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佐和商店怪異集め「文披31題」Day16「レプリカ」

7月に参加させていただいた、綺想編纂館 (朧)様(@Fictionarys)のTwitter企画「文披31題」です。本編寄りだったり番外編よりだったり、フリーダムに思いついたまま書いています。


【天空の涙】


「すみちゃん、お土産やるよ」
佐和商店の閉店後。
事務所で、榊は菫へと小さな紙袋を手渡す。
「ありがとうございます。開けても良いですか?」
「もちろん」
菫が封を開けるとケースがあり、中には角度によっては淡い青色にも見える、一粒の真珠のタックピンが収まっていた。
「真珠?」
「の、レプリカ。『天空の涙』って名前がついた真珠が名産品らしいんだが、本物は流石に高価過ぎてな」
苦笑いを浮かべる榊に、菫は首を横に振って笑う。
「嬉しいです」
菫は早速、ピンをワイシャツの襟に付ける。
「もったいないので毎回は難しいですけど、何にでも合いそうで良いですね」
嬉しそうに真珠を見下ろす菫に、榊の眼差しも優しくなる。
「海が綺麗なとこだった。今度ドライブしながら行こうぜ」
贈った真珠に触れ、榊は菫の頬を撫でる。
「良いですね」
くすぐったそうにはにかんで笑いながら、菫は頷いた。

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