【序章】才能と出会うのは偶然であり、また必然である

これから紡いでく文章は、半分現実で半分妄想。

AKB48グループといえば、国内では知らない人はいないアイドルグループである。その中には地方の姉妹グループも存在してる。名古屋ならSKE48、大阪ならNMB48、新潟ならNGT48、瀬戸内7県にはSTU48などが存在している。
その中で福岡・博多を拠点にしているHKT48というグループがある。今ではアイドルという枠に収まりきらない指原莉乃が、「劇場支配人」として在籍しているグループである。

各グループ毎に新メンバー募集としてオーディションを行うことがある。あるメンバーは学業を志し、また、あるメンバー新しい夢を見つける。アイドルである彼女たちは必ずグループを卒業する。そのため基本的には各グループ毎に新メンバーを迎え入れるオーディションを開催する。
2018年夏、HKT48もご多分に漏れず、第5期生のオーディションを行う運びとなった。今までならばファンは「お披露目」というタイミングで初めて「オーディション合格者=新メンバー」を見ることが出来る。そこまで、どんな女の子たちがアイドルを目指してオーディションに応募したのか、どれだけの夢が破れたかなどは、ファンには完全にブラックボックスであった。

2016年4月に行われた「けやき坂46(ひらがなけやき:当時は欅坂46のアンダーグループとしての位置づけ)」のオーディションから新しい試みが行われた。それがライブ動画配信サービスの「SHOWROOM」を使った審査である。
「SHOWROOM」とは一般的な動画配信サイトとは異なり、視聴者が投げ銭のように配信者に対してアイテムを投げることが出来る。アイテムごとにポイントが設定してあり、無料のアイテムから高額の有料アイテムまで様々揃っている。多くポイントを投げることにより、画面の中央に自分のアバターが移動していき、配信者からも目立つ様になるのだ。

ちなみに、同様の投げ銭システムを採用する動画配信サービスは増えており、中国発祥のこのサービスが今は配信者への収入の位置手段になっている。

横道に逸れてしまったが、候補者はこの「SHOWROOM」で各々ライブ配信を行う。通常の配信と異なるのは「名前を出さない」という点だ。視聴者もなんて呼んだら良いのか分からないため、基本的には何らかのニックネームを付けて配信をする。顔を出さずに配信する候補者もおり、もちろん配信をしないという選択肢もある。

HKT48単独のオーディションにおいても、5期生から「HKT48 第5期生オーディションのSHOWROOM部門」として同様の試みが行われた。しかし、この配信でのポイント順によって次の審査に進める訳ではない。あくまでも「審査過程の参考」という位置づけである。逆にポイント順になってしまうと資金力にものを言わせ不正をするという可能性もあり、オーディションの体をなさなくなる。
ちなみに、HKT48の5期生オーディションのSHOWROOM部門で最もポイントを集めた候補者は仮合格にならなかった点などから見ても、運営側が記しているように「審査過程の参考」というのはあながち間違いではないと思われる。

個人的には、「HKT48 第5期生オーディションのSHOWROOM部門」については2つの理由から興味を持ってなかった。一つは万が一応援をした候補者が合格出来なかった場合の気持ちをどうすれば良いか分からなくなると考えた点、もう一つの理由(こちらの方が大きいが)は公開された候補者の写真を見ても、ピンとくる候補がいなかったという点である。

(5ちゃんねるに掲載されていた画像より抜粋)

そんな風に思っていた一ファンが、2ヶ月後にはもの凄い嵐に巻き込まれるようになり、同じく嵐に多くの人が巻き込まれ、その中心にいた一人の少女の人生を別の方向に変えさせてしまうことになるとは、その時は想像だにしていなかった。

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