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大きな可能性を持つ、デリバリー&テイクアウト


宇宙一外食産業が好きな須田です。

私は、レストランでのデリバリーでは、やはりデリバリー専門の商品を開発することを提案致します。

レストランで提供している商品をそのままデリバリーすることは、制限が多くてお客様に価値を提供出来にくく、利益確保も難しくなってきます。

経時劣化の問題、提供温度が下がってしまう問題、原価に包材分がプラスになってしまう問題などを考慮すると、レストランで提供している商品をそのままデリバリーすることは、お店としてもお客様にとってもどちらも価値と利益の共有が出来ないと思います。

前回アップしたレストランからデリバリーしたハンバーグですが、店舗では熱々の鉄板でソースがジュージューいって提供されます、出来たてでシズル感もばっちりです。
しかしデリバリーでは当然包材に入っているので提供温度は低くシズル感も全く無くなっています。
ガルニの状態も褒められた状態ではなく、レイアウトも包材内で食材が転がっておりパッキングした時の状態ではないと思います。

仮に、店舗でこの状態の商品を提供したとするならば、ビジネスとして成立しない商品と思います。

かつて、日本マクドナルドの藤田田氏は、「私はマクドナルドを一度も飲食業と思ったことは無い、マクドナルドは食品販売業である」と仰っておりました。

マクドナルドの商品は、イートインであってもテイクアウトであっても同じ価値と利益をお客様に提供しております。
商品設計がそもそもテイクアウト限定となっているので、店内のテーブルで食べても持ち帰ってパーソナルな環境で食べても同じクオリティです。

因みに、日本マクドナルドの4月の業績は前年対比106%でした。
4月21日以降休業していての結果ですから、驚愕の数値です。

これは、お客様がマクドナルドに対してある程度の価値を感じているので、消費が伸びた結果だと思います。

であるならば、
レストランデリバリーでも、マクドナルド同様にデリバリー・テイクアウトを前提にした商品設計をするべきと思います。

レストラン内で、テーブルサービスを前提とした商品をデリバリーするのではなく、当初よりデリバリー・テイクアウトを前提とした商品を開発するべきと思います。

デリバリー専用メニューと謳い、お客様に大きな価値を提供することを考えるべきと思います。

レストランの商品をそのままデリバリーすることが難しい理由は複数ありますが、先ず食材の特性を考慮する必要が有る点です。
店内消費を前提とした食材と調理工程では、どうしても経時劣化を避けられません。
使用食材を再検証してデリバリーでの経時劣化を前提とした、食材の選択と調理法に変えるべきです。

経時劣化の検証をするには調理工程を見直し、調理後一定時間ごとに試食をすることで確認が出来ます。
調理20分後、30分後、40分後と経時劣化の状態を確認し、時間が経過した状況で美味しく感じられる食材にマッチした調理法を取り入れることです。

次に、原価も店内消費を前提とした場合とデリバリー・テイクアウトの状況では、包材とカトラリーなどの副資材のコストが売価に含まれるので、当然原価は高騰し利益確保が難しくなります。

また、包材提供ですから当然消費も包材のままとなります。
包材から食べると、どうしても店舗で消費するよりも、価値は下がってしまいます。

店舗ではお皿に食器に投資をしますが、包材に投資をしない道理が私には理解出来ません。

お店としての道理も、心情も、経済的理由も理解出来ますが、お客様に価値を提供しよう、特に外出自粛だった今回の状況の時に、少しでもお客様に寄り添える商品をと考えた場合は、包材に投資をすることは価値ある行動と思います。

誤解をしていただきたくないのですが、やみくもに豪華な包材を使用しましょうと言っているわけではことをご理解ください。
出来るだけ自店の商品の価値を高められる包材にしましょう、包材の価格の安さだけに惹かれてはいけませんよとお伝えしております。

更に、残念な事実ですが、デリバリーされた商品は美味しさの点でどうしても劣って来てしまいます。

サイトの美味しそうな写真を観てオーダーしてみましたら、非常にがっかりする状況の商品がデリバリーされたということは容易に想像が出来、実際に多々あり今回の検証でもそうでした。

ですから、提供後に美味しく食べられる方法を提案することも大事になってきます。
電子レンジなどでの再加熱のやり方など、商品価値を落とさないデリバリーでもレストラン内で消費した場合と近い状態になるような提案をすることも必要になります。

再加熱を前提とすると包材の仕様も電子レンジ対応の物から選ぶ必要があります。
すると包材のコストがかかって来ますが、それらを合わせたことが商品価値ですから、自信と勇気を持って商品価値を上げて行きましょう。

実際に前回検証をした結果再加熱など、美味しく食べる方法を提案しているお店は一軒もありませんでした。

非常に残念に感じたのは事実です。

また、いくつかの部品に分けてデリバリーした場合、提供後の盛り付けをレクチャーするなど、少しでも楽しく美味しく消費していただく提案もあっても良いと思います。

海外では、星付きレストランのデリバリーで実際にそのような施策を取り入れている事例もあります。

デリバリー・テイクアウトには、まだまだ大きな可能性があります。

アフターコロナでは、レストランデリバリーを更に価値あるものに変革させて、お客様により大きな幸せをご提供しましょう。


次回はデリバリーを導入するに際しての、考え方の整理基準についてお伝えさせて頂きます。

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