昭和の暮らし:(24)ほうき

60年代、70年代は、板葺きの床はお勝手(台所)と廊下ぐらいで、居間や客間は畳敷きが基本だった。1975年ぐらいまで、我が家には6畳間が2つあって、どちらも庭に面していた。

いつごろ掃除機がうちに導入されたか、もうすっかり忘れてしまったが、60年代にはまだ「ほうき」と「ぞうきん」だけで掃除をしていた。

母が昼間に、庭に続く掃き出し窓(文字通り)を開け放ち、畳の目に沿ってほうきをかけていく。それなりにホコリが外に出ていく。

今は見かけないサイズのほうきが各家庭にあった。全長は長く、立って掃除する人間の肩近くまではあったのではないだろうか。バットを握るときのように両手で箒の柄を持って、真っすぐ立って庭に向かって掃き出すスタイルである。

台所や廊下は雑巾で水拭きが基本だった。水拭きの水はバケツに汲んだ水だった。洗剤を使っていたかどうかは知らないが、当時、洗剤自体がそれほど発達していなかったので、分からない。

家具や机の上もすべて水拭きだった。

掃除機は、いつごろ我が家に導入されたのだろうか。まったく記憶にはないが、推測するに、私がお手伝いとしてほうきで掃除をした記憶があまりないことを考えると、60年代後期か少なくとも1970年には初代掃除機を使い始めたと思う。

その掃除機がどういう見た目をしていたのか、ほとんど覚えていない。

しかし、機能部分についてはいくつかはっきりとした記憶がある。とくに、ゴミパックがなくて、吸い込んだホコリを定期的に洗って干すという作業が必要だった。

掃除機はその後、紙パックが定番になり、昭和の最後の方にはスティック型が出る。さらに、サイクロンが出たが、紙パックには敵わなかったのかなと思う。その後コードレスや、ロボット掃除機が進化し、それぞれを使った時期のことを思い出せる。