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業態開発を成功させるコツ


宇宙一外食産業が好きな須田です。

前回記事をアップしてから3週間以上が経過してしまいました。
明日は、業態の話をしますと言いながら、3週間以上も経過してしまいました。

本当に、申し訳ございません。


さて、本題に入ります、今日はお約束通りに業態に関してのお話しをさせていただきます。

通常、業態開発をお手伝いさせて頂いていると、
開発当初の段階で感じる違和感があります。

それは業態を大まかにくくってしまっているために、
企画内容がブレてしまうことがあることです。


このことは実は以外にも多くて、ご自分たちで行っている業態を細分化出来ていないことが多々あります。


どのようなことかと言いますと、例えば焼肉業態を例にすると、
“焼肉業態”と大きなくくりで捉えると、それぞれの担当者の頭の中には、
非常に多くのイメージが沸いてきます。

内装のイメージも客単価も消費形態も商品イメージも、もうバラバラです。

しかし、“小ポーションの和牛の希少部位をカウンター越しに提供して、お客様には焼かせないイノベーティブな焼肉バル”となると、もう少し具体的なイメージが出てくると思います。

カウンター越しのイメージが見えてくるでしょうし、
皿に乗っている肉の絵も、
焼き台の感じもサービススタイルも、
対応可能な客数も想定出来ると思います。

業態の開発段階で必要なことは、どこまで業態を詳細に設定出来切るか、
そのイメージを共有出来るかが大事になってきます。


焼肉業態と言っても、高級業態なのか庶民的な業態なのか、専門店なのか食べ放題なのか、焼肉居酒屋なのか、焼肉ファミリーレストランなのか、焼肉バルなのか、それぞれの戦略も扱う肉のランクも全て違ってきます。

しかし、残念ながら開発段階では業態設定があいまいなケースが多く見受けられます。

特に、焼肉や寿司などの素材特化型業態では、扱う素材のランクでその店のポジションも決まってきます。

国産牛なのか、和牛なのか洋牛なのか、銘柄牛なのかで業態ポジションが決まってきます。

この業態を明確に設定することで、出店立地、物件条件、ターゲット、顧客モチベーションなど全ての条件が違ってきます。
ここの業態を詳細に設定することを注意深く行わないと、出店の際にちぐはぐなことが起こっています。

企画段階では、企画内容の完成度は60%程度の完成度でよろしいのですが、これは、実際に不動産物件が決まる段階で修正を行い、完成度を上げる必要があるので60%程度でよろしいのですが、不動産契約を視野に入れる段階では業態を細分化して決める必要があります。

ここでのブレは後々響いてきますので慎重に決め込んでいきましょう。


ここで、一般的な業態開発の流れをご紹介したいと思います。

ご紹介する理由は、以外にも開発に必要な時間と労力、その順番をご理解頂いていないために、無茶な開発を推し進めて失敗するケースを目にした経験があるので、失敗しないためにご紹介したいと思います。

まず通常は行いたい業態のイメージが経営者にはあります。
どこかで経験をした業態を加工するパターンや、今行っている業態をバージョンアップする場合など、内容もキッカケも様々ですが、業態のイメージがある程度あります。

大体この段階で私は参入するパターンが多いですが、もう少し後の場合もあります。

この段階では、業態を構成する要素を抽出して行きます。

メイン商材は何か、ターゲットは、利用シーンは、顧客モチベーションは、想定する消費形態は、想定客単価は、出店可能立地は、展開イメージはなど、言葉とビジュアルと数値などでイメージの共有化を図り、ストーリーを練り上げて行きます。

これらの作業をしながら具体的な不動産情報を探っていきます。
候補の不動産物件を内見し、レイアウトを数パターン落し込み、投資額の概算と席数から導き出された売上を基準に事業計画を作成していきます。

同時進行で、候補エリアのマーケティングを頻繁に行う必要が有ります。
曜日を変え、時間を変え、天候を変え、同月内の時期も月初・月中・月末と時期を変えて、あらゆるデータを拾い上げていきます。
競合となる業態を調査し、同程度の客単価のお店を調査し、ターゲットが利用するあらゆる業態も調査して、ターゲットペルソナを詳細に設定していきます。

ここに来るまでに、少なくとも二ヶ月から三ヶ月は要します。

この間に不動産契約に関する条件交渉を行います。
ミニマムな売上でも運営を行えるような賃料となるように、賃料設定を交渉していきます。
同時に保証金を含めた物件取得費の合計を鑑みて不動産交渉を行います。

ここは、攻守を切り替えながらの攻防となる場合が通常ですが、ここで弱気になるとオープン後の運営状況に大きな影響を及ぼすことが予想されるので弱気になってはいけません。

語弊を恐れずお伝えしますが、
あなたが行う事業の成功を願っている不動産屋さんは誰一人いません!

不動産屋さんが狙っているのは、不動産手数料を早く売上として計上することと、出来るだけ高い金額にすることです。
ですから、契約を急がせますし、賃料交渉をすることは自分の売上を下げることに直結するので積極的には行うことは有りません。

そう思っていて間違いは有りませんので、
『別にこの物件でなくても、他の物件でも良いんですよ!』という態度で、
不動産屋さんとは接することが大事です。

間違っても、
『なんとしてもここを決めたいので』などと伝えてはいけません!

肝に銘じてください!



不動産契約が見えてくるころには、業態の大筋は決まっていなければなりません。

それが決まっていなければ、平面プランが最終決定しません。
通常は不動産契約の交渉期間中に設計業務をある程度進めます。
契約日の決定の時期を開発と工事日程と人材の確保のタイミングなどを鑑みながら決めていきます。
空家賃が発生しないように、オープン前人件費が嵩張らないように、融資のタイミングを金融機関と調節をしながら不動産契約を締結していきます。

ここは駆け引きの問題ですから、あらゆる手段を使って契約を引きのばしてください。

一番有効な理由は金融機関からの返答が伸びていますという理由が、
最も効果的ですので覚えておいてください。


業態を決めるには、業態の企画を考える時間と不動産契約のタイミングと設計期間、工事期間は言うまでもなく、賃料発生のタイミングなど、多肢に渡って決める内容が存在します。

簡単に業態を決める、もしくは、業態があやふやなままオープンを迎えることの危険性を少しはご理解頂けたかと思います。


弊社には、お店が厳しい状況に成ってから相談にいらっしゃる会社さんもいらっしゃいます。

現在も数件そのような案件がございますが、正直に申し上げます。

特効薬はありません。


そんなことが出来る方がいるなら、その方に依頼なさる方がよろしいと思います。

集客コンサルを行っている方に先だってお話しを伺う機会を頂きました。

当たり前のお話しですが、集客も100%上手くいくことは無く、仮に集客が上手くいっても、そもそもの業態に魅力が無いと瞬間的な売上は確保出来たとしても、恒常的な維持は厳しいと仰っていました。

集める店と、集まる店の違いと私は表現しています。

販促をかけてお客様を集める業態が良いのか、特別販促をかけなくともお客様が集まる業態が良いのか、そこを考えましょうとお伝えするようにしております。


繁盛しているお店は、
お客様が集まる何かが有り、独自の魅力と武器を持っています。
お客様が集まらないお店は、その魅力と武器と価値が乏しいのが現実です。


ですから、現在もしあなたのお店が厳しい状況が続いているのならば、もう一度原点回避して、自己批判を行い、業態の開発段階はどうだったのか、正しい手順で行ったのか、時間軸を無視した無茶な開発をしなかったか、業態を詳細まで精査したのか、マーケティングを頻度高く行ってのことなのかを再考してみましょう。

現在の状況は過去の考え方と行動の結果が今となって表れています。


想定していた結果と違ってしまったポイントを見つけて、そこから修正していくしか方法がありません。

ですから、売上を設定する公式で、満席率も回転率も私は入れるようにしています。

消費形態も、実際にテーブルに何名座るパターンが多いのか、その時にテーブルの上には何杯ドリンクが乗っていて、何皿の商品が一度に乗るのか、その皿数がどの程度の時間軸で消費されていくのかをイメージして想定して事業計画を構築していきます。


業態を決める作業は、オープン後の現象を正しく分析する上で非常に大事な作業です。
しかし、ここをなんとなく『やり過ごしてしまう』ことも多いのも現実です。

明日は、業態開発手法をもっと詳細に解説していきます。

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