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乳ガン日記46 ~治療後のファーストカット記念~

こんばんは。Ottoです。
一昨年11月に乳ガンが発覚、昨年1月に手術、6月に抗ガン剤治療を終了、9月に放射線治療も終え、現在はホルモン療法を実施中です。
過去の日記は下記のマガジンから御覧頂けます。

またも大変ご無沙汰しておりました。
お陰様でマイペースに生きております。
今回は表題の通り、抗ガン剤治療を終えて近々1年が経とうとしているので、記念の企画を綴ります。


1.再生した髪の現在

昨年の抗ガン剤治療を終えて1ヶ月が経過した頃、幸い少しずつ順調に髪が再生してきまして、現在はというと独特の天然パーマのヘアスタイルになっております。
過去の日記を御覧になった方ならお分かりいただけますが、治療前は極太で多量なストレートヘアだったのに、すっかり原型を留めていない別人に生まれ変わった気分です。
毎朝とんでもない形に大爆発した寝癖をどうにか抑えようと、寝癖直しを散布してブラシで梳かしますが、なかなか落ち着きません…。
ここ最近に至っては梅雨の季節で、うねりまくっております…。
割烹着を着たら「絵に描いたような昭和のおばさんキャラ」になれます(笑)

正直のところ、この髪型は不本意です…。
しかしウィッグをかぶると、生理的に無理な感覚過敏に耐えられず吐いてしまう…。
さて、この髪型は今後もこのままなのか、どうしたらいいものか、ストレートパーマを充てるのは大丈夫なものかと地味に悩み、専門知識を有する美容師さんに相談してみました。

今から4ヶ月程前、専門知識を有する美容師さん曰く「今、頭頂をカットして整えようとすると余計に髪が立ってしまうので、もうしばらく伸ばして重力で落ち着くかどうか様子を見てみましょう!」、「Ottoさんの場合は、今は毛先がカールしていますけど、次第に元のヘアスタイルに戻れる可能性が高いです。抗ガン剤治療を終えて1年が経過すればストレートパーマも解禁できます。(それまではまだ髪や肌が弱くて、ダメージを負うリスクが高いためヘアカラーやパーマは絶対NGです。)」、「ストレートパーマ解禁までの間は、まず襟足からカットして整えていきましょう。」とのことで、来る時期まで辛抱しておりました。

2.自分に御褒美が欲しい

その間、ふと思いついたことがありました。
前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。

胎毛筆(赤ちゃん筆)、ありますよね。
生まれた赤ん坊の、初めてカットしたバージンヘアーで作った記念品。
「抗ガン剤治療を終えて再生したバージンヘアーで、そんな記念品を作れないだろうか。」と…。
治療を終えて、今まで自分が頑張って乗り越えてきたことが目に見える記念品を作れないだろうか、なんて…。
そもそも私、胎毛筆を作ってもらったこともないどころか、当初は記念に保管していたという臍の緒を紛失される始末に遭っています(笑)
人生、何が起こるか分からないわけで(現に乳ガン治療を継続しているわけで)、一度限りの人生なのだから何か形に残る物を作ってみたいな~と思い付いたわけです。
果たして、抗ガン剤治療後に再生したバージンヘアーによる記念品は本当に作成可能なのでしょうか?
インターネットでも調べてみましたが、そんな前例は見つけることができませんでした。(もし既にあれば教えてください。)
え、もしかして私が最初なのでは?
ならば、やってみるしかないのでは??

3.再生から初めてのヘアカット

先月、美容院を予約する際に、このバージンヘアーで胎毛筆のような記念品を作れないか聞いてみました。
残念ながら行きつけの美容院では胎毛筆を作っていないようでしたが、胎毛筆を作っている他所のお店に持ち込めるよう、カットした髪を綺麗にまとめてもらえることになりました。

(ちなみに「抗癌剤治療の前に『自分の髪でウィッグを作りたい』という相談は結構ありますが、こう希望する患者様は癌の発覚から思い付くので、ウイッグを作るには髪の量も、髪を伸ばす期間も明らかに物理的に全然足りないため、ご希望に添えないんですよね…。」とも仰っていました。)

「再生した髪で筆の制作を希望をする患者様は初めてです(笑)」と美容師さんもワクワクし始め、ようやく襟足をカットしてもらいました!

抗ガン剤治療から再生した、
バージンヘアーの初カット(美容師さん撮影)

美容師さん「(鏡で)見てください!可愛い!」
私「えっ、可愛い!これ(スマホで)撮ってもらえますか!?」
美「勿論!私も撮っていいですか?(笑)」
私「どうぞ、どうぞ!(笑)」
美「これは今まで頑張ってきた記念になりますね~!」
私「いや、ホント、感慨深いですね~。我が子も同然というか、実質、私の分身みたいなものじゃないですか。(西遊記のイメージ)」
美「指示するので、ご自身でカットしてみますか?」
私「いや、それはさすがに失敗したら怖いので、プロにお任せします(笑)」
等々と、美容師さんとキャッキャッ、ウフフしながら、楽しいヘアカットの時間が過ぎていきました。
美容師さん、この度は私の変なお願いを聞いてくださり、誠にありがとうございました!

抗ガン剤治療から再生した、
バージンヘアーを束ねてカットしたもの。

4.いざ制作依頼

さて次は胎毛筆を作っているお店探しです。
「そもそも癖毛でも作れるものなのか?」という疑問はありましたが、こういう天然パーマの赤ん坊も実際いるわけで、癖毛でも作ってもらえるお店を某通販サイトで見つけたので、申し込んでみました。

送られきた書類に記入し、髪を添えてお店に返送した後、すぐお店から電話がありました。
「お送りいただいた申し込み用紙に記載されているのは、お客様の情報のようですが…。」
このお店では、胎毛筆を保管する桐箱に赤ん坊の名前と生年月日も印字してくださる段取りになっているのですが、申し込み用紙に昭和生まれの情報が記載されているのだから、そら確認するのも当然ですよね。
「はい、私の生年月日でして、髪も私のものです。抗ガン剤治療を終えて再生した髪でして…」と素直に説明すると、「あぁ~、そういうことだったんですね!」とお店側も幸い納得してもらえました。
もし「赤ん坊の髪じゃないからダメ」と言われたら…、なんて少しドキドキしましたが、快く制作を引き受けてもらえて本当に良かったです。
お店の職人さん、まさかの突飛な依頼に驚かせてしまい大変失礼致しました。ご快諾いただき心より感謝申し上げます!

抗ガン剤治療を終えて再生した、
バージンヘアーで作った記念品

やっぱり可愛いっ!!
プロの職人さんに綺麗に作ってもらえて、尚のこと嬉しいです!
完成は来月くらいだろうと思っていましたが、思いの外に早かった上に、明後日が抗ガン剤治療最終回の日なので見事にナイスタイミングでした。
死ぬまで大事に大事に保管します。
まだホルモン療法が少なくとも4年くらい残っていますが「生まれ変わった今、残りの人生も元気に生き抜くぞッ!」という気持ちも湧いてきました。
何気なく思い付いた勢いで作ってみましたが、作って本当に良かったです。
この髪型は不本意だけれど、この約1年間で地道に再生した髪そのものは、間違いなく「私の生きている証」であり、こうすることで不思議と愛おしく感じます。
ガン患者さん対象の記念品作り、きっと需要はあるかもしれないので、胎毛筆と同じくらい「作ってみませんか?」と呼びかける美容院や専門店が増えたらいいですね。

今回の日記は以上になります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!
また更新してまいります。

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