昭和の暮らし:(22)基礎英語と今夜もシャララ

増築」をしたことを書いたが、それが小学6年生のときに完成し、妹と私は自分の部屋を持った。1970年代後半のことだ。
中学校に上がり、かといって自室の勉強机で勉強するふりをして漫画を描く毎日だった。勉強も少しはやった。

好きな勉強は、ラジオで「基礎英語」「続・基礎英語」を聞くことだった。そのために、自室にラジオを持ち込んでいた。父が野球を聞くために60年代最後か70年代のはじめぐらいに購入したザ・昭和のラジオのお下がりだった。木枠のなかにつまみやスイッチがついた部分と、大きいスピーカー部分が組み合わされている素敵なラジオだった。

基礎英語はNHK第2放送で早朝と昼に再放送をするようなプログラムだったと記憶している。英語の歌なんかも覚えた。私の少し上の世代のPPM(ピーター・ポール&マリー)の反戦歌もこの番組で覚えた。キャロライン洋子の「マザーグースのうた」の時期もあった。

77年にローカルラジオ局「CBCラジオ」で「今夜もシャララ」という深夜放送が始まった。深夜と言っても全国放送の「オールナイトニッポン」が始まる前ぐらいの時間だった。ふとんに入って睡眠に入る前にイヤホンで深夜ラジオを聞くのはスリルを伴う楽しみだった。この昭和50年代という時代は「中学生が深夜ラジオなど不道徳」という時代で、家族にバレないように聞いていたのである。
内容は特に不道徳なことはなく、テーマごとにハガキで集まるネタを紹介したり、音楽を流したりと極めて健全だった。たぶん”こども”が深夜に起きていること自体がいかがわしいことだったのだろう。

そういうわけで非行に走るわけでもないのに親に隠れてこそこそ聞いていた深夜放送であるが、私も成長期にあり、数年で高校生になり、深夜放送ぐらい自分の采配で聞くことができるようになった。妹と一緒に試験勉強をしながら「今シャラ」や「オールナイトニッポン」を流したり、「勝手にシンドバッド」を聞いて「今何時?」などシャウトしたものである。