目を瞑る
暗闇レストランを思い出した。
数年前にイギリスかどこかで、店内の照明を暗くしてコース料理を食べる。
味覚や嗅覚を集中させて料理を味わうというもの。
面白そうだけど、馴染みの食べ物をウキウキ気分で食べる時と、心ここにあらずで食べる時では全く味が違うことには気付いている。同じ食べ物でも、気分によって味わいは違う。同じ映画でもそうだ。
わたしは本当に大切にできない。周りにいる人、今日出会う人、今日目に触れたもの、当たり前にあるものじゃないと何度言い聞かせても、自分の気分が良くないと、大切にしよう、しなきゃと思う自分に逆にイライラしてしまう。
そんな時に相手の人が思いがけず優しく接してくれると、その瞬間心をガシッと掴まれて現実に引っ張り戻された感覚になる。
「ありがとうございます」と心の底から言った。
昨夜から雨続きで、朝から嫌な音で起こされ、肩も凝って頭痛が酷かった。
言い訳ならいくらでもできる。その体調不良を理由に目の前の景色をかすめさせたくないんだ。きっとずっと世界はキラキラしている。そのサイドにいたい。世界の見え方は自分次第だ。いつだってそうだ。
怖がっている。未知の世界は怖い。でも怖い時に怖いんだって言っても、「大丈夫、前へ進もう、やってみよう」と言ってくれる人をずっと探し求めている。
ずっと、ずっと、ずっと。
なのに見つからないんだ。本当はいたのかな。その時にピントが合っていなかったのかな。
でも、もう外に探すのは休憩して
そろそろ自分の中にその人を見つけてもいいんじゃないだろうか。
そうしたら違う世界が待っているかもしれない。
その人は磁石みたいに、外からも引き付けてくれるかもしれない。
そう言えば、決めつけてた。
店員さんの顔を見ただけで、聞くのが怖くなって、素っ気なくされたらどうしようって、1秒で話しかけれない人に決めたんだ。
でもどうにもこうにも聞かなきゃ分からないから、勇気を出して聞いたらわざわざカウンターから出てきて色々アドバイスをくれた。
頭痛で胃もたれしてたわたしが見ていた景色と、勇気を出して聞いたわたしが見た景色は同じ店内で180度様変わりした。
そこが真っ暗な店内なら、わたしは何の偏見も持たず、すぐに店員さんに話しかけたんだろうか。
この際、今から人と関わるときは一旦目を瞑って気持ちいい会話の妄想をしたのち、本当に話しかけてみようかしら。
そんなふうにしてしかあなたの優しさに気づけなくてごめんなさい。あなたの存在を軽視したんだ。ごめんなさい。愚かでごめんなさい。
優しくありたい。いつだって優しく、愛でたい。目の前の事象を。柔らかな心を持って。今サンタさんに願うなら、このフワフワもちもちの触ると安心するような心を持って自分も人も癒せるようにあり続けたいです。
もう砂嵐のような景色は見たくない。この世界から一歩飛び出したい。違う視点を持って。みんなが笑っている世界を妄想して。だから自分が自分の機嫌を取らなくちゃ。人に求めるのは終わりにしよう。自分が作り出せばきっと世界は動いていく。
中2までサンタさんを信じていた自分ならできるよ。
だいじょうぶだよ。
その調子でだいじょうぶ。
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