読書感想:水車小屋のネネ



津村記久子著



本好きな祖母がくれて読みました。
何も起きないといえばそうなんだけど、
すごく穏やかで素敵な本です。
本屋大賞にノミネートと聞いて、この本を読んでホッコリする人が増えたら良いなという気持ちで感想を。

家庭事情から、大学生くらいの年齢の姉が決心して小学生の妹と家を出て、見知らぬ土地で働きながら暮らしていくその半生を見守れる話です。


見守れる、と書いたのは、
奇抜なスタートではあったものの、
姉の働き先である蕎麦屋で蕎麦の実を挽く水車小屋の番人のようなネネという鳥と、
その周りの小さなコミュニティにいる温かくて良い人たちに出会い、
しっかりとその地に根付き、更にまた出会うべき時に誰かと出会い、助けられ助けながら人生を築いていく様を安心して読んでいられたからです。


大金持ちになって、有名になって、といった派手さとは真逆、ずっと質素で地味で平凡なんだけど、それらは全て褒め言葉になる程、姉妹の視線で綴られる物語を読んでいると一つ一つの出来事をとても豊かに感じます。


そこにいつもネネという喋る鳥がいることが冷静になってみればファンタジックなんだけど、あまりにも当たり前に登場「人物」になっていて、さすが鳥のくせに(笑)タイトルになっているだけあるんですよね。


一気に没頭して読むのではなく、
さて、今日のネネは?姉妹は?みんなは?と少しずつ読み進めた本でした。

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