見出し画像

「所感 長文になってはしまいましたが・・・その二 - 20代ADHD持ちの転職挑戦記」

あらまし “Synopsis”

 さて、「とりあえず動き始めることができた」というのが前回までの経過でありました。書類が作成できないとか、段取り良く作業を進められないとか、そういった諸々のハードルを一つずつ超えていき、かくして幾つかの企業に応募は出来たのであります。しかし、現実はなかなか厳しい。それぞれ書類選考落ち、一次面接落ち、二次選考落ち、という結果に直面したというのが、当座の結果です。短絡的に結論を下すと「おい、労力の割にはちっとも報われへんやんか」という方向へ流れてしまいそうですね。

 失敗したからには、あわよくば失敗から元を取りたいというのが人情でしょう。ここまでの敗因分析をしてみますと、「私の書類や面接でのパフォーマンスは二次選考を通過するだけの作り込みがなされていない」という見解に至ったのです。「おいおい、今さら分かったのかよ」というツッコミも入りましょう。だけど、どんな些細なことであっても、「思い切って行動をしてみた結果、分かったことがある」というのは当人にとっては意義深さがあるのです。

助言に素直になり、凡庸な面を引き立たせてしまったと反省

 ここでドラッカーに登場してもらいます。そう、ビジネス関連の書籍ではしばしば出てくるドラッカーです。彼は「強みはどのように扱うべきなのか」というテーマについて言及しているんですね。人文分野の話なので、カッチリした答えが出る訳ではないです。しかし十分に活用できる、そういった内容です。

Look at strength and performance.(大切なことは、強みによる成果である)                ”Managing The Nonprofit Organization”  
 強みを生かすということは、行動であるだけでなく姿勢でもある。しかし、その姿勢は行動によって変えることができる。〜中略〜「できないことは何か」ではなく「できることは何か」を考えるようにするならば、強みを探し、それを使うという姿勢を身につけることができる。 
 成果に関わるすべてのことについて、機会を育て、問題を立ち枯れにしなければならない。                
 弱みはたかだか頭痛を生むくらいのものである。しかも弱みを無くしたからといって何も産まれはしない。弱みをなくすことにエネルギーを注ぐのではなく、強みを生かすことにエネルギーを費やさなくてはならない。
                                                           "The Effective Executive"     

 私は、2月から3月にかけて市内のハローワークで、職務経歴書の添削をしてもらっていたんですね。そもそも、一昨年から「職務経歴書の作成のフェーズ」でずっと停滞していたので(文章作成の段階でつまずいていた)、やはりこの工程ではサポートを得たかったのです。以前幼馴染のNくんが「提出書類の添削はハロワークに手伝ってもらったんやわ」と教えてくれたことも影響していました。もちろん、ハロワのカウンターに行ってみるとそれなりの効果はありました。職務経歴書作成のガイドブックを配布していましたし、Nくんの言ってたように添削もしてくれましたよ。
 

 転職活動しぐさに助走を付ける意味合いでは、ハロワで添削をしてもらうのも効果があったでしょう。だけど、活動初期に出した我が提出書類を省みると、反省点が洗い出されてくるのです。自己PRも、自己紹介も凡庸になりすぎていました。言うなれば、没個性的な、ソツの無い内容に纏まってしまっていたということです。
 私は当て付けをしたい訳ではないですが、「所詮ハロワのスタッフには、私の強みを引き出すような自己アピール作成の助言はできなかったんやろな」と今になって思うのです。
 そして、これといった実績もないのに、無理に所定の自己紹介のフォーマットをベースにした自己アピールを作ってしまったものだから、小綺麗な出来にはなっているだけの平凡な品になっていたのです。改めて検討してみると「こんなものでは、私の人柄は伝わってきいひんわ」と思ってしまいます。

自己紹介では、自身の特徴をよく表現できる要素を込めているか?

 はずかしながら当初は
 「経験が少ない分、自分なりに貢献できる方法を探して業務に取り組んでいました。お客様の困りごとを解消できるように努力をしていました。このようなアプローチで信頼関係の構築に成功していました」
といった極めてつまらない自己紹介を展開していました。とっかかりに欠けますよね。
 本来、誰しも取り柄があるものです。それを探す視点を持つ必要がある。私の場合のそれは、語学、読書、へこたれない前向きさ、といった要素かなと捉えています。この部分をもっと生かすのが良かった。
 語学については、仕事で使えるのは英語のみであるものの、5カ国語ほどで初級レベルの会話ができます。自己紹介や簡単な挨拶ができる言語は、その他15カ国語ほどのストックがあります。
 読書は1年で100冊以上の書籍を読んでいます。折々の研究テーマを決めて、読書を通じて新しい知識の獲得を続けているんです。そのうちの何割かの勉強内容は仕事にも波及させることができています。
 へこたれない前向きさ、試行錯誤の精神というのは、己が持っているADHDを飼い慣らし、社会生活を送れるようになるための各種のスキルを獲得するに過程で、大いに役に立ってくれました。言わずもがな、前向きでなければADHDはやっていけないですし、1回の失敗でへこたれてしまうことは避けなければならない。小さく変化を付けて、再挑戦をする必要があるのです。
 手前味噌になってしまったけれど、探すとちゃんとあるんですよ。強みに転化できそうな要素って。それらを材料にして嫌味のない程度に、程よい自尊心を以って自己PR、自己紹介の基礎を再構成してみます。そして、志望動機の作成にも反映してみることが次の10日間の目標です。そして、果たしてあと100日でどこまで進められるのでしょうかね。


引用・書誌情報

・御手洗昭治『「マネジメントの父」ドラッカーと「世界の文豪」シェイクスピア』産業能率大学出版部、2019年10月、41頁。
 (先月末に図書館でたまたま見つけ、なんの気なしに借りてみた本。文学者目線でのドラッカー紹介の要素が珍しい。名言集的な構成のため、実用書を求める人にとっては良書ではないとは思う。シェイクスピアについての基礎知識を付けたい人なんかが読むといいのかもしれない。そういえば小泉八雲が「無理にシェイクスピアなんて読まんでもいい」と言っていたことを思い出しました)

・P.F. ドラッカー著、上田淳生訳『ドラッカー名著集1 経営者の条件』ダイヤモンド社、2006年11月、133-134頁。原著は ”The Effective Exective" 1964. 
 (ビジネス関連の書籍には本当によく登場するドラッカーである。学生だった頃に買った本。購入動機は、別に経営者になりたかったり、商売に興味を持ったりした訳ではなく、「有名な古典だから見てみたい。自己管理のアドバイスが書いてあるかもしれない」といった関心があったからであった。実は当時読んだ際は、内容が抽象的すぎてがっかりした読了感があった。今は本書をもっと面白く読み解けるようになったので、少し成長したのやな。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?