいようになっている。」


本当に今まで世の中になかったものは生み出せない

「過去のアイデアを参考にしていても、斬新なアイデアは生まれない」

インプットをあまりしていない人にその理由を聞いたとき、こう返されることがよくあります。たしかにそれも一理あります。

しかし、実は仕事で斬新なアイデアを出す必要性というのはあまりありません。

大ヒットした商品の多くは、よくよく見てみると実はゼロから生み出された斬新な商品というわけではないのです。

たとえば、大人気ゲームの「ドラゴンクエスト」ですが、その発売よりも前から「剣と魔法で魔物を倒して主人公を育てる」ゲームは売られていました(さらに「ファイナルファンタジー」はドラクエの成功を受けて製作されたことは有名です)。

またiPhoneの前身である「iPod」ですが、その発売よりも前からmp3を聴ける携帯音楽プレーヤーは売られていました。そもそもiPhone自体も「iPod機能を持ったスマホ」という立ち位置で売り出された商品でしたよね。一時期スーパーで品切れを起こした「食べるラー油」も基本はラー油です。これまで世の中になかったまったく新しい調味料というわけではありません。

「アイデアを出せ」と言われて、斬新なアイデアを出さなければ仕事で使えないと思い込んでしまっていることも、アイデアを出すのに苦労している方に共通して見られる特徴のひとつです。

しかし、ドラクエや食べるラー油などのように、ヒット商品の多くは既存の商品のアレンジや改良です。

これは古来より、歌学においては"本歌取"と言われてきた手法の1つです。

本歌取(ほんかどり)とは歌学における和歌の作成技法の1つで、有名な古歌(本歌)の1句もしくは2句を自作に取り入れて作歌を行う方法を言います。主に本歌を背景として用いることで奥行きを与えて表現効果の重層化を図る際に用いたとされています。

つまり原作をアレンジして、より優れた作品へと昇華させる手法と言えます。

アイデアとはこうして優れた何かを模倣し、アレンジするところから始めるというのは昔から1つの文化として大変重宝されてきました。既存の価値に従うだけでなく、そこから新しい価値を生み出す姿勢は、守破離の「破」といえるのではないでしょうか。

目新しい突飛なアイデアをいきなり生み出そうとするのではなく、まずは関連する様々な情報の収集と整理から始めてみる。誰もが知る大ヒット商品の多くもそういった地道なところからスタートしているということを覚えておきましょう。

逆に言えば、アイデアや発想があまり出てこない人は普段からその元となるべき情報収集が不足していると言うことを意味します(ある意味、基礎技術のほとんどが輸入でできているIT業界では致命的と言えるかもしれませんが…)。

過去の成功や経験だけに固執している人の多くがまさにこれです。

「過去の失敗」「他人の成功」「他人の失敗」だって同じように活用可能な情報であるにもかかわらず、それらに興味を持とうとしません。人一人が体験できる経験値量なんてたかが知れているのに、「過去の成功」体験だけしか見ようとしなくなってしまったら、その時点で成長は停止し、新しいアイデアの泉は枯れるのは必然です。

多くの料理人は

 新しい料理のアイデアを模索するために他店の料理を食べ歩く

なんて話を耳にしますが、そういった貪欲な姿勢、真摯な姿勢を放棄するといっているようなものだとイメージするとわかりやすいでしょうか。

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